タロットリーディングの学習と知識
タロットの読み方・リーディングの方法にもいろいろとあると考えられます。
またカードだけではなく、展開法(スプレッド)によっても読み方が変わりますし、そもそもタロットの種類によっても解釈が違うこともあります。
ですから、カード解釈・読み方・展開法・カード種など、カードに関係するだけでも様々になることがわかります。
これに人がカードを読むわけですから、当然、知識や経験、感情・感覚などによっても異なってきますし、そう考えますと、人の数だけ読み方もあると考えることもできます。
ということは、ひとつのリーディングやセッションで、まったく同じ読みをする人などいないと極論することもできるでしょう。
このことは学習者にとっては朗報にもなります。
すなわち、読み方に解答や正解がないということになって、同時に明らかな読み方の「間違い」もないことになり、どこか安心できるからです。(あまりにまじめ過ぎる人は、この考え方を持っておくと楽になることがあります)
では、学ばなくても勝手に読めばいいではないかという話にもなりますが、一面ではそうとも言えますが、やはり王道・セオリー・基本的解釈というものも存在します。
確かに読み方は人によってバラバラなところもありますが、反対に一種の基準のようなものがあり、それがないとカードの意味をなしません。
しかしこの「タロットの意味」というのは、私たちが通常考える試験の問題と答えのような関係ではなく、象徴的な意味になるのです。
例えば「愚者」というカードがありますが、そのカードに「自由」という意味が見い出せたとしても、必ずしも自由=愚者ではないのです。
自由の意味だけならば、ほかのカードでも表すことができます。
あくまで「愚者」のカードの図像が象徴しているもののひとつに「自由」というものが考えられ、そのプロセスでの「意味」なのです。
そしてまた、そうは言っても、通常、「愚者」から「束縛」というような意味が出ないのもまた事実で、そのため、どんな読み方をしてもいいというわけではなく、やはり基準となる意味はあります。
ただし、「愚者」の持つ自由性の象徴を理解していると、それが阻害されたり、発現できていなかったりすれば、束縛という意味も「愚者」から想像することも可能です。
それが、「問いに対して正答がひとつきちんとある」というような考え方ではない、象徴的な意味の出し方なのです。
象徴としてカードを見る場合、そのレベルと適用範囲も広く、それがために人によってカードは違う読みをしてもOKとなりますが、読みがカードの示す基本象徴から大きくずれている場合は、間違いの場合もあることをタロットの読み手(リーダー)は自覚しないといけません。
従って、カードの象徴(の意味)を学ぶ必要はやはりあるのです。
それから私が使い、教えているマルセイユタロットの場合、読み・リーディングは多層的な象徴解釈になりますので、単純にカードの意味を暗記したり、カードの絵柄から感覚的に意味を出したりするようなことだけでは対処しにくいものとなります。
これは私が実際に何度もマルセイユタロットのリーディングにおいて経験していることですが、例えばある組合せのカードが出ると、神話上の神々の組合せや、伝説等の登場人物の組合せ、あるモチーフの象徴・形であることなどが明確にわかる場合があります。(それは、その知識を入れているからわかるのです)
そんなことが現実のリーディングに何の役に立つのかと思うでしょうが、伝説や神話というものは、人の潜在意識やパターン、力の行使、人生表現の方法・問題などを象徴的に表しているものなのです。
ですから、カードの組合せやカード内の象徴の関連によって、ある神話や伝説等との結びつきがわかれば、その話のパターン・原理がクライアントの中にも現実として働いていることが理解できるのです。
それを読み解くと、対策や今後の傾向もわかります。
ですから、タロットの象徴(それはカード一枚だけのものではなく、一枚一枚に描かれている細かな象徴や全体構成としての象徴なども含みます)を学ぶことの意味は、大いにあるのです。
「カードは勉強しなくてもよい、直感で読めばいい」というのは、相当高度に直感が研ぎ澄まされ、自己の持つ内奥の智慧にふれることができている場合です。
あるいは、簡単に感覚的な占いをしたい場合などです。
きちんとした相談になるようなリーディング、セッションを行いたい時は、やはり象徴の意味・背景をきちんと学習し、知識として蓄える必要があります。
しかし知識を入れることが目的ではありません。
知識を蓄えるのは、象徴の力を発動させるためであり、自己や他者の神性にふれるためでもあります。それには直感も感性も大切になります。
言わば、ぶれない直感(直観)に至る(思い出す、発動させる)ために、様々な知識を学ぶようなものです。
本当の直観を大切にする人は、謙虚に学び、知識を入れることにも抵抗はないどころか、喜びを感じることでしょう。
問題は凝り固まった知識だけ(損得的な頭の基準)で判断することや、知識自慢になったり、知的好奇心を満たすだけに終わったりすることにあるのです。
深くマルセイユタロットのカードを読みたい人は、カードに描かれている象徴を学ぶほか、いろいろ神話や伝説、説話、歴史などにもふれておくとよいでしょう。
コメントを残す