タロットによるセラピーの区分

世間では、タロッセラピストを名乗る方もいらっしゃいます。

タロットはいろいろなツールとして使うことができるため、もちろんタロットを使ったセラピーも可能だと思えます。

また、セラピーとは何なのかというセラピーの定義づけによっては、タロットによるセラピーの種類や方法も変わってきます。

一般的に、セラピーといえば、心身の癒し・治療を行うものと考えられます。

ただし「治療」と言ってしまうと、日本では法的な問題があるので、医師や、その他特別に許可された資格を持つものではないと、「治療」を謳うことができませんので、厳密には治療とセラピーと異なる部分もあるでしょう。

ともかく、タロットを使って占いやリーディングをするにしても、相談に来た人、クライアントが何らかの形で癒されたのだとすれば、それはセラピーだと大きな意味では言えそうです。

ただ、例えば、当たることを重視する占いであったり、カードを読み解いて、単なる「ある情報」を与えるという意味でのリーディングであったりすれば、それは受け取る側も、与える側も、セラピーをしているような雰囲気にはならないでしょう。

セラピー・癒しといっても、どの部分(程度・レベル)まで癒されるのか癒すのかを考えると、クライアントを深く癒していくことまで志せば、「癒し」というよりも、言葉として「浄化」「変容」というニュアンスに近くなる気もします。

ということで、私は現実的に考えて、タロットを使ってのセラピーを考える場合、次のような区分をまずは想定するとよいと思っています。

こうした種類分けをしておくことで、自分の知識、経験、実力によって、どの区分をメインとするセラピーをするのかが整理できるからです。

 

1.占い・状況判断的タロットリーディングによって、結果的にセラピーとなっているケースがあるもの

2.表面的意識の情報を超えた(あるいは、表面とは別の意識の)情報、心理的情報などをタロットリーディングによって探知し、クライアントに認識してもらうことでセラピーとなるもの

3.タロットを使って、能動的に浄化・変容を促し、治療を施していくセラピー

 

1は、タロット占いや、何かの判断を求められるリーディングを行い、結果的に、クライアントが癒されたと思うことで、セラピーになっているというものです。最初からセラピーを意識しているわけではないという点がポイントです。

2は、特にマルセイユタロットリーダーを目指す人には想定してもらっているメインのところ(そのレベルを中心フィールドとする)になりますが、タロットリーディング(必ずしもタロットリーディングの手法だけとは限りませんが)で、主に心理的情報も読み、クライアントが気がついていなかったり、常識的観点で抑圧してしまったりしている部分を探査し、それをクライアントに認知してもらうことで、心理的統合、あるいは心理的物語の調整が図られて、癒しが起こるというセラピーです。

重要なのは、能動的態度で、相手を癒す気持ちでタロットリーディングを行うのではなく、あくまでリーディングを行っているうちに、その読んだ情報が、クライアントの心の解放や調整につながっていくものになるという形式です。

次の3との違いにもなりますが、クライアントの不快な症状とか心理的問題を治療したり、軽減したりすることを第1目的とはしていないというところなのです。

それはむしろ心理的治療、あるいはサイキックな治療としての専門家が行うべきもので、能力や知識、経験にもよりますが、タロットリーダーがそこまで担うものでもないと言えます。

簡単に言えば、クライアントの「気づき」までのサポートを行う役割で、その気づきに至る情報も、(治療的にも)正しいとか正しくないというところにはなく、あくまでタロットと、リーダーの主観も伴った「ひとつの情報」であり、それが1の区分と同じように、結果的にセラピーになっているということなのです。

1との違いで言えば、1のほうが心身の癒しが、クライアントからは必要とされない場合も多く、要は判断や決断の示唆、選択の良し悪し情報みたいなものが中心となり、それに対して2は、1よりも、心の癒しや浄化の視点を持ってタロットリーディングを行うという点にあります。

そして、3は、タロットを使っての治療も目的とする(治療も視野に入れての)セラピーであり、クライアントの回復と大きな変容を目指す、セラピー中のセラピーと言えましょう。

この場合、直接的なものと間接的なものがあり、直接的なものとは、実際にタロットを体に当てたり、心理的治療ツールとして使ったりするというもので、間接的なものは、タロットカードの象徴を利用して、カウンセリングしたり、精神分析したりして、クライアントに(心理的・サイキック的)治療を施していくというものです。タロット以外の道具や技術も使用することもあります。

こちらのほうは、先述したように、法的問題があるので、実際にやっている方は少ないかもしれません。

また、この区分でのセラピーは、普通はタロットリーダーとしては目指す必要もないでしょう。治療までやって行きたいと望む人が踏み込む分野です。

もっとも、2と3の中間のような人もいらっしゃいますし、それはその人の個性、能力、知識にもよってくると思います。

セラピストを名乗ることで、癒しを求めている人に訴える意味も出ますが、一方で、何が何でもクライアントを癒さねばならないとか、癒しのための気づきを与えねばならないとか、変なプレッシャーがかかって、セラピストとしての自分を縛る結果になる危険性もあります。

素直にタロットの情報を多角的に読んでいくことで、結果的に癒しが起こるという程度に考えていくほうが、タロットセラピーと無理に言わなくても、セラピーがやりやすいこともあるかもしれません。

またいくら癒しが目的であったとしても、クライアントを過大評価したり、よいことばかりを言ったりするのは、セラピーにはならないでしょう。

マルセイユタロットでも「13」と「節制」が、数の上での並びでも向き合っているように、苦しみ、自分がつらいと思っていることに向き合うことで、本当の癒しが起きます。

つけ加えると、逃げることが決して悪いわけではなく、時に逃げて安全な場所を確保することも大事です。つまり、自分を本当の意味で大切することであり、その視点では逃げるのもありとなります。

自分を大切にするということでは、自分の人生に起こったことに対して真摯に請け負っていく態度が求められるます。

単なる逃避、ヤケ、怠惰、他人への迎合、自己卑下、抑圧などは、むしろ自分をひどく扱っていることになるのです。

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