カモワンタロットの展開法の整理

昨日は久しぶりに関西タロット研究会 (カモワン版マルセイユタロットを使ったリーディングの研究をする会)に出席していました。


そこで出席者のある方が、最近のカモワン版マルセイユタロットを使った展開方法の種類について質問されていらっしゃいましたので、ここで(推測も入っていますが)私の整理した見解を述べたいと思います。


カモワンタロットの展開法については以前にも書きましたが 、今回はまた違った観点で見ていきます。


現在日本でフィリップ・カモワン氏が開発した展開法をもとにしたマルセイユタロットのスプレッド(展開法)は大きくわけて、4つあると思います。


1.タロット大学時代に主として教えられていた展開法

2.タロット大学時代に上級者用としカモワン氏より伝えられていた方法

3.イシス学院で独自に開発された展開法(カモワン流がベース)

4.カモワン氏が直接、ここ数年に日本で教えられた展開法



この4つの違いは、本質的にはあまり大きくは変わりはありません。それぞれ基本OSは同じといえます。


ただパソコンソフトと違うのは、どれがどのバージョンアップであるとは一概ににいえず、たとえてみれば、パソコンの形態(モバイル用、デスクトップ用など)や用途に応じて変化しているものととらえたほうがわかりやすいかもしれません。


ここで私のいう基本OSが同じというのは、


この4つとも、基本的に「視線カード」というものと、「問題カード/解決カード」というカード展開の規則を選択しているということです。


視線カードというのは、カードに描かれている人物の視線を追って、さらにその方向にカードを置いていくという方法です。


そして問題カードと解決カードというのは、逆向き(リバース)で出たカードを問題状態のカードとして解釈し、そのカードの下か上に、問題を解決していくと考えられるカードを置くというものです。


結局のところ、このふたつの大原則のもと、あとは細かな違いがあるに過ぎないといえます。逆にいえば、このふたつのルールさえ理解していれば、どのバージョンにも対応できることになります。


質的な観点からしますと、1と2、そして4はカモワン氏の展開法であるので基本的には同質ですが、3はイシス学院の大沼忠弘氏が考案されたものですので、ほかのものとは異質な面があります。


私個人の考えでは、どの方法を使用しても構わないと思いますし、どれもきちんとリーディングできる方法だと感じています。


ただひとつだけいえるのは、カモワン流(上記、1,2,4)の展開法でリーディングする場合は、当たり前ですが、ご本人の開発されたカモワン版マルセイユタロットを使うほうが読みやすいのは確かです。


とはいえ、ほかのマルセイユ版でもできないわけではありません。基本構造と絵柄は同じだからです。


しかし、カモワン流の場合は細かな図像の象徴に着目(カード一枚の全体絵柄はもちろん、一枚一枚の細かな象徴に注目)したリーディングを行いますので、細部まで鮮明に描かれた象徴(カモワン氏と共同制作者のホドロフスキー氏の解釈ではありますが)のあるカモワン版マルセイユタロットでなければならない理由はあります。


ところが、そこまで細かく象徴に注視し、その連繋(同じ象徴、意味のつながり)に何重にも留意しながら(単なるひとつやふたつでありません)、さらに展開全体の構図まで読み解いていく技術はなかなかに難しいものです。


この部分において、本家といえるカモワン氏自身の象徴抽出能力と、誰も想像しえないようなスピリチュアル的なカードの解読によるリーディング方法は圧巻のものがあります。(カモワン氏自身、カモワンコード(暗号)と名付けていて、その解読に特殊な技術がいることをお話されています)


けれども、このレベルで、普遍的な技術として皆が行えるようになるかという点では、非常に厳しいものがあると言わざるを得ません。


ですから、おそらく純粋な意味でのカモワン流のリーディングをされている方は、かなり少ないと予想されます。


大沼氏がカモワン流をもとにしつつも、独自の展開法を編み出されたのも、こういった理由があるからであり、もっとシンプルに皆さんにリーディングしやすい方法をという思いがあったものと考えられます。


そして、今、日本ではカモワンタロットを習らわれた方、本を読んで自分なりにされている方など、様々なバージョンと個人での読解方法が出ているものと推測されるのです。


結局のところ、展開法は人為的なものです。自分に合う展開法(自分がリーディングしやすいもの)をやっていけばよいと思いますし、クライアントが納得し、問題が解決したり癒されたりするのであれば、それはそれで正解でしょう。


複数の展開法を使いこなすこともありですし、ひとつのものを極めていくのもありです。ただいずれにしても、最初のうちはひとつのものをきちんと自分の基本の「型」としてマスターしておくことが望まれます。


そうしないと、ほかのものを判断する基準というものが自分にできないからです。自分の中にいわば「タロットのものさし」を作っておく必要があるのです。


またそれぞれの展開法は同じ規則には基づいていても、別物だと認識していたほうが混乱せずに済みます。

極端なことを言えば、展開法の違いは、同じタロットを使うものではあるのですが、別の道具を使って占っている、あるいは別の占い種類でやっていると思うくらいでちょうどいいのです。


ちなみに私自身はリーディング時においては、最初に挙げた4つの分類でいえば2をメインとして、時と場合により、小アルカナを含めていろいろな細かいメソッド(ホドロフスキー流もあり)を入れています。

コメント

  1. 展開方法については、私はどれを使っても良いと思うし、方法より大切なことは、結果です。
    クライアントがそのカードを使うことで、問題が解決することが大切であり、スプレットはなくてもかまわないと考えています。
    何より、誰の方法かということにこだわるより、タロットを通して自分の心の中を見つめ、生き方が変わっていき、それぞれの人生わ歩むことが一番大切なことだと思うのです。
    自分の展開しやすい方法、または、独自で開発しても良いと思いますし、たった一枚のカードの中にさえ、その人の人生のすべてが描かれていることに気づくことが大切で、どのカード、どのスプレットというこだわりより、自分にあった方法で、自分の内面的な解決、答えを見つけることを目的に進むことがタロットを道具として使うために大切な意識ではないかと思います。
    いつも面白く拝見しています

  2. > はる ひなたさん
    すごく思いの入ったコメントありがとうございます!
    おっしゃるとおりですね。スプレッドはあくまで本質や問題解決に迫るための方法のひとつでしかないと思っています。確かにカモワン流のスプレッドには魅力的で効果的なところはありますが、はるひなたさんが語られるように、極端にいえば、一枚だけでもいいですし、展開法はなくてもいいと思うこともあります。
    (カモワン流でも、問題カードと解決カードの区別をつけずリーディングすることも個人的にはあります)
    大切なのは方法論ではなく、クライアント、あるいは自分に対していかに効果があり、気づきが得られるかだと私も思っています。

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