タロットカードの象徴的理解

タロットリーディングのひとつのコツは、カードを「象徴的に」理解することです。


「象徴」というのは、さまざまに思い浮かぶことができるので「象徴」なのです。


これが「なになには、これこれである」という決まった図式として固定して考えていると、とたんカードが読めなくなります。


たとえば「愚者」=「自由」と決めつけてしまうようなことです。


これは図式を反対にしてみるとよくわかります。


つまり、「自由」=「愚者」なのかと考えてみるのです。


確かに「愚者」は(マルセイユタロットで説明)、気楽に旅を続けているように見えるので、自由かもしれません。


ですから「自由」=「愚者」という図式をあてはめるのも間違いではありません。


では、「自由」という言葉で表現されることは必ず「愚者」のカードでなければならないのでしょうか?


そもそも一口に「自由」と言ってもそれはどんな状態がイメージできるでしょうか。


大きな意味での「自由」もあれば、経済的な自由、精神的な自由、運動における自由、政治や権利における自由など、さまざまに意味があります。


そう考えると、「自由」はほかのカードでも表されることが必然的に理解できるでしょう。


たとえカードの意味がわからなくても、イメージだけでも「太陽」や「世界」のカードを見ていると「自由」を感じることもあります。


「愚者」=「自由」ということをただ言葉だけで暗記しているから、実際のリーディング時に読めなかったり、問題が起きたりするのです。


そうではなく、「愚者」というカードが持っている根源的な何か(一言では表せないものです)、エネルギーのようなものをとらえることです。


それは心理学者のユング的に言うと、「元型」と呼ばれるものに近いです。


そうして見た場合、「愚者」のカードの中から「自由」という意味「も」出てくるということがわかります。


この「も」というのが大切で、当然象徴ですからほかのたくさんの意味も導き出されるのです。


言ってみれば、「愚者」→「自由」であり、決して「自由」→「愚者」ではないのです。


→の方向にベクトルがある場合は、究極的には「自由」→22枚の大アルカナと言ってもよいもので、状況や状態に応じて→の先のカードが22枚の中から限定されていくのです。


それからこれも肝心なことですが、「象徴」だから数多くのことが一枚(あるいは複数)のカードから思い起こすことができるわけですが、それはまったくの無規則で想像されたものではないということです。


そのカードだから想起されることがあるのです。


奥底にある根源的なもの(人類・世界・宇宙などと表現されるもの)との結びつきがあって登場するものであり、でたらめにイメージや意味が出てくるわけではないのです。


マルセイユタロットにはその結びつきの意味でも整然としており、でたらめや混乱が出にくいカードであると言えます。


それは象徴体系・シンボリズムとして極めて高度なシステムが内包されていると考えられるからです。

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