タロットリーディングにおける主観1
私が思うに、タロットリーディングにおいて、純粋な客観というものはないと考えています。
また、タロットだけの示唆ですべてわかったり、アドバイスが受けられたりするというものでもないと思っています。
いわば、タロットリーディングはリーダーの主観と経験・蓄積とが融合されて披露されるものだと結論できます。
もちろん、非常に直感力や何か目に見えないものを感じ取る能力が高い人は、タロットからのインスピレーションによって、あまり主観の入らないリーディングをすることがあるかもしれませんが、こういうタイプの人は少数です。
「タロット占い」では霊感タイプの人もよくいらっしゃるかもしれませんが、占いタイプといえど、自分の主観はほぼ必ず入るものと推測できます。
では、「そんな主観でモノを言われたら、タロットを使う必要や利点などあまりないのではないか」と考える人もいるでしょう。
ところが、それでもタロットを使用するよさがあるのです。
それは、たとえタロットを読むことが主観や自分の経験からであっても、何もないところから手がかりやヒントをつかむことは難しいからです。
人の脳、あるいは別の場所もあるかもしれませんが、、とにかくこれまでの膨大な情報の蓄積が存在しています。
それは自分が学んだり、意図をもって経験したりしたことはもちろん、無意識のうちに見たり聞いたり感じたりしたものすべてが入っていると考えられます。
あなた自身は忘れているかもしれませんが、それは思い出せないだけです。人間は、記憶させるより、実はこの、「思い出す」ことが難しいのです。
それもTPOに応じた、適切でストーリーある合理的な思い出し方が困難です。
ぱっと何かが思い浮かんだり、一部だけが出てきたりすることはあっても、うまくそれらがつながって、今の直面している問題や課題にヒントになる形では思い出しにくいのです。
例えば、今の課題は10年前に読んだ本にその解決の糸口が書かれてあったり、以前に体験した事柄に現在の問題の原因があるということが結構あるものですが、それを人は思い出すことがうまくできません。あまりよい経験でない場合、思い出せないようにブロックしていることも多々あります。
ところが「象徴」であるタロットの絵柄を見ていくことで、それが記憶庫の中から取り出され、再生されるきっかけとなる場合があるのです。
この理由は私にも確たるものを言うことができませんが、おそらくタロットが「象徴」であることにより、「象徴」が次元や時間を超えて、人の意識の中に働きかけることが可能になりますので、普段眠っている記憶にアクセスすることができるのではないかと想像しています。
特にマルセイユタロットは人の「元型」「アーキタイプ」と呼ばれる普遍的なパターンも絵柄の象徴として内包しているので、その特別な幾何学的図形デザインと相まって、潜在意識に刺激を与えることができるのだと考えられます。
タロットのスプレッド(展開法)では、過去・現在・未来と時系列的にカードを並べる手法が比較的よくありますが、過去パートをこのように置くのも、こうした昔の記憶を取り出せる機能がタロットにはあるからだと思います。
※過去をリーディングする理由にはほかにもあり、このことは講座でしっかりお話しています。
いずれにしても、タロットリーダーの主観や経験もクライアントの記憶とともに、タロットによって一部蘇ってくるのです。
そして両者の記憶の複合したリーディングがなされていきます。
その仕組みについては次回に続きで述べたいと思います。
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