リーディングにおける人の世界観
人にはそれぞれの世界観があり、自分の世界は人と同じようでいて、異なるものでもあります。
対人タロットリーディングでもそうなのですが、この、「人の世界観」にどう寄り添うかが重要です。
極端なことを言えば、問題状態にある時、誰もが軽重の違いはあれ、統合失調にあると言ってもよいです。
それは自分の信じている世界観、従来のデータから導き出される世界観と今とが、統合が取れない状況を呈していると言えるからです。
だからタロットリーダーは、相談者の新しい世界とこれまでの世界との橋渡しを、タロット(の象徴)を通じてサポートするのが役割でもあります。
このあたりはプロ向けの私のタロット講座でも、これまで以上に説明して行きたいと考えています。
さて、新旧の世界観の統合とは別に、タロットリーダーの生きる世界と、相談者・クライアント側の生きる世界の次元・層(相)のズレがあまりに大きい場合は、リーディングによる問題の解決や浄化が少々難しいことがあります。
「世界」というのを「価値観」と言い換えてもよいでしょう。
つまり、タロットリーダーが受けて入れられる世界が、クライアントのそれと著しくかけ離れている場合、最初から、クライアント自体を拒否してしまう傾向になりがちなのです。
かと言って、タロットリーダーも人間ですから、話される内容によっては感情的に嫌悪感や拒否感、そこまでなくても、疑問感が多少出るのも否めません。
ただ、タロットリーダーはタロットを使う(読む)からこそタロットリーダーなわけであり、ここにタロットを使う意味と意義が大きく出てきます。
特に最初に大アルカナ(マルセイユタロットのケースです)から展開していくこと、検討していくことは、物事を抽象化していくこともなりますので、お互いの具体的世界観をいい意味で棚上げたした状況(中間の状態)にします。
簡単にいえば、どちらの世界も「シンボルイメージ」にしてしまう(置き換えてしまう)ということです。
たとえば、ペットの犬が亡くなったことで悲しみ、悩んでいるクライアントがいて、「自分(クライアント)は犬と会話できていて、犬の魂が今近くにいて自分に訴えかけているのが気になる」という問題があったとします。
一方リーダー側は、「犬と人間は会話などできないだろう、犬の死による何か心理的なトラブル状態なのだろう」という世界観でこの問題を見ているとします。
このまま話を進めると、本当の意味ではなかなか両者ともに納得した相談ができません。
ここにタロットカードの象徴を間に入れます。
すると、あるカードがクライアント側ではペットの犬の魂を象徴するカードに見え、逆にリーダー側ではクライアントの心理的な状態をカードが表していると見ることができます。
両者は見方は違うものの、「タロットカード」という同じ象徴を通して、世界観は違えど場を共有すること(心を通じ合わせること)はできるのです。
また、タロットリーダー側もカードがあれば、犬の魂を擬人化して見ることも可能であり、反対にクライアント側もカードの象徴の説明を受けると、自分の心理状態が絵として表れていることを認識できるようになります。
結局のところ、お互いの世界(観)は違っていても、相談自体はうまく行き、心がともに静まり、納得することが可能になるわけです。
カードの象徴というものは、こういう機能があります。
ただ誰もがスムースにいつでもできるわけではなく、リーダー側にはそれなりの受容性の拡大、タロットの象徴知識の蓄積、いろいろな面での統合性と客観性は求められます。
つまりはクライアントの多種の世界観を、カードによって理解するテクニックが重要なのです。ということは、自分自身もいろいろな層(相)を「アリ」だと認められる許容力が必要とされます。
それはどれが正しいとか正しくないとかの判断(裁判)する力ではなく、どれをこの場合、選択することがベターなのかという選択の力といったほうがいいでしょう。
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