自分の状態による時間と外の時間との調整
マルセイユタロットでは、時間を特に象徴するカードは「運命の輪」といえますが、ほかにももちろん複数ありますし、時間をテーマにして22枚の大アルカナでそれぞれ考えていくことも可能です。
その中でも、「運命の輪」以外で特に取り上げたいのが「節制」です。
詳しくは述べませんが、「節制」も「ある時間」に関係するカードです。
ところで、私はうつ病や不安神経症を経験したことがありますが(その頃の話は記事カテゴリ「うつ 心の健康」をご覧ください)、このような心の不調で顕著に見られるのが、時間感覚のズレです。
私の場合は、おそらく脳内ホルモンの何らかの不調和によるものと推測される、安心・穏やかさを感じさせる物質分泌が不足し、激越なイライラ症状が出現しました。
こうなると、外の時間は止まったまま、内の時間は著しく進んでいるような感覚で、生き地獄のようなことを経験することになりました。つまりはイライラがとてつもなく激しく内には起こり、めちゃくちゃ心はあせっているものの、外は何も変わっていないという状況です。
これは極端としても、一般的に不安が増すとあせりも増加して、内なる時間感覚を急速に進ませようという意識が働きます。有り体に言えば、あせりのために待てない状況になるのです。
これはビジネスなどでも利用され、「残りあとわずか!!」と書くことによって、見ている人、迷っている人に心理的あせりを生みだし、時間を速めて決定を急がせようとします。
反対に心に満足感・充足感を感じている人は、たいてい内なる時間はゆっくりと流れ、穏やかになっています。究極的には眠りのようなことになる場合もあります。
ただ外の時間は普通に進んでいますので、いい意味で外とのギャップが生じ、つまりは心理的には年を取ることが遅くなります。このため充実した人生にいる人は、若く見られることもあるのです。
しかし逆に少年少女期に贅沢な満足を味わいすぎると、内なる時間は遅く進んでいますので、精神的に幼いままということにもなります。
実はこうした内と外の時間を調整することを見るのが、「節制」のカードだといえましょう。
「節制」のカードの大きな意味のひとつには、「救済」というものもありますから、この時間調整が働くと、自他の救済にもなることが示唆されます。
自分の心の状態を思い、あせりや不安がある場合は自分の感じている時間を遅らせ、逆に満足に浸りすぎている時や保守的な気分で満たされている場合は、もう少し判断を速めたほうがよいと言えます。
別に外の時間(一般に流れている時間、クロノス時間)と内なる時間(自分の感覚時間、カイロス時間)を一致させよと言っているのではありません。
この違いを意識して生活していくと、自分の調和の方法もわかってくるということなのです。
ですから、あえて内外時間を一致させなかったり、自分時間・カイロス時間で過ごして行ったりすることもありなのです。
ただまあ、時間(クロノス時間)は等しく万人に流れていますから、大幅に遅刻しても、「オレ時間(ワタクシ時間)ではOKなんですけど・・」と弁解しても、もちろん世間には通じませんので注意してください。(笑)
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