自分自身を納得させるための材料と仕組み
人は、自分に対しての行動なり、考えなりの理由をつけたがります。
おそらく人には、不合理な(不合理と感じている状況の)中では生きにくいようにセッティングされた何かがあるのでしょう。
簡単に言えば、すっきりさせたい、わからないままにしておきたくないという感情です。
それが何かを知りたい、探求したいという好奇心にもつながる場合もあります。
さて、そうした自分の中で自らを理屈づけるものを探す機能が働いているとすれば、私たちが普段、自分で見たり聞いたりするものの中にも、そのような目的でフォーカスしているものがあると考えられます。
それがシンクロとして現れることも考えられます。
つまり、こう思っている、こう考えている、こう行動しているという自分に対して、答えや理由になるような事柄を自然に(無意識的にでも)見つけようとしていると言えます。
ということは、自分がふれている外側の対象物(生じている現実の出来事)を観察すれば、自分の心がわかるという仕組みです。
よく、外のものは内なる投影であると言われる所以です。
しかし、ここで重要なのは、外は内なるものの投影とは言え、必ずしも潜在意識の情報や自分が解除しなくてはならないものが映し出されているとは限らないということです。
ただ、今述べてきたように、自分の思考や行動、あるいは価値観とか好き嫌いといった感情まで含んで、自分が納得する理由を見つけようとしていると考えると、単純に、「自分は今こんな風に思っている、こんな風に動きたいと考えている」というように見ることもできるのです。
例えば、自分は変わりたいと思っている人が、人の書いたブログの記事やSNSの投稿を見る時、「私は変わりました」という人の感想や、「こういうセラピーが効果的」という宣伝広告、「天気が変わりつつある」と情報、「芸能人の凋落や新人のネタ」とか、果ては「地球・宇宙が数千年規模の変革期を迎えている」などの壮大な内容のものにも出会うことになるのです。
この場合、共通しているのは「変化・変革」です。いいも悪いも含めて。
これは自分の心が映し出されていると言えばその通りですが、心の全部が映し出されているわけではなく、言ってみれば、ただ自分が見たいものを見ている、自分がフォーカスしているものに当たり前のように出会っていると述べられます。
それ(外のもの)を見たり聞いたりすることで、自分の思い(この思いは表面的な自分がわかっていないこともあります)を納得させている(あるいは確認している)わけです。
ここで出会うものには、何も自分がしたいとか、望むものだけとは限りません。フォーカス(注目)しているものであるので、望みとは反対の内容に遭遇することもあります。
つまり、あることに注目すれば、この世や宇宙は二元構造で表現されますので、その逆のものも同時に見ることになるからです。(一元・完全は二元によって構成され、より完全を理解するよう、二元で物事を見るよう自然になっている)
むしろ、あることを「正」とすれば、その「正」を際立たせるために、「不正」とか「悪」とか「正ではないもの」とあなたが感じるものと余計出会うことも増えます。
何かを強烈に思っていれば、その思い、思っている自分自身を納得させるため、その「思い」がクローブアップさせられることを私たちは望み、それを見つけようと機能させ、実際にそれを裏付ける外側のものと出会わせるという仕組みです。
ですから、自分の叶えたいことや、そうなってほしいというものに出会うとは限らず、逆のことも見たり遭遇したりするのです。
「戦争がなくなればいいと願っている人」は、反対に戦争のニュースや日常での争い事を見ることで、自分中の「争い」に注目しているその事実を自身が納得する(させる)ために、そうした「争いフォーカス」の材料を集めていると見ればわかりやすいでしょう。
白黒どちらでもいいと思っているものや、別に意識がそれほど及んでいないもの、注目していないものには、まさしく「どちらでもいい」ように、ランダムに、気にならない程度に出会うことになるでしょう。
タロットカードを引いて、象徴的にその人の内面をカードによって見るという行為においても、その人が何に注目し、どうしたがっているのかを確認する作業になります。(それだけとは限りません)
フォーカスしたり、注目したりしているものがわかると、自分の状態もわかりやすくなります。
その「注目」自体、そのままでよいのか、修正がよいのかを見ていくことが可能です。それは、マルセイユタロットの機能の中に、中立性を回復させたり、神性と通じたりするものがあるからです。
人の注目は、ある特定の価値観から発していたり、色メガネのような偏向性をもっていたりすることが多いのです。それは悪いものではありませんが、時に傾きがひどすぎる場合、調整も必要になります。
タロットはそのためのツールでもあるのです。
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