タロット展開から物語を読むこと。
私はもともシナリオを書いたり、物語を創ったりすることが好きだったので、マルセイユタロットのリーディングも、固定したスプレッドや意味で見るより、展開全体とカード一枚一枚の関連でストーリーを紡ぎ、読み取るほうが性に合っていました。
タロットに興味のなかった私が、最初にカモワン流と呼ばれる流動的な展開法を採用するフィリップ・カモワン氏のメソッドを学ぶことになったのは、必然だったのかもしれません。
その後、オリジナルや個人活動を展開するに当たり、ほかの固定的なスプレッド(展開法)を研究したり、実践したりしてきましたが、要はどちらにしろ、実はほとんどの場合、カード解釈おいては何らかのストーリーを創造(想像でもあります)しているということに気がつきました。
人によって、ストーリーの作り方には個性があり、それがタロットの展開の仕方と慣れによって、自分に合ったものが選択されているという仕組みです。
もちろん何事もそうですが、最初に習う人(先生・講師)の主張や、やり方というのは大きな影響を学習者に与えます。
なぜかと言いますと、知らないことやできないことを自分のものにするためには、人は真似から入るためです。
「学ぶ」は「まねぶ」から来ていると言われることがある所以です。
ということで、最初の選択というのは結構学びには重要であり、慎重な選択が求められますが、一方で、どのやり方においてもすべて一理ありますから、選択の間違いというのは究極的にはないと考えてもよいでしょう。
どんな先生につこうが、またやり方を習おうが、個人の成長に生かすことができ、自分次第でそれはよい経験や蓄積へと変えることができます。
ただ短期的な目的にかなうかどうかという点では、やはり先生や教えている内容によって、選ぶ必要は生じます。まあ、習っている途中で短期的な目的が変わることもあるのですが。
さて、話が「学びにおける最初の選択」というテーマになっていますが、実は今日言いたいことは、ストーリーの読み取り(タロットカードによる創作)のことなのです。ということで話を戻します。
タロットのストーリーを読み解く時、単体のカードではシンプルでわかりやすい(逆に情報が少なすぎて難しいこともあります)ですが、どのスプレッドにしろ、複数枚で考察する場合は、やはり複雑なものとなります。
その点、位置の意味が決まっている固定スプレッド(たとえばこの位置のカードは「相手の気持ち」を表すというような見方)では、案外創作は楽です。
というのは構成ポイント(項目)が例えば、「主人公、相手、主人公の気持ち、相手の気持ち、問題点、解決方法、このままでの結果、改善された結果・・・」などと最初から決まっているからで、それにカードの意味をあてはめさえすれば、自ずとストーリーができるからです。
いわばストーリー(作り)のテンプレートが存在しているわけです。
タロットの占いの現場では、ほとんど固定スプレッドが使用されていますが、それは固定のものがメジャーであるというだけではなく、このようにストーリー構成において、それがテンプレート化されていることにあると私は見ています。
しかしながら、あまり位置による意味が決まっていない流動スプレッドでは、テンプレート化されていませんので、自分で落語の三題噺のように、カードをもとにして一からスートリーを創りあげなくてはならないところに難しさがあります。
たとえば、「夏、セミ、プール」などという三題があれば、それぞれが一見して関連している(夏の風物詩として)のがわかり、物語は簡単に創られそうです。
これに「好きな季節」は夏、「強く記憶しているもの」はセミ(の声)、「事件発生場所」はプールとお題に対する意味も決めていれば、なおさら物語はイメージされやすくなるでしょう。これが固定スプレッドの効果です。
ところが流動スプレッドでは、「夏、素粒子、教会」などと言った、一見しても関連性がわからず、さらにそれぞれに付随する意味もないので、余計に難しくなります。(関連性のないお題が登場するという観点では、固定スプレッドも同じですが、位置の意味が決まっている分、楽です)
しかし逆にいえば、関連性のないバラバラのものの中に、共通性やストーリーを創り出す訓練にもなっているということです。
関連やストーリーを構築するということは、それだけシンクロニシティや創造性の発現につながるのです。
またリーディングにおいて、常識的な誰しも関連性のわかるストーリーというものは、相手にもわかっていることなので、それほど意味を持たず、ブレイクや飛躍、癒しや浄化にはなりにくいのです。
盲点であったり、今までの観点からは気がつけなかったことに気がついたりした時に、感動が起きます。
その分、リーダーは飛躍したストーリーの読解力・構成力が求められるのです。
さらに無関係なものから関連性を発見することは、自己フィールド認識の拡大を意味し、行き着くところは世界は私、私は世界という境地であり、一種の悟りに近くなります。
エネルギーとフィールドが広がって、(成長のための)縁がつながったり、自らでつなげたりすることも、もっと簡単にできるようになります。
想像するストーリーは、まさに創造するストーリーと力になり、その強化は想像したものを現実化する力と確実性を進化させます。
タロットの目的のひとつはイメージ力の強化にあり、その力は偉大にして崇高です。人と神が似姿であることを実感するものであり、また両者をつなぐ場を創るのです。
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