タロットとホドロフスキー氏の映画

マルセイユタロットの中でも日本ではカモワン版が著名になりました。


ところで、このタロットを作った(数百年前のマルセイユタロットを原盤として再構成した)のはその名前の通り、フィリップ・カモワン氏ですが、もう一人、共同制作者として映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキー氏がいらっしゃいます。


ホドロフスキー氏はすでに高齢な方ですが、心理学をはじめあらゆることに造詣が深く(心理ワークを実際に行っていらっしゃいます)、タロットにおいても研究家・収集家としても知られている方です。


ホドロフスキー氏の日本語サイトを拝見しても、氏がタロットを使い、パリの町でボランティア的にリーディングしているという記載もあります。(余談ですが、氏のタロットの使い方に私はとても共鳴するところがあります)


そのホドロフスキー氏、本業は映画監督ですので、当然作品があります。中でも三部作といわれる「エル・トポ」「ホーリーマウンテン」「サンタサングレ」は氏が「私の息子たち」と称しているくらいですから、一見の価値はあります。


ただしカルト映画といわれるように、一部の人に熱狂的に受け入れられても、おそらく普通の方はちょっと映像的・内容的に鑑賞するのはつらいと思います。


あまりに強烈な映像・シーン・音楽が満載され、昔の映画ですから障害のある方をそのまま役者として登場させたり、グロテスクな残酷なシーンも結構あったりと、今ではまず放映禁止になるのではないかと思うところがかなり多い作品群です。ですから耐性覚悟のある方にしか、お勧めいたしません。


しかしながら、象徴としての解釈をしていくと、そのシーンの数々は魅力的かつグノーシス的ともいえるテーマにちりばめられており、マルセイユタロットの象徴をある程度知る者にとっては深く考えさせる作品ばかりです。


たとえば「サンタサングレ」


もちろんいろいろなことを作品から感じるのですが、一番思ったのは、今、母性や女性性の事柄(復活)が、特に精神世界やスピリチュアルに関心を持つ人の間では言われていますが、この母性も行きすぎると大変なことになるということです。


この作品では主人公の男性が、両親の関係に起因するある事件に遭遇したことから、精神を病み、母親に支配されるようなストーリーが展開されるのですが、この残酷性と解放の過程が極めて象徴的に描写されています。


もちろん男性性も含めて、何事も行きすぎたり、足りなさすぎたりすると問題が生じますが、一見精神世界ではよいと思われている母性的なことも、行きすぎるとその受容性によって、対象を取り込みすぎ、象徴的に言えば相手を自分の子宮の中に閉じこめ殺してしまうことになります。


子宮は本来産み育てるものですが、反対にその中から出さないとすれば、自由を奪うものとなります。


簡単に言えば過保護による相手への過干渉と支配ですが、これは愛というよりエゴに近くなりますね。


「サンタサングレ」では、強圧的な母親から息子の主人公を解放するのは、これまた女性の役割になっています。(実はほかにも「愚者」や「四大元素」を思わせる人たちも寄り添うのが印象的ですが)


この解放する女性と支配の母親との対比が見事で、一見かなりグロテスクですさまじい描写ですが、意図的な配置を双方にきちんとしているのがわかります。


これらはマルセイユタロットを学んでいると、非常に明確に理解することができます。(知識だけではなく、タロットが「絵」であるので、映画の映像とリンクさせやすいこともあります)


結局男性(性)をスポイルし堕落させるのも、解放し発展させるのも女性(性)なのです。当然ながら、その逆もまた真なりです。


女性性・男性性は、人としては男女として体現されますが、すべてはエネルギーと考えれば、結局その質の違いとバランスによって、人も世界も下降や上昇を繰り返すということになりますし、一切の解放もその真の合一にあることがわかります。


タロットや古代の象徴に興味のある方、また覚悟のある方(^_^;)は、ホドロフスキー氏の映画を見てみてください。

コメント

  1. kimidoriinko より:

    学生時代にホドロフスキーの映画を何度か名画座で見ました。
    衝撃的でした。
    ほんとうに、なつかしいですね。
    タロットを手にとるようになり、
    またホドロフスキーに再会するとは奇遇です。
    当時とは別の視点で見ることができそうです。

  2. >kimidoriinkoさん
    ホドロフスキー氏の映画を学生時代に見られていたとはすごいですね。タロットとのご縁もうなづけるものがあります。タロット学習後に見直してみると面白いでしょうね。

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