タロットリーディングにおける主観2

前回の続きになります。

タロットリーディングはほぼ主観であるというお話をしております。

この前の記事では、記憶をなかなか普通は都合よく思い出せないものの、タロットを使うと、その象徴の働きで、何もないよりかは格段に想起しやすくなるお話をしました。

今回はこれをふまえて、タロットリーディングが主観で成り立つ原理について考えてみたいと思います。

まずクライアント(相談者)がいてもいなくても(自分でタロットに質問して引く場合でも)、引いたカードの絵柄を誰でも見ることになります。

そこでカードの印象・イメージから思い起こされる事柄が出ます。ただ、クライアントの方はカードの意味を知らないことがほとんどですので、あくまでカードから受ける印象が主となります。

このため、カードの種類が違うと、受け取るイメージ・印象も変わってくるのは当然です。

タロットリーダーAさんに見てもらった時と、Bさんとでは違う内容に感じる・・・というのも、占ってもらったカード種の違いが要因という場合もあるわけです。

ですから、タロットの種類(絵柄の個性)というのはとても重要なファクターとなります。

しかしながら、次の、カードから印象を受けたあとの段階からはタロットリーダーの解説になってきますので、ここからは絵柄というより、カードの意味が加わってきて、カード種の違いの問題を超えていくことにもなってきます。

とはいえ、タロットリーダー側も、カードから受ける印象がありますので、やはりカードの絵柄は大きな要素を占めます。

それはさておき、リーディング原理について見て行きますと、要はカードから受ける印象(イメージ)と、カードに象徴されている意味とのふたつの情報があることがわかります。

イメージの場合はあやふやなものであったり、その都度カードを見た時に変化することがありますが、カードの意味については、大きな概念ではほぼ不変で同じです。

しかしながら、やはり個別性と言いますか、その問いに応じた見方というものもあって、このあたりはカードが「象徴」たるゆえんで、普遍的な意味と個別的な意味合いの両方が出現し、奥底で実はそれが矛盾しないようつながってくるのが「象徴」であるとも言えます。

この、カードにおける大きな意味(普遍的な意味)ではなく、個別的な意味が実は主観が入りやすいものなのです。

例えば看護師の経験のある方がリーディングすると、「節制」(マルセイユタロットの場合)の壺の水が、具体的な治療方法や点滴のように見えるかもしれません。

飲食店の人にはメニューにあるドリンクかもしれませんし、アロマが好きな人にはエッセンシャルオイルに思えるかもしれない・・・という具合です。

また、以前自分が「この人に相談して仕事の問題が解決した!」という経験があり、それがたまたま「節制」の人に思えた場合は、その人か、あるいはその人の立場に近いような人に相談してみたら?とリーディングすることもありえます。

※「節制」には救済の意味合いも出てきますので、上記事例においても、すべて「救済」「癒し」「治療」的なもので共通している部分があることが重要です。

つまり、カードから直接細かな具体的な内容や方法を読み取るのではなく、カードが示す抽象的とも言える方向性・エネルギー・運動・心構え・人物・環境等を、自分のこれまで得ている知識や経験からリンクさせて解説しているということが多いわけなのです。

ということは、リーディングの上達には、人助けや問題解決の意識を常に持ち続けている人のほうが、対人相談を目的とするタロットリーディングには有効に働くことになります。

これは意外に知られていない事実です。

一方で、この原理からすると、マイナス面も考えられ、言ってみれば、自分の得意な分野や経験によって、リーディングの仕方も変わる、あるいは偏るということもありえます。

さきほどの例で言うと、「節制」の壺を見るといつも「薬」しか思い浮かばないというような、狭い範囲の見方です。

一番まずいのは、「壺」の象徴的意味さえ学ばず、ただ印象やレッテルのように貼り付けた意味のみでリーディングすることです。

この場合、固定した読み方に陥りやすいか、まさに単なるイメージ読みとなって浅薄なものとなりやすいのです。

イメージや印象で受け取るものと同時に、象徴の意味と感覚を学んで、その両方を統合することで、より客観的な読み方ができてきます。

しかし、この記事の主題のように、本来、主観でタロットを読むことになりますので、「象徴」を理解した読み方をしても、純粋客観はできないでしょう。

けれども逆に言えば、象徴を見ることで、完璧な客観はあり得ないとはいえ、あまりに狭い主観読みになることを防ぐことが可能になるのです。

もうひとつは、主観ではあっても、自分が普段は忘れている知識や経験を、タロットの象徴から思い起こすことができるという大きな利点があります。

もちろんタロットリーダーだけではなく、クライアントの受けた印象情報も大切で、それがタロットの象徴(の原義)とリンクしているかどうかをタロットリーダーが検証することで、潜在的にクライアントのその見え方の情報が重要なものか、そうでないかの区別をすることもできます。

タロットは自由に読むのも一側面としてはありますが、土台、主観が入りますので、自由に読むことなど本来はできません。

しかしそこに意図的に描かれている形・色・図柄を見ることによって、それを元にした想起・想念がわき起こってくるようになっています。それは何もないところから思い起こすのとはわけが違うのです。

さらにはカードの象徴の意味と比較検討することで、クライアント(または自分)の、囚われであったり、歪みであったり、強調であったり、利点であったり、特質であったり、希望や願望であったり・・・をとらえていくこともできるのです。

その点で私は、タロットリーダーを目指す人にも、「象徴」やその意味と表れ方をよく勉強してくださいと言っているのです。

一日そこらでタロット全体の象徴原理を説明したり、つかんでもらったりすることは難しいですので、必然、私のタロット講座は時間が長くなるわけです。

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