カードに見る、声に出すことの重要性
マルセイユタロットの通常の読みでは、「伝えること」「話をすること」は、「法皇」がそのテーマを一番表していると考えられますが、もちろんその他のカードでも象徴することはできます。
深くタロットを見ていくと、声や発声に関するカードがたくさんあることがわかります。
私自身も完全に意味を把握しているわけではありませんが、おそらくそれらのひとつひとつと、さらにカード同士が組み合わされることによって、特別な発声の暗号が見い出せるのではないかと想像しています。
実はそれこそが、カードの単体の図像構成とともなって、特別なマルセイユタロットの奥義として隠されていることを感じます。いわば覚醒の秘密が図像や発声にあると見られるわけです。
さて、声を出すということは、単純に見てもいろいろと効果があります。
人々がカラオケをしたり、日常的にたわいもない会話をしたり、時には愚痴ったりすることで、ストレス発散と解消になっていることは、誰でもわかると思います。
おしゃべりの人は特にそうですが、自由に発言できない、しゃべることのできない環境に長く置かれると、ほとんどの人は心を病みます。
では無口な人は大丈夫かといえば、そうとも言い切れません。
なぜならば、人には心の中の声というものがあり、自分は口下手・無口だと思っていても、実は心の中の声は多弁であったり、声にならないつぶやきを多く発していることがあるからです。
そのため、そういう心のつぶやきさえ自由にできない雰囲気(強制的な洗脳モード、何かを無理矢理唱えさせられたり、行動を継続させられたりするような状態)が長期に及ぶと、やはり無口な人でさえ、心を壊すおそれがあるのです。
つまり、人は声を実際に発音して外に出すか、音声にならずとも内に出すかによって、結局のところ、何かを思い主張することのバランスを、誰でも自分でオートマチックに取っているということができます。
それが外向きか内向きかによる傾向の違いがあるだけです。(内向きでも、「思う」ことで思考エネルギーとして、発声したのと同様のエネルギーが、いくらかは内に出ていると考えられます)
あと、思いだけではなく、エネルギーとして声が情報を持つ場合があります。厳密に言えば、発声することの息も関係します。
声も音声波動を持つ情報媒体だとすれば、人間が聞くことのできる言葉の意味だけではない情報が、いろいろと詰まっていることがイメージできます。
ということは、たとえば自分の蓄積しているネガティブな情報も、声(と息)にノッて発散していることも考えられます。
よって、声に出すことでスカッとしたり、気持ちが晴れわたったりするわけです。
また出した声の波動によって、自分や周囲の雰囲気を変えたり、破ったりする「祓い」の効果も想定できます。
科学的にも、音によってモノが破壊できることは皆さんもご存知でしょう。それだけ音の威力は大きいのです。
古代には、音声のことが今よりもっと別の意味できちんと認識されており、その活用は場の調整から意識の拡大と覚醒、高次の獲得まで及んでいました。
宗教上で詠唱が重用視されているのも、そうした理由が考えられます。聖典やお経の言葉の意味も重要かもしれませんが、むしろ音の響きそのものに、秘密が隠されていことが多いと言えます。
声に出すことは自己「表現」の大きな方法です。
自分に自信がなかったり、落ち込んだり、元気がない時は、声を出す環境や機会を意識的に作ることで、勇気を得たり、復活を遂げることができます。(このあたりはマルセイユタロットの「力」や「審判」のカードとも関連します)
独り言を言うだけでも、実は考えが整理されてくることもあります。(自分とのコミュニケーション)
さらに、なりたい自分を音声で表現することは、その状態を音によって生み出していることでもあり、ある種の効果があります。
タロットを展開した時、発声を意識するようなカードが出た時は、そのようなことも考えて実践してみるとよいでしょう。
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