目的と手段を整理するための道具

私はタロットの講師なので、受講生さんの前などで話をします。

まあ、言ってみればそれが仕事でもあるわけですが、決して私は人前で話をすることが得意なタイプではありません。

今でもたぶんわかる人にはわかると思いますが、結構人見知りするタイプですので(^^;)、初めて会う皆さんの前ではとても緊張しますし、慣れた方でも最初の導入部は、いまだにテレがあることが多いものです。(苦笑)

そんな私でもタロットの講師をしていられるのは、ひとえにタロットの話をすることが好きだからであり、また講義を実践することで経験が積まれ、訓練と慣れもあって、次第に前よりもスムースになってきているということです。

ということで、まずはその話すテーマや扱っていることが好きなのか、愛しているのか、情熱を持っているのかということが、しゃべりがうまいとか、話好きだとかいう前に大きな要素があると私は思っています。

たとえ木訥な語りであったり、とちったりしながら話しても、やはりその語っていることに真剣さを感じられる場合は、人は聞いてくれるものだからです。思いは伝わるということですね。

ただ思いだけでは、やがて限界が来たり、時にはうまく伝わらなかったりすることがあります。

そのために「話す」「伝える」ということの技術を磨くことも求められるわけです。

ここでよくありがちなのは、目的と手段を取り違えることです。

話す技術を高めようとする余り、いつのまにか技術に走ったり、テクニックに溺れたりして、話をする自分に酔うようなことにもなりかねません。

本当の目的は、相手に自分の伝えたいことが伝わるということです。すなわち目的の達成度や質を高めるために、技術や方法があり、それを磨いているわけです。

いくら話がうまくなったからと言っても、聴く相手に何も残らないようでは本末転倒です。

そんな間違いはしないと思うかもしれませんが、話す技術が上がると、話をすることそのものが楽しくなり、方向性が変わってくることがあるのです。

別に話をすることが楽しくなるのはいいことですが、やはり楽しいので「話をすることそのものを目的」としてしまい、もともとの伝えたい内容と本質からずれてしまって、あれもこれもとコロコロとやっていることが変わり、ただお金儲けや自分が楽しみたいだけに終始してしまうような人も見受けられます。

今、講師の話で例えていますが、この目的と手段の取り違えは、ほかの仕事や要素でもよく起こりうることなのです。

まあしかし、それは悪いことばかりではなく、自分が目的だと思っていたことが、手段を講じているうちに、手段のほうに本質の種が隠されていることを発見し、目的が変化して、自分が達成したい本当の目的に行き着くというケースもあります。

例えば、先ほどの講師の場合でも、話をすることそのものの楽しさに目覚めたのなら、実は自分はコミュニケーションの方法や上達を、それがうまく行かない人たちに伝え、教える使命があったのだと気がつくような場合です。

ともかく目的を決めることはよいのですが、その目的というものは、人生の中で変更は可能なものであり、どのレベルのものを目的と据えるかによって、その変更具合も変わってきます。

崇高で抽象的な目的を自分の中に抱く場合、細かな手段や方法というものはとても些細なことになり、いわば手段においては、正しいとか正しくないとかでは判断できないものとなります。言い換えれば大目的の前では、細かいことなどはどうてもいいようなものです。

ですから迷った時などは、高い目的性に一度自分を置いてみて、その目線から選択を見つめると、結構あっさり決まることがあります。(どちらでもよいというような考え方になる) これはマルセイユタロットで言うと、「」の象徴でもあります。

この逆に、目的を具体的で細かなものに設定すると、手段はそれに適うか適わないかにおいては、はっきりと○×が出ますが、しばしば低い目的性によって、「これでよいのか?」と悩むことも生じます。

それではどちらの目的を持てばよいのかとなりますが、これはケースバイケースであり、目的というものを整理させるためには、やはり「象徴」ツールを持つことが得策です。

マルセイユタロットやカバラーの生命の木などの象徴ツールは、非常にこれらを効率よく整理してくれます。

そのためには、象徴ツールへの知識が必要となりますが、いったんそれを理解すると、混沌とした世の中と自分を、合理的に把握できるようになり、すべてのもののつながりも見えてきて、まさに自分の中に羅針盤や現実的・精神的地図を持ったような感覚となることができます。

私たちは本当の地図を持たないがために、いつも迷ったり、悩んだり、彷徨ったりして、自分の今の立ち位置や、そもそもの自分というものがわからくなっているのです。

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