複雑な展開法をする意味。
タロットの引き方や並べ方には、色々な種類が伝わっています。
誰かの名前がついているもの(発明者)もあれば、誰が作ったのかはわからず、伝統的に古くから引き継がれているものもあります。
また今の時点でも、「自分の並べ方」というような感じで、世界のどなたかがオリジナルな方法でされているかもしれません。
私は、タロットの引き方や並べ方に対して、究極的には、「どうでもいい」と思っています(笑)。逆に言えば、何でもOKということです。
ただし、やはり型やパターンがあったほうが、途中までは取り組みやすいですし、タロットの象徴を読み解くのにも便利です。
「途中までは」と書いたのは、やがては並べ方(スプレッドとも言います)は関係なくなることに気がついてくるからです。とはいえ、そこまで行くのには型による習熟が必要かと思います。
ということで、究極的には、並べ方にこだわる必要はないと言えるのですが、タロットによる自己研鑽や覚醒の意味では、そうでもないところがあるのです。
この考え方はほとんど言われていないと思いますので、書いておきます。
タロットによるメッセージ解読は、引く枚数が少ないほど簡単なように見えますが、実はシンプルゆえに難しいこともあります。
タロットから離れますが、例えば、ある刑事事件において、手がかりが現場に残された小さな紙切れひとつというのと、指紋や足跡、映像まで映っていたとなると、後者のほうが事件は解決しやすくなるでしょう。
つまり情報量があればあるほど本質に行き着きやすいということがあるのです。ホログラフィック映像を映し出すのにも、一方向だけの情報ではできません。
しかしながら、情報が多いと混乱し、逆に本質から遠ざかることもあります。
それはなぜかというと、情報が整理できていないからです。
でも整理が可能ならば、手がかりは多いのですから、解答を得られたり、本当のことがわかったりしやすくなるわけです。
従って、要は情報処理能力を上げることが求められるのです。
であるならば、訓練を重ねることと、その前には処理方法(技術・方法)を学ぶとよいのです。
タロットの解読も同様と言えましょう。少ない枚数で訓練していくのも大切ですが、やはり多い枚数で組み合わせの中からストーリーを構築するということを訓練していくほうが、情報処理のスピードは上がります。
その上では、たとえ枚数の少ないカード展開を出しても、これまでの蓄積から高速処理でカードが読め、高速な分、拡大した読み方にもなってきます。言わば、少ない枚数でも高度で複雑な情報をその人は読むことになるのです。
これはおそらく、脳の神経細胞のつながりが増えた状態と関係するでしょう。
難しいことにチャレンジしていけば行くほど、脳の機能も複雑になりながら、シンプルな解答を導き出す処理スピードとアイデアの創出次元が上がるということです。
タロットリーディングの目的が、あくまで相手の問題や悩みを解決したり、癒したりするものであるのなら、わざと複雑なことをしなくてもよいです。
何より、相手が楽になること、助かることが目的なので、自分の読む手段やプロセスがどうのとかということは後回しでよいわけです。(もちろんそれなりの技術と経験はいりますが)
けれども、自己研鑽を目的とするリーディング(こういうのもあるのです)の場合は、結果もそうですが、より過程が重視されます。
そして「占い」としてよく使われる従来のタロット展開法では、タロットを置く位置にもともと「意味」が決まっており(例えば「原因」とか「相手の気持ち」とか「結果」とか)、その位置の意味とカードの意味を重ね合わせればよいので、実は結構楽なのです。言ってみれば、ルートが決まっている道を進むかのようなものだからです。
しかし、これとは別に、位置に意味がほとんど決まっておらず、展開が比較的自由に広がる形のものでは、カードの象徴性と意味の組み合わせのみによって、自らがストーリーを創り上げくなくてはならないので大変であり、頭の体操のような状態になります。
私がお伝えしているマルセイユタロットの展開法はこちらを採用しているので、最初は学ぶ方もとまどう場合があります。
それでも、これは他人のサポートのためだけではなく、カード展開の読解よって、複雑なものをシンプルにする「自己の情報処理能力訓練を行っている」ようなものだと理解し、慣れてくれば、自分を大幅に変えていくことができます。
そのうち、人の言っていることや人の書いた文章の把握が、タロットをしているうちにスピーディーにできるようになります。それはまた、ちょっと今までとは違う感じの理解の仕方になります。
言わば、新しい感性・感覚器官が発達するかのようなものです。
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