記憶が自分を整えることもある。
タロットの受講生の方から、こんな話を聞いたことがあります。
ある方が外国旅行に長期に行って、体調が悪くなり、現地の医者に診てもらったり、薬を飲んだりしたもののなかなかよくならず困っていたところ、そこに住まわれる日本人の方が日本食を用意してくれて、みそ汁を飲んだところ、一気に回復したというお話です。
これは成分や医学的なこともあるのでしょうが、やはり精神的なものが大きく作用しているということでしょう。
そしてその中でも特に注目したいのは、「記憶」というものの影響です。
この話を思い出したのは、先日、私は愛知県に行っていて、そこで供されるみそ汁「赤だし」を飲んで気分がよくなったからなのですね。
実は私は母方の家系が岐阜県にあり、幼少期に祖母に預けられていたこともあって、「赤だし」の記憶が強くあるのです。
もちろん、私の住む関西でも八丁味噌は売っていますし、お店でも出てくることはあります。しかし、どこか中京地方のものとは違うのですね。
とにかく、自分が過去に経験したり、育った環境で食したりしたものにはノスタルジーとともに、癒しの効果があり、それは体がもともと記憶しているからなのだと推測されます。
たとえばハンバーガーを小さい時から食べていて、母親に愛された記憶のある(顕在意識では普段は忘れていても)アメリカ人が、東洋に来てその地方の食事ばかりしていた時に、たまたまハンバーガーを売っているを見つけ、それを食べたとしたら、おそらくかなり癒された気分になるのではないでしょうか。
中年以降の日本人にはハンバーガーを食べて体調がよくなるということはあまりないかもしれませんが、上記のようなアメリカ人には、逆に体調がハンバーガーを食べることによって良くなることもあり得ると考えられます。
それほど記憶(これは頭の記憶というより体の記憶に近いでしょう)は重要な要素を持つということです。
このように考えると、私たちの好みというものはかなり育成環境による経験で培われるものが多いと予想され、それによって自分の人生も少なからず作り上げられているところがあるように感じます。
なぜならば、「好み」は選択の重要なファクターであり、選択されることによって人生も決まってくるからです。
これ(記憶)を白紙に戻すということもある程度できる(記憶の上書きなどで)でしょうし、反対に自分の気分や運勢を整えるという意味で使うこともできるでしょう。
後者は自分の過去の記憶中で癒されたり、気持ちが良かったり、運勢も好調だったりした時の環境(似た場所・音楽・空気・人など)を再現したりすることで、体の記憶が呼び起こされ、その時のものと同じ波動を出すということが考えられます。
細胞自体はどんどんと新しいものに入れ替わりますが、人の体が変わらずそのままを保てるように、細胞のもとになる司令部にはきちんと経験したことが記憶されていて、それをふまえて細胞も再生され続けていくとイメージできます。
ですから記憶(癒し喜びのプラスだけではなく、恐怖・ダメージなどのマイナスもあり)は細胞(身体)にも刻印されているのだと見ることができます。
皆様も過去を振り返って調べてみるとよいでしょう。
これはマルセイユタロットで言えば、「隠者」が「正義」や「節制」を呼ぶような経験なのです。
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