依存心と独立心のバランス

人の中では、依存する心独立したいという2つの相反するものが、いつもせめぎ合っていると言えます。

マルセイユタロットカードにおいても、そのことは描かれています。

頑張りすぎたり、ひとつのことに拘りすぎたりするようなタイプの人は、「自分軸」で思い過ぎ、結局、過剰な独立心で自らを疲弊させてしまいます。

このような人は、もっと依存心を正直に出し、誰かや何かに依存する心でもって、行き過ぎた独立心、過剰なる責任感を和らげる必要があります。

誰にも頼れない、頼ってはいけないと思い込んでいるのです。

人は一人では生きていけませんし、どんなモノでも状態でも、他人の手やエネルギーがかかっています。

自分一人でやったと思っていても、今の社会、他の人の手によらず、道具も使わずで一から創造することはほぼ不可能です。

と思うと、誰もが依存しあって生きているようなものです。

過剰なる独立心と責任感を持ってしまっている人は、勢い、行動もそうなりますので、以下のような問題が生じがちです。

●自分を縛っていくことになる

●他人の責任・力を奪うことになる

●人を支配するようになる

ほかにもありますが、代表的なものではこれでしょう。

「自分を縛っていく」というのは、言わなくてもわかることですが、「ねばならない」と思う心が次第に増えてきて、それがますます自分を縛り、アイデアや思考も硬直して、行動や活動するフィールドもワンパターンになってしまうことです。

人間、視野が狭くなって、「これしかない」という限定的になり過ぎますと、実は恐るべき事に、それに依存してしまうようになります。過剰な独立心や責任感が、逆にある依存を生み出すのです。

「それ(これ)しかない」ということは、それを失ったり、それができなかったりするということへの強い恐れを生じさせ、自己への呪いとも言える強制力を自ら働かせることになるからです。

二番目の、「他人の責任・力を奪う」というのは、本来、人には関係性において、応分の取るべき責任があるのに、その人の分まで自分が負うことで、かえって人の成長する機会・能力を奪ってしまうということです。

過保護な親が子供に何でも世話をやいてしまい、かえって子供をダメにしてしまうようなものです。

そうすると、いつか子供がその親を逆に恨むようになることがあるように、自分が家族や社員のために頑張ってきたはずなのに、家族から反抗されたり、社員が会社を辞めていったりするようなことが起こるのです。

三番目の「人を支配する」は、自分がすべてやらねばならないと頑張っていると、周囲をコントロールしていくというパワーゲームに取り憑かれことにもなり、うまく行かない状況が続くと、さらに自分のコントロール力・影響力を強めようとし、それが誤って支配につながるということです。

結局、どの問題でもバランスが鍵となり、適度な依存心、自分より相手に独立してもらう気持ちも大切となるのです。

一生懸命やってきたのに、環境や人も変わらず、自分が疲れてうつ病や不幸な状態になるのも、過剰なるエネルギーのバランス回復のため、自分がもっと依存できるような環境を自ら創出すると考えられます。

タロットにおいても、杖や寄り添う動物が描かれています。

これは独立していくことも重要ですが、その過程では、杖によって支えていくこと(支えられること)誰かに補助・サポートを受けて成長していくことも示唆されているのです。

そして、これもバランスですが、ひとしきり依存を味わったら、再び独立に向けたエネルギーの転換が生じます。

いつまでも依存が続くと、今度は反対に依存が強すぎて、自分の創造と実行する力(独立する力)を失って行き(生き)ます。誰かや何かがないと生きていけないという状態です。

それはまさしく堕落や麻痺・中毒・幻想の道に陥ることになります。

タロットカードの「運命の輪」は見事にそのことを象徴しています。(運命もそれで変わる)

どちらにしても、「素直な自分になる」ということがキーワードかと思います。

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