あなたは周囲に反応し過ぎていませんか?

タロットには「隠者」というカードがあります。


その名の通り、「隠れている者」と解釈してもいい人物ですが、ではなぜ隠れる必要があるのかということを考えてみるとよいでしょう。


もちろんこれにはいろいろな理由が想像できます。


またタロットの種類によって、同じ「隠者」であっても微妙に意味も違って来るでしょう。つまりは絵柄による違いが意味の相違も導き出すということです。(これは結構重要なことです)


そうした様々な違いはありますが、今日はひとつの意味を取り上げて、現実に活かすということを書いてみます。


「隠者」は世間から隠れているわけですから、言ってみれば、山の中や誰も近寄らない場所などで一人籠もっている状態といえます。


ということは俗世間には興味がないことになりますし、その必要性もないのでしょう。


ただ一般の我々、普通の人間からすれば、孤独に一人、人里離れたところにいるというのは生活もしにくいですし、現実的ではありません。


ということで、このカードをそのまま「山に籠もるべし」などと読むのではなく、精神的なこころのあり方、実際環境でできる「隠者」的行為として考察すると、カードを現実に活用できることになります。(これはほかのカードにも言えることです)


「隠者」の場合、簡単にいえば、「外にある状況の影響を受けずに、内なるものに集中せよ」ということが浮かんできます。その意味では「吊るし」とも似ているでしょう。


たとえば先日までオリンピックが開催されていましたが、もしそうした世間一般の情報や状況から自分を遮断していれば、オリンピックの選手の結果に一喜一憂することはなかったでしょう。


このように、何かを見たり、何かに反応しようとしたりすれば、普通は必ず心の変動(波)が生じます。言い換えれば感情が起こるということです。


人は実は感情によってふりまわされもしますし、「感動」という言葉があるように、心が動いてすばらしい体験をすることもあります。


オリンピックを見ていて、生活リズムを崩した人がいたり、まさに「感動」したりした人がいたことがそれを物語っています。


ここでは「感情」が悪いと言っているのではありません。ただその感情に自分を支配されてしまっては、自分の人生がまったくのノンコントロール状態の奴隷と同じようになるということに注意をしているのです。


そのためのひとつの対策としては、自分を静かな環境に置くということが挙げられます。


現代では多くの行事やイベントへの参加要請と情報、さらには広告宣伝による日常的な心への刺激攻撃にさらされていますので、不必要な行動と騒々しい環境に身を置くことがよく起こります。


そのため、さっきまで安定していた心も、周囲からの刺激によって、自分の心に変動(波)が起きてしまい、抱えなくてもいい悩みや不安、思いや考えを持ってしまうことになります。


これがあなたをさらに迷わせることになったり、エネルギーを浪費したりすることになるのです。


ただ逆にいえば、心が動かない環境は味気ない生活でもあるので、刺激に慣れている人にはとても退屈だと感じるでしょう。


実は心を波のように動かすことで、逆にある種の自分のエネルギーにしていくことが秘伝では言われていることですが、それはなかなか難しいことなので、今回は無闇に波風立てないほうを書いています。


「隠者」に戻りますが、「隠者」と「吊るし」で違うところは、「隠者」は蓄積された智慧をもって探求(探究)しているところにあります。


あえて社会や周囲から隔絶した時間と環境を持つことで、自分の心(内側)を穏やかにするという点では、「吊るし」も同様だと言えますが、「隠者」では一方で能動的に、そうした静かな環境を確保したうえで自分の探究を行っているところが重要です。


今まで自分が培った知識や経験をもとに、周囲の雑事にふりまわされることなく、一人の時間をもつことによって、本来自分がなすべきことがよく見えてくるのです。あるいは本分に集中できると言ってもよいでしょう。


ですから時には人の誘いを断ったり、予定していた計画が本当に必要なのかを吟味したりして、無駄な刺激のままに過ごしていないかチェックし、孤独な一人の時間、静かな環境を持つことが勧められます。


そうすると、いかに普段、私たちは外からの働きかけで心が反応し、それにふりまわされているかを知ることになるでしょう。


現代人の心労や心の定まらないような意識は、多分に環境にそのままに反応している点が多いと感じます。

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