相談をする前に知っておくとよいこと。
悩み事が発生しますと、人はあせってしまい、冷静な判断ができなくなります。
逆に言えば、動揺していたり、落ち着いて判断が下せない状況が続いていたりする場合は、どこか自分が普通ではない状態にいること、何か気がかりなことが行動にも影響を及ぼしていることに気が付いたほうがよいでしょう。
自分の経験からも、うつ病や神経症の初期においても、気がつかないうちに判断力が低下しているような状態になっていることがありますので、気をつけるとよいでしょう。
そんなことですので、誰かに何かを相談しようという心理状態で「冷静になれ」というほうが間違いなのですが、それでも、そうなる前に覚えておくとよいことがあります。
それは盲目的に、とにかく誰か人に相談をする前に、自分の問題を整理してみるということです。
特に、スピリチュアルや精神傾向の強い人の中には、何でもスピリチュアル(一般的に多くの人にイメージされる狭義の意味での「スピリチュアル」で、いわばスピリチュアルブームとか、パワースポットとかで使われるような意味です)で解決してしまうと思っている人がいます。
確かに自分の次元が上がったり、波動と呼ぶべきかどうかわかりませんが、そういう性質のものが高まったりすることで、問題がほとんど解決してしまうことは私も経験的に知っています。
ただし、そうとも限らない場合もありますし、波動を上げるためにはそもそもの根本的な不安や、現実的な問題への取り組みが必要なことがあるのです。
スピリチュアルなセッションを受けたからといって、問題が解決するかといえば、それは厳しい言い方をすれば本人次第のところがあります。
優れたスピリチュアルリーダーやセラピストなどの人で、それでも相手を変えていく示唆を与えていくことができる人もいますが、自分を変えるのは自分だけであり、相手に依存していると、一時的な気分の良さに留まる恐れが強いのです。
端的に言えば、相談内容を自分で分析して選別し、その上で、その分野の専門家や強みを持つ人に相談したほうが解決は早いということです。
ただし、すべての問題の「根」というものがあるケースも結構存在しますので、一度はそういった自分の問題の本質をわからせてくれる相談を受けてみるのもよいでしょう。
こうした場合は、スピリチュアルと呼ばれるような傾向を持つ人・技法のある人に相談することは合っていると思います。
逆にお金の問題や集客・宣伝、法律、養育・福祉の問題など、何かに特化しているような問題は、その問題解決の専門家に当たってみることのほうがいい場合があります。
極端な例ですが、経済的に切羽詰まって苦しいのに、どうしたら楽になれますか?とカウンセラーに相談し、心のあり方ばかり説かれても、問題は解決しません。
ところが、実際にはこういう相談スタイル(相談相手を間違えていること)をしてしまっている人が多いのです。
それから意外に知られていませんが、結構、行政機関・半行政機関などの所は、無料で各分野の相談に応じているところがあります。
行政ではたらしい回しされるのではないかという危惧があるかもしれませんが、確かにそういうところもなきしもあらずですが、今の行政機関は対人サービスも教育されていることが多く、昔ほど悪いことはないでしょう。何も高額な専門家の相談を受ける方法だけではないのです。
それと、もうひとつ、アドバイスというものは、抽象と具体があります。
抽象的なアドバイスは心や精神世界系には多いのですが、それが悪いわけではありません。
目に見えない世界は当然具体的ではないのが普通なのです。ですから「象徴」的な表現となり、それが抽象的なものとして聞こえることもあります。
抽象的ということは、漠然とはしていても、大局的、総合的なことでもあります。ですから実は本質(あり方のようなもの)や大まかな方向性がわかるのです。
しかしながら、やはり具体性には欠けますので、どうすればよいのか、何から始めればいいのか、いつ、どこですればよいのか、この選択は正しいのかどうか、というようなことはわかりづらくなります。
そこで、抽象的なアドバイスのあとには、人は具体的なアドバイスを求めるのですが、抽象と具体は一般と専門ということに言い換えることもできますので、これを一緒に一人の相手からアドバイスを聞こうとしても無理な場合があるのです。(もちろんできる場合や人もいます)
相談を受ける側のタイプと、扱う問題の得意タイプが抽象的か具体的かということも考慮すべき事柄です。
もっと言えば、心の幸せのアドバイスか、幸せになるための分野的・専門的方法論のアドバイスかという違いです。
例えば、お金の問題がある人にお金に対しての心理的ブロックがあったということがわかったとしても、では実際に経済的な豊かさを自分の仕事、またはそれ以外から実現させるにはどうすればよいのかという具体性は、別のもの(アドバイス)が要求されます。
ブロックがはずれれば、すべて経済問題が解決するとは言えません。(行動できないのはすべて心理的抵抗にあるとみなす考えの場合は、また違ってきます。この考えに立つ場合、具体的な情報(との遭遇)も抵抗によって無意識に左右されていると見ますので)
別の例えですれば、料理を作ったこともない人が、あなたは料理を作ることができる能力はあるのですよとアドバイスされて、それを自分が確信したとしても、レシピや作り方を教えてくれないと、よい料理ができないのと同じです。
料理ができる「力」があることを教え、アドバイスしてくれる人(それは自信や自分の価値を認識するためのアドバイスです)は、必ずしも料理人や料理の専門家でなくてもよいのはわかると思います。
料理が作ることができるんだ、自分にとって料理は嫌なものではなくて楽しいことにもなるんだと知って、実際においしい料理を作る方法・レシピを教授してくれる人はまた別に探してもいいわけです。
その違いをわかって相談をすると、「相談したのに抽象的なことを言われて何だかなあ・・」とか、「言われた助言や答えが求めるものとは違うなあ・・」という事に比較的ならずに済むと思います。
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