感性での共感性の危険さとその回避には

知識や理性によって、相手の状況を推察・判断し、あるいは自分の中で高度に理解が進むこと(知性の高次化)で、他人との共感性を持つことができます。

個人的には、ここうした(理性・知性によって共感を持つ)方法が、一人のみならず、引いては人類全体としての共感性を呼んで、物質的・利己中心的な見識から解放されるものとして、もっと注目されてもいいと思います。

しかし、一方で、感覚・感性的(感情・情緒的)に相手との共感性を持とうという方法があり、むしろ、そちらのほうが自然的(ナチュラル)な感じがして、今はよく語られていたり、実践されていたりするのではないでしょうか。

この感覚・感性的なものは、言ってみれば気持ちのようなものでつながり合って共感を抱くというものなので、波があったり、好き嫌いの感情で左右されることもあります。

ですから、よい意味で通じ合う時(同じ気持ちの好ましいものを相手に見た時)は、ものすごく共感や愛情を想い合うことができますが、反面、自分や相手の感情・データに、違和感・嫌悪感を持つようなものを見た時(感じた時)は、恐怖や憎しみのようなネガティブな感情が起こり、共感どころか、かえって相反してしまうこともあると想像できます。

ところで、人によっては、もともと特別に(または異常に)感覚が鋭敏になっている人がいます。

その鋭敏さが普通の五感ではなく、目に見えない情報を感じ取る感性であることもあり、そういった人は、人の気持ちや感情(または様々な個人的な情報)への感受性が強くなります。

こういう人は、エンパス体質とか霊感体質などと呼ばれることもあります。

さて、スピリチュアルの世界では、人との共感性・理解力が増すことが、人類の(理想とする)進化のように思われているところがあります。

もし、そういった説に乗るとすれば、それは、さきほど述べた特殊な感受性を持つような人の能力・感性が、普通の人にも現れるようになる状態と言ってもいいかもしれません。

けれども、それには落とし穴があるのです。

相手の気持ちがわかってしまうということは、それだけ相手のいろいろな気持ち・情報を見てしまうことにもなります。

もちろん、「通じ合い」というのは相互作用ですから、自分の情報も相手に伝わる(見えてしまう)わけです。

それがともによい感情、ポジティブなものであればお互い気持ちいいことになるでしょうが、ドロドロしたもの、見てほしくはないもの、デリケートなもの、ネガティブな感情などのものであったら、感じた方は不快感を持ちますし、見られた方は土足で人の心や大事な部分に踏み込まれた嫌悪感・憎しみが出るでしょう。

このように、うかつに共感・共鳴しようとするのは危険なこともあるわけです。

やはり、本当にわかり合えるためには、双方にわかり合おう、歩み寄ろうとする態度も大切だと思いますが、同時に、一人一人、それぞれにおいて浄化と言いますか、自分のデータ・情報を整理し、自分自身で自分を受け入れられる(甘えやごまかしではない)許しのような状態がないと、「見せ合う」「通じ合う」という素に近い状況になった時に、耐えられなくなるのではないかと思います。

つまり、真の(全体性としての)共感は、一人一人の浄化・成長・進化にかかっているということです。

有り体に言えば、お互い見られてもよい状態、それ(相手のすべて)が微笑ましく、愛しくも思えるくらいになって、はじめて高い共感性能力も活かせる(活きてくる)ものだということです。

逆に言うと、そういう状態に多くの人が達していないと、優れた共感性の能力は発現・解放されない(危険をブロックするセーフティロックのような安全弁が働いている)のではないかとも考えられます。

今の(わりあえない)世界の状況を作っているのは、ほかならぬ私たち自身の意識(のレベル状態)だとも言えます。

ここに自分を見つめる、受け入れるという作業が、相手との関係だけではなく、人類全体の進化の問題としても必要なことがわかります。

ちなみに、タロットは象徴としてのカードですから、象徴は抽象的ではあっても、普遍的な原理・パターンを表し、それでもって、個々の体験・具体性を全体性へと象徴化(昇華)することができます。

言い方を換えれば、一人一人の感じている気持ちや実際経験したことは、それぞれで違うわけですが、それが象徴となれば、生々しいもの(個人的感情)が削ぎ落とされ、ほかの人と共感できるシンボル・型として客観的に眺めることができるということです。

いわば、感情的・感性的共感の要素を持ちながら、理性的共感性を促すところもあるということなのです。

見えない自分自身のデータを絵柄に表出させることもできますし、このように相手との知性的な共感性を起こすことも可能なのが、マルセイユタロットと言えます。

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