現実・真実を直視する

人間は変わることを嫌がる動物でありながら、同時に退屈を嫌って変化も望むという面白くも矛盾した側面を持っています。


これは人間の恒常性(生きるための継続・常態化)機能によるところと、宇宙の創造のサイクル(創造されたものはやがて破壊に向かい、また新しく創造されていく循環)との狭間で、若干のタイムラグや齟齬が生じるからだと感じます。


マルセイユタロットで言えば、「星」のリズムと「運命の輪」の回転の違いと言ったところでしょうか。


人間性が強く出た場合、恒常性の機能も強く働き、このままでよい、変わりたくない、地上に留まったままでいいという感情が過剰になる気がします。


そのバランスを図るには、自分が人間でありすぎない(動物でありずきない)ということです。


つまりは精神や心、もっといえば霊性の向上を意図し、行動していくということです。言い換えれば神視点を持つ、神や宇宙に近づく努力をするということでもあります。


そうすれば肉体的・動物的・人間的縛りや牢獄から解放に向かい、恒常性のわなにはまらず、現状維持・妥協・変化を嫌うということから抜け出せるようになります。


しかしながら、何事にもよい面と悪い面があります。


この恒常性の機能も、いわば自分の身を守るためのものであり、無謀さや危険さから自身を保護していると考えられるのです。


ですから知性なき宇宙への暴走・単なるあこがれは逃避や危険を生むことになるのです。


また大いなるものへ近づくという思想と行為は、結果として楽になってはきますが、その途上では自分を直視しないといけない面が多々出てきます


その意味では決して楽や楽しさだけではないのです。


たとえば、自分のことであれ、パートナーや友人・知人のことであれ、現実をきっちり認識してもらうためには、時には耳が痛いことも言わなければならないこともありますし、ずっと逃げていることを止める勇気、怖さや不安をそのままにせず、その恐怖の原因を白日のもとにさらけ出さねばならないこともあるのです。


たとえばギャンブルなどで借金をしてしまい、家族にばれるのを恐れ、隠し立てしてまたその穴埋めにギャンブルで取り戻そうとしたり、借金したりしてますます泥沼にはまっている・・・というような人がいたとします。


この場合は、本人はもちろんのことですが、その家族も厳しさ(心の受容は必要です)が求められます。


当人に安易にお金の手助けをしたり、なあなあで済ましたりせず、きちんと法律相談や精算のための努力、当人との話し合い、公にするという、とても「痛い」こともしないと、根本的な解決にならないのです。


これは家族にとっても恐怖かもしれませんが、実はそれこそがずっと続く怖さからの脱却の一番の近道なのです。


ギャンブルでの借金を例に取りましたが、ほかの悪癖や悪習慣、または一般的に悪いことでなくても、当人がずっと直面することを避けてきた問題、隠し事など、それがあるためにかえって不安が続いているというようなことは、この際、勇気を出して表に出す、本当の解決を図る決意をすることが大切です。


それは「自分が壊れてしまう」「すべてを失ってしまう」と思えるほど恐怖のことかもしれませんが、本当の恐怖はあなたがそうした不安や恐れをずっと心にしまい込んでいることなのです。


なぜならば、ずっとあなたはそのことで悩み、エネルギーを使い続けているため、創造の力を半減もしくはほとんど失い、ただでさえ牢獄の人生がさらに二重の牢獄になってしまい、なかなか抜け出せなくなるからなのです。


これはすなわち、その問題の奴隷の人生と言ってもよいものなのです。


マルセイユタロットでは、真実や現実に直面しなくてはならない時、「正義」や「神の家」「13」」が出ることがあります。


また意外にも「節制」が出ることもあります。「節制」は救済のカードですが、そのための努力や効率性も要求され、ある面厳しい救済者の時もあるのです。


ともあれ、現実を直視し、勇気ある行動を取ることで、それからの人生が楽に、クリエイティブなものへと変化して行きます。

コメント

  1. あざみ より:

    『真実や現実に直面しなくてはならない時、「正義」や「神の家」「13」」が出ることがあります。』
    病気が治るかやってみたところ未来のところに「神の家」が正位置で出ました。現実に直面しなくてはならない時が来るということは。
    厳しい現実が待っているということでしょうか。

  2. >あざみさん
    この場合はレンガ積みの象徴のほうが大切だと感じます。つまり神(神性は高次の導き)を信じて、コツコツとあせらず病に取り組むということでしょうね。決して病気も悪いととらえるのではなく、バランス不調の現れと解釈して、少しずつできる範囲で調和を目指していくとよいでしょう。

  3. あざみ より:

    >タロット講師 宮岡和宏さま
    目の前のしんどさでいっぱいいっぱいで、レンガ積みの象徴のほうに目がいってませんでした。
    「神を信じて、コツコツとあせらず病に取り組むこと。少しずつできる範囲で調和を目指していく。」
    気持ちが楽になりました。
    アドバイスありがとうございます。

  4. terimu より:

    10年くらい抱えている悩みの一つです。
    まさにギャンブルで宮岡さんの言われているような経過を繰り返してきた長男は家族と疎遠になり法事、慶事等にも一切顔を出せなくなりました。あざみさんがタロットを引かれたので、わたしも思い切って引いてみました。
    経緯に運命の輪
    現状に恋人
    展望に隠者
    すべて正位置ででました。
    今迄、手を出し過ぎたこともありましたが
    母親として今一度、話し合いを試みたほうが
    よいでしょうか?
    そうだん室のようになってしまい申し訳ありません。

  5. >terimuさん
    ちょっと個人的なご相談みたいな感じになりますので、メッセージでご返信いたします。

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