タロット展開の「過去パート」を読むこと

タロットの展開法(スプレッド)では、過去パートを象徴させる並べ方があります。

占いの観点でタロットを見てしまうと、過去というものはすでに過ぎ去ったことなので、いったい、その解読に何の意味があるのか?と思ってしまうことでしょう。

占い的に知りたいのは「これからのこと」であり、まさに今と未来への関心であり、「なになにはうまくいくのか?」「誰それとおつきあいするのはどうか?」」「将来、どんな仕事が向いているのか?」・・・みたいな問いが中心です。

ですから、過去パートを象徴するタロットカードへは、「こういうことがありましたね」「こういう思いでいたはずです」という、あくまで過去の確認という読みになって、さらっとふれるだけになることが多くなります。

しかしながら、この「確認作業」もまったく意味がないわけではありません。

ひとつには、占い師の技量、あるいはカードへの信頼性が試されている場面でもあり、過去の出来事がカードによってズバリ示されているとすれば、占ってもらっているほうは驚きと確信が増し、当然、未来についてもきちんと出る(示してもらえる、当たる)のだと思うことでしょう。

さらに、意外に人は過去のことはよほどインパクトのあること、印象的な出来事以外は忘れているもので、そのあまり記憶には残っていないことが、案外、現在の問題や将来の方向性に関係していることもあるのです。

例えば、皆さんにも経験があると思いますが、なくしたものを探す時、今の記憶にないから実際になくしているわけですが、厳密には記憶(データ・経験したもの)は残っているはずで、単になくした状況を思い出せないということに過ぎません。

モノを失う時の出来事が、今の自分にとって強い印象のものではなかったので、データとしてはあっても、思い出すことができないのです。

それが過去をふりかえることで、何かのきっかけで思い出す(なくした時の状況データにアクセスできる)ことが可能になると、「そうか! あそこで落としたんだ!」と、ぱっとひらめくことになります。

これと同様に、タロットカードの絵柄の象徴で「過去パート」を省みることにより、意識していなかった今の問題の要因に気づき、これからの行動や選択に影響を及ぼすこともできるわけです。

ここまで述べてきたことが、いわゆる「占い」、あるいは、「占い」をしながらカウンセリングも行う方法でタロットを使う場合の、過去パートリーディングにおける効果と考えられます。(もちろん、ほかの効果もありますが)

実は私が意識し、講座でも伝えている「タロットリーディング」というものは、こうした占い観点での使い方だけではありませんので、展開法に過去パートを象徴させるものがあっても、それを読むことは、また違った意味合いがあるのです。

それはシンプルに言えば、過去の書き換え作業ということになりますが、時間概念としての過去の物理的出来事は変えられませんから、主に精神的なことになります。

こう書くと、「なぁ~んだ、過去における思い方を変えればいいんだ」と思ってしまう人もいるでしょうが、確かに文章で言えばそういうことになりますが、そこには様々な次元操作があり(人による操作ではなく、タロットによる操作と言ってもいいものです)本質はシンプルでも、表現やとらえ方、方法は複雑です。

例えば「時間」を焦点として見ても、それは一時的に時間概念を超越することになりますので、結局、過去パートと言いつつ、「現在」「未来」という「区分け」「枠」もあまり関係なくなってきますし、それらが同時に影響し合っていることをカードを通して知るようなことになります。

現実はしっかりと認識し、現実(常識の容認・地に足の着いた状態)として生きねばなりませんが、現実だけに囚われるのも問題なのです。

現実を超え、また現実に戻るという作業が大切です。それには過去や現在、未来という、私たちが作る時間枠・時間概念への操作にも関わってくるのです。

タロットリーダーはそういう意味では、SF的(空想的)であり、しかも現実的でなければなりません。

そんな意識になるためには、グノーシス神話などにふれ、体感する必要があります。

私の考えるタロットリーダーは、結局「愚者」として、時間や次元の旅行者となることが重要だと思っています。

「時をかける少女」ならぬ、「時をかけるタロットリーダー」ですね。(笑)

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