人間関係の多重構造

人間関係は、タロットリーディングの相談でも多いテーマです。

一般的にもこれで悩み苦しんでいる人もいれば、人間同士の心地よい関係ほど楽しめるものもないとエンジョイしている人もたくさんいます。

恋人やパートナー、夫婦、家族、友人たちとの素敵な時間も、いわば人間関係から生み出されているのですから、人間関係は喜怒哀楽の感情を生じさせる最たるものと言うこともできるかもしれません。

人間関係は「関係」と名前がついているように、誰かとの相対的なもので決まってきます。

人間関係で悩む場合、案外、これが忘れ去られています。

自分にとっての相手と、相手にとっての自分は同じようでいてまったく違います

それは自分を中心とした人生劇場と、他人を中心としたそれとを比較すればわかるでしょう。

あなたが主人公の舞台と、相手が主人公の物語とでは、人物の価値(役割・重要度)が異なるのです。

すなわち、人の数だけ舞台や劇場があり、それはその人が主人公のストーリーなのです。

従って、あなたが思うほど、相手自身からあなたを見た場合、大きな存在ではないことがほとんどです。

自分の人生劇場で、自分以外の人を主人公設定している人はまずいないからです。

確かにシーンひとつだけを抜き出して見れば、主人公を超えて目立つ登場人物もいるかもしれませんが、それも結局は主人公(の人生ドラマ)を引き立てる役に過ぎません。

ですから、中心はあなた自身であると思うことが大切です。

あなたと相手は、それぞれの劇で必要な役柄をともに演じているのですが、それは同じ劇ではなく、互いにゲスト出演しながら、別の物語を創造しているわけです。

相手の物語は相手の領分であり、あなたはゲストでしかないので、必要以上に気にかける必要はありません。

ただ人生劇場のストーリーはプロットは大まかに決められているものの、ライブで即興劇として演じられていく部分もあり、あなたが相手の劇に、より関わろうとすると、そういう劇にお互いものが変化してきます。

しかしながら見ているほうとしては、「いつまでこれ、続くんだよ!」と不興を買いそうです。(笑) もちろんそれが伏線となっていて、すばらしい大逆転とか展開があれば話は別ですが。

さて、マルセイユタロットではカードの人物などの視線によって、人間関係や、ある人物の関心事をイメージするという技法があります。

これをうまく利用すれば、自分中心の劇と、相手の劇とを分けて観察することができます

つまり、同じ舞台で演じられている二種(自分と相手)の人生劇を、ひとつのタロット展開から想像し、読み取ることが可能になるわけです。(とはいえ、劇の全容ではなく、あるテーマに沿った見方ではあります)

自分は相手にとってどういう役なのか(反対に、相手は自分にとってどういう役回りの人物なのか)、そのあてがわれているものを洞察することで、人間関係に冷静になれたり、真の関係の意味(なぜその人とそのような状態になっているのかの心理的・魂的意味)を知ることができたりします。

相手の役を自分が勝手に思い込むことは自由ですが、相手にもあなたの役を決めたり、思ったりする自由があります。

それが一致していれば楽しいでしょうが、そうではないことが多いのも人間関係の難しいところで、また興味深い部分でもあります。

そして両者を結んだり、観客目線で二種の劇を統合して見ているのは、神性なる自分であり、またマルセイユタロットでいえば天使的な存在(神の使い)です。

このことは「恋人」カードに象徴されています。

ということで、自分が相手にとって現実的(表面的)にどういう関係であるかとか、よい印象を強く残すかどうかなどは、大きな目線で考えれば、ほとんど意味のないことになります。(現実的な部分では意味は、やはりあります)

さらに言えば、相手にどう見られるかは、相手の劇での話になってくるので、自分が完全にコントロールできるわけではありません。

どのように見られようと、あなたはいい・悪いを含めて、相手の劇を彩る人物として相手には何らかの貢献をしているのであり、それで十分と言えます。

とにかくあなたは役に立っていると思い、安心するか、過剰に関係を期待しないことです。

あなたはあなた自身を中心として、多くの人と結びつきを得ながら、あなたの人生劇場を、より充実させて行けばよいのです。それが結局、あなたと関わる人の人生劇場をも輝かせることにつながるのです。

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