ご縁の立場
人間に結ばれていく「縁」というものは不思議なもので、自分が意図したものもありますが、大半は思ってもみなかったところからつながっていくことがあります。
この「縁」という現象をうまく絵柄で表しているのがマルセイユタロットの「恋人」カードなのですが、そのことについては、タロット講座で詳しくお伝えしています。
とにかく、縁というのは、自分の力で「つなげていくもの」と、自分の意志とは関係なく「つながっていくもの」があるのだということです。
このふたつの作用により、私たちはたくさんの人や物事に出会い、成長を繰り返していきます。
ですからじっとしていても、少しはつながるものもあるでしょうが、やはり自らの行動でつなげていくことも必要なわけです。
ところで、この「縁」のつながりの中でも、実はキーマンになる人がいます。
いや、誰もがキーマンになることがあるのです。
そこがまた人の縁の面白さと言えます。特に偶然つながっていく縁には、誰かの紹介というパターンが多いでしょう。
結婚に至るパートナーの紹介をはじめ、仕事をもってきてくれる人の紹介、遊び仲間の紹介などなど・・・人生の彩りを決定させるほどの関係が、実は誰かが間に入ることによって縁が生じ、重要な人と知り合うことができます。
今はもちろん、ネット社会ですから、人を介さず知り合うこともありますが、それでもまだまだ「人」が縁の重要なファクターであることには変わりありません。
この、人と人との出会いの間に入る人の立場は、先述したように、誰でも経験することです。
3人が平行に並んでいる人物たちを思い浮かべてください。こうすると、左右の人物と、真ん中の人物という立ち位置になります。
当然真ん中の人物が両端の人物たちを紹介するような立場になるわけですが、逆に端の人物が残りの二人の人物を取り持つというようにも見えてきます。
いずれにせよ、私たちは紹介される側の人物にもなりますし、する側の人物にもなるということです。
そしてここが大切なのですが、自分がある人と出会ったとしても、その人に出会うことが確かに最初の目的かもしれないのですが、その奥にはもう一人、別の人物がいて、その人に会うということが真の(目に見えない)目的であったということも考えられるわけです。
間に入った人物自身も、そのことを自覚せず、最初に知り合った人物との縁が重要だと思ったり、運命の人であると思い込んだりすることもあるかもしれません。
しかし、実は自分は自分の知っている人物を、知り合った人に紹介する(結びつける)キューピッド役であったのだということもありうるわけです。
それに気付いた時、ちょっと自らでは寂しい感じがあるかもしれませんが、それも各人の人生劇場においては、大きな意味で欠かせない登場(重要)人物なのです。
このように自分が主人公のようでいて、実は脇役になることもありますし、その逆もまたしかりです。
マルセイユタロットの「恋人」カードには、実際にキューピッドが描かれています。
キュピーッドの放つ矢は一般的には、ささった相手に恋をすることになると言われていますが、一方では、人間社会での、まさにキューピッドの役割として指名されることの意味もあるのです。
こうした視点で「縁」を見ていくと、とても面白いものです。
日本語では「縁」に「ご」をつけて「ご縁」と尊称しています。それだけ不可思議な力と働きを感じているのですね。
コメントを残す