「吊るし」の発想・見方

マルセイユタロットには「吊るし」と言うカードがあります。

ほかのタロットと言いますか、一般的なタロットカードの名称では、「吊され人」とか「吊された男」と呼称されているカードです。

その名前の通り、吊されているように見える人物がカードに描かれています。

これを受動的・犠牲的・悲劇的に「吊されている」「苦しめられている」「拷問にあっている」と取るか、「自ら逆さまになっている」「楽しんでいる」「悠々としている」と取るかは、おそらくカード種類による実際の絵柄か、受け取る人の印象によるでしょう。

ちなみに、私の伝えるマルセイユタロットは基本的に後者だと考えています。ただ場合によっては前者もあり、つまりは両面見ることが可能です。

このようにタロットカードはポジにもネガにも見ていくことができ、言い換えればその両面・表裏を発見したり、受容したりするための訓練装置でもあると考えられます。

さて、この「吊るし」ですが、中立的に見ますと、「逆転の発想」ということが浮かんできます。

逆さに吊られている、あるいは吊っているわけですから、いい・悪いにかかわらず、「」ということが強調されているのは確かです。

これをそのままに使えば、今思っていること、考えていることとは逆の見方をしてみましょうという意味にも取れますし、文字通り、逆にしたり入れ替えたりすることで、自分の思い込み、または本当の意味や気づきが訪れることを示しているように思います。

例えば、

「お金持ちは悪い人だ」→「悪い人はお金を持っている」

「私は誰からも愛されない」→「愛されないのは私が誰も愛していないから」

「私には○○はできない」→「○○ができないのほどの(ダメな)私です(と思っている)」

という具合です。

また単純に、物事の始め方を「逆から考えてみる」ということもあります。

たとえば、想定している、または求めている結果から逆算して今の行動を決める、というようなことが挙げられます。

反対に結果や数値達成ばかり気になっている人には、まずはいったんそれを手放して、とにかくやってみるとか、目標を修正してみるというようなことが考えられるでしょう。

さらには、「逆立ちしたってかなわない」という表現があるように、降参する、投げ出す、お任せする態度も求められているのかもしれません。

逆さまの人間は普通の状態ではありませんので、病気や問題を抱えている状態とネガティブに見ることももちろんあります。

逆に、普通ではない・異常に見えることでも、その人には必要とされること、「通常」であると考えることができます。

これは、私たちの限定的・差別的・固定観念的な見方を、「吊るし」が修正してくれているのです。

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