マルセイユタロットの構造を知る
タロットには全部が1つで、1つが全部(全は一、一は全)であるという構造が隠されています。
これを知ること、実感することがタロットの活用のポイントでもあります。漫然とただタロット占いしていてもわかりません。
まずは基本的な、タロットの目に見える形での構造と構成を学び、その後は自己研鑽によってタロットそのものから世界の構造を知る努力(目に見えない領域を含む)をしていきます。
その過程においては、人にリーディングしたり、占ったりすることもありとなります。つまり、目的意識をもって実践することが大切なのです。
これは言ってみれば、人を占いにより援助するという目的と同時に、別の目的(タロットによって世界を知る)も内包させるということです。実践には二重の効果を持つことになるのです。
そしてこれ(多重の意味を持つ実践)こそがマルセイユタロットの「手品師」の意味するところでもあります。(マルセイユタロットの大アルカナ「1」を「魔術師」ではなく、「手品師」と呼ぶ理由もここにあります)
おそらく何を言っているのか、マルセイユタロットの解説を受けたことのない人にはわからないでしょう。
しかし「手品師」の絵の象徴について知っている人にはわかるはずです。こういう仕組みが口伝であり、アルカナとも呼ばれる伝授システムなのです。
さらにマルセイユタロットのすごいところは、その「手品師」の意味と絵柄がほかのカードとも有機的・象徴的・実的に関連を持ち、細部の部分まで工夫して図柄が描かれていることです。
いわば「手品師」一枚だけで「手品師」のカードが成立しているのではなく、「手品師」が「手品師」のカードとしてあるためには、ほかのカードがなくてはならず、逆にほかのカードも「手品師」のカードがないと成立しえないという構成になっているのです。
もし簡単にこの意味を知ろうとするのならば、身近にはトランプとゲームの関係を見てみるとよいでしょう。
もしトランプで、一枚でもあるカードが欠ければゲーム(全部を使うもの)はできません。
全部というゲームを楽しむためには、たった一枚でも重要です。
またカードそれぞれは個性(数や4つの組・スート)を持ち、それがそろうとひとつの全体としてのゲームが成立します。さらにいえば全体のカードを使うゲーム、それ自体にたくさんの種類(これがひとつの世界です)を持ちます。
こうしてみると、七並べなどは単純ですが、よいゲームだと言えます。
トランプもスートの意味や構成を知らされないと、単に遊びの道具ですが、タロットと同じ根があり、タロット的なスートと数の意味がわかれば、トランプはまったく違ったものとして登場してきます。
タロットに話を戻しますが、タロットを扱うと、私たちは偶然タロットが当たったり、タロットが世の中のことに当てはまったりするかのような感覚を覚えます。
しかしそれは偶然ではなく必然で、逆でもあるのです。
なぜならばタロット(特にマルセイユタロット)があらゆることに当てはまる型・図形をもともともっていて、意図的に描かれているからです。
簡単にいえばマルセイユタロットは宇宙の縮図であり、モデルなのです。
ですから、そのモデルの投影と表現である現実世界(目に見えない世界においても)とタロットはリンクするのです。
さらにいえば私たち(人間)自身もモデルの発展・個性表現です。
ですから、タロットの世界を探求することは自分につながり、自分(人間の構造)を知ることにもなってくるのです。
コメントを残す