3.11と「隠者」
今日は3月11日。
マスコミもあの昨年の日のことを報道しますし、日本人のほとんどの方は震災とその関連での出来事を想起していることでしょう。
東日本大震災の前にも、新潟や神戸などで震災の被害があり、ほかの天災も各地で様々にありました。
しかし、たとえば私も被災したあの阪神大震災においても、すでに17年が経過しますと、ほとんど風化しているようなところがあります。(本当の意味では誰も忘れてなどいないのですが)
もちろん風化するということは年数がある程度経って、逆に悪い記憶も再生や復興によってそれだけいい意味で「風化」している部分もあります。
奇しくも「風化」という文字には、四大元素の「風」という字が使われているように、四大元素の「風」の意味である「思考」や「冷静さ」「分析」要素でもって体験を見ることができるようになっているとも言えます。
とはいえ、何事もなかったかのように忘れていくというのも悲しいものがありますし、起こった内容とそれぞれの意味、その教訓は継承してかねばなりません。
前にも書きましたが、やはり「数」として祈念しておく「日にち」や「時間」を作るというのは悪い意味での風化を進ませないためにも有効かと思います。
この日、私の中に浮かんできたマルセイユタロットカードは「隠者」です。
「隠者」はその名の通り、隠れた存在であり、自らは日々修行を送りながらも蓄えた知識や経験は誰からも認められることがなく、孤独に生きています。
「隠者」自身は本来、別に認められる必要もなく、ただ自らの鍛錬・霊的向上を目指し、隔絶した世界に住むことをよしとしているわけですが、これを一般的なフィールドに当てはめていきますと、また解釈も変わってくることがあります。
そこではやはり、自分一人がよければいい(自分だけが悟ればよい)というものではなく、自分が得た知識・経験というものは誰かに伝えてこそ活かされるというものだと感じます。
そんな知識も経験もないよ、という人もいらっしゃるでしょう。ただ今回のような地震での体験は、伝えていくのに十分なものであり、むしろ伝える使命があるかもしれません。
また「隠者」が示すように、一人一人が自身を向上させ、経験と智慧を蓄積鍛錬することによって、人や世間に伝えられるレベルになるのだということです。
しかし地震のような驚異的な体験は、「神の家」体験として、すでにそれは自身のレベルや鍛錬に関係なく、そのもの自体が伝えていける(レベルの)ものだということなのです。このことはマルセイユタロットの大アルカナの絵図からも示唆されることです。
ずっと隠れていては次第にまさに「風化」していきます。あなたが朽ちる前に(これは象徴であり、心や精神のことも言っています)、その想い、その経験、その知識は伝達していくことです。
そうすると「朽ちる」こともなくなるのです。その上で、伝達された人がそれぞれの「正義」でもって自分の真実に目覚めることにもなります。
神戸の大震災で被害に遭い、肉親を失った方たちが東北の同じような境遇の方々と交流し、心のサポートをしていると聞きました。
神戸の人は17年前には悲しみにうちひしがれ、人生や世界を呪うこともあったと存じます。しかしその経験と自らが今回、東北の人を救う天使になっているのです。もちろん時間というクッションもあったでしょう。
それでもこれはある意味、人同士のつむぐ奇蹟だと感じます。改めて昨年の被害に遭われた方々、地域の皆さんの復興を心よりお祈り申し上げます。
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