不透明なカードには大切な意味がある。
タロットには「数」が記されていますが、これは無意味に記されているわけではありません。
マルセイユタロットには、大アルカナ、小アルカナの数カードに「数」があります。
従って、これを数秘術的なもので見ていく(解釈する)ことは可能ですが、単純に、数の大小で区分けしたり、整理したり、まとめてみたりすることもできます。
もはや有名にはなってきていますが、マルセイユタロットの大アルカナの数の順番(大小)には、あるテーマが流れています。
数ですから階層やグループも生じます。そこにまた特別の意味が見い出せるのです。
さて、そうした大アルカナの数の順番に並べていく中で、明らかに前後のカード、または流れからして特殊に見えるカードがあります。
もちろんモノの見方にはいろいろとありますから、どのカードも特殊なポイントや転換点のようにとらえることができるのですが、とりあえずここでは「二枚」のカードを挙げたいと思います。
それは「恋人」と「月」のカードです。(あくまでマルセイユ版を事例として語っています)
このふたつは、何か絵柄のメージ的にも、迷いや葛藤、もやっとした感じが想起できます。
事実、そうした読み方や意味にもなってくることもあります。
もし、カードの数の流れが人生のようなものを象徴していたとすれば、私たちは、生きている中で、すべて白黒はっきりつけられるような明快な状況を経験しているのではないと気がつくことができます。
いや、むしろ現実的には迷いや葛藤が多いのが常です。
そして、多くの人はその状態を嫌悪したり、早くすっきりさせたいとあせったりします。
性格的にも思考的にも、白黒をはっきりつけて生きてきた人、そうすることが大切だと信じてきた人には、「月」や「恋人」のカードには不安な気持ちをかき立てられます。
しかし、さきほども言いましたように、人生は迷いの連続とも言えます。
ですから、そもそも白黒はっきりした人生というものを望めば望むほど、実際とは異なってきますので、それだけ苦しいことにもなりかねません。
仮にこれまで「はっきり」人生で乗り越えてきた人にも、いつか葛藤や迷い・中途半端・二者択一の狭間で悩むようなことが必ず起こってきます。
逆説的に言えば、つまりはそれが人生なのです。そして何事もネガティブな側面とポジティブな面があります。
葛藤や迷い、不透明な時期・状態は気持ちが落ち着かない、妙な感じであるのは確かですが、その分、恩恵もあるはずです。
たいていの場合、それまでの自分を超えるために迷いや葛藤が生ずる事が起こっていると見ることができます。
またそれまでのペースでは超えられないものがあると示唆していることもあります。(ですから時間が必要になったり、リズムの変更が要求されたりします)
「はっきりできない」ということは、今までの思考・レベル・次元でしか物事を見ることができないということであり、それを超越すれば、解決策を得たり、けじめをつけたりすることは可能になるのです。
だからこそ、「恋人」や「月」は全体の(大アルカナの数をもとにした)流れの中でも特殊に位置にあり、また読みにくいこともある絵柄になっているのです。
ふたつのカードとも、その後の(次の数を持つ)カードは明快なカードであることに気が付くでしょう。
葛藤が起こること、悩み事が生ずること、それ自体があなたの成長の現れだととらえると、心も少しは楽になってくるはずです。
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