「運」を「長さ」で見てみる。

マルセイユタロット、いえ普通のタロットならたいていは存在しますが「運命の輪」というカードがあります。

言ってみれば「運」「運命」という、私たちがとらえがたくも、結構意識しているような「何か」を絵柄として、象徴的に描いたものだと言えます。

このように、タロットの原理は、ものすごく単純に考えれば、目に見えなかったり、あるいは単なる言葉では表しきれないものを、「絵」としてカード化したものの集まりだと言ってもよいでしょう。

ですから、特定の人物が創作したカードの場合、その制作に関わった人の思いやイメージが入ることは当たり前です。

ということは、制作した人物の思想や感性に近い人は、そのタロットにも惹かれることになるでしょう。同じタロットを愛好する人たちで気が合うのも、ある意味当然なのです。

ただ、マルセイユタロットの場合は、特定の人物の創作性が反映されているのかどうかわからないところがある(大元を誰がデザインしたのかわからない)ため、それでも自分がもしマルセイユタロットにひかれるというのであれば、理由はまた別のところにありそうだと想像できるのも興味深いところです。

話がそれましたが、「運命の輪」です。

さて「運命」と私たちが言う時、その漢字が表す通り、厳密には「」と「」の両方を含みます。

」は不確かで、その時その時に変わっていくもの、ラッキー・アンラッキーというカタカナ英語で例えられるでしょうか。

一方の「」は人生であらかじめ決まっているようなこと、生まれ持った才能とか傾向、出会う人とか機会とかもあるのかもしれません。まあ、神から命じられているものという言い方もできるかもしれません。

でも自分ではわかりづらいため、とらえがたい「運」と同様に思われるわけです。

時間的なスパンで見れば、「運」は短期・瞬間「命」は長期・傾向みたいなことであり、波をイメージすれば、小波と大波と言えるかもしれません。

しかしながら、「運」もよく考えれば、大きな波とさらに小さな波の集まりからできていると想像できます。

いえ、実は「運」というものは、かなりの面で、自分の意志やとらえ方次第で変化するものだと言えます。

いわば、外側の波よりも内側の、自ら起こしている波があるのだということです。

これと関係するのですが、タロットの「運命の輪」から、私がある日イメージしたことは、「運」の時間的なとらえ方でした。

私たちは、運がいい・悪いと判断する場合、どれだけの時間(長さ)でそれを見るのかはあまり意識していません。

何か今起こったことに対して、自分の思い通りだったとか、そうではなかったとか、だいたい瞬間的な時間の長さ(ほとんど「長さ」はありませんが)で判断してしまいます。

しかし、たとえばこれを一日単位の時間の長さまで拡大して考えてみると、例えば出かける時には電車が遅れていて「運が悪い日だ」と思ったかもしれませんが、そのおかげ(時間が予定よりずれたせい)で偶然会いたい人に逢え、話もできて、今度一緒にどこかへ行く約束もできたとなれば、「今日は運が良かった」と思うかもしれません。

さらに時間間隔を延ばし、これを3ヶ月や半年単位とか一年単位まで見ると、いったい自分は運が良かったのか悪かったのか、わからなくなってくることもあるのではないでしょうか。

まあ、従って、「占い」の世界では時間単位別の「今日の運勢」とか「年運」とかあるわけですが。

大切なのは、このように「運」は時間の長さのとらえ方だけにしても、まったく見方(意味)も変わってくることがあるということです。

長いスパンで運が悪い(例えば今年よくなかったとか)と思えば、逆に細かく分けて、よい月もあったとか、いい日もあったとそれにフォーカスするとよく、反対に、今運が悪いと思った人は、もっと長いスパンで運を判断するのもありでしょう。

よく、「人生ついている」「私が運がいい」と言ったり、思ったりすれば、実際にその通りになると言われるのは、こうした「運」のとらえ方を意識的にずらしたり、伸ばしたり、フォーカスする部分を変えたりしているため、そのように自分で見えてくると同時に、その世界に自分を移行させているのだと思えます。(大げさに言えば世界を創り変えている、乗り換えている)

「運命の輪」が示すごいところは、この時間や世界の移行装置(内的なマシーン)であることがもうひとつの重要な秘密です。これはマルセイユタロットだけが持つ、ほかのカードとの極めて整合性の取れる関連構成になっているから言えることです。

「運命の輪」単体だけでもある程度の秘密はわかりますが、ほかのカードと組み合わせないと出ない秘密もあるのです。これがマルセイユタロットがコード(暗号)でできており、鍵を集めて扉を開けるシステムになっている理由なのです。

しかもそれは、基礎を習えば、やがて自分で発見(気づき)できるようになっています。

また話がそれましたが、「運」については、運をよくするとか悪くしないとかの視点だけではなく、ちょっとした時間や見方の「ずれ」を自分で呼び起こしてみましょうということです。

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