離れることでわかるもの。
神様は矛盾することがお好きなのか、この世の中はシンプルなようでいて、へそ曲がりなところもあるように思います。
そのひとつとして挙げられるのは、自分の本当の気持ちや、本当に向いているもの、大切なもの、使命的なものを知るために、あえてそれらから離れてしまうという試練・テストがあることです。
もちろん最初から最後まで、スムースに本命と出会い、過ごしていく、感じていくことができる人もいるでしょう。
しかし、よく恋愛ドラマなどであるように、つきあっていた人と別れたあとや、その人を失って初めて、自分がその人物のことを好きだったことがわかるというようなパターンがあります。
天職のような仕事や、自分が生涯かけて取り組むのようなこと(の発見)も、これと似たようなことがあります。
自分が離れようとしても、またそのことに戻されたり、別のことをしていても、やはりもとのことが気になる、あれが好きだったんだと気づいたりすることがあります。
私の場合でも、マルセイユタロットに出会ったのは偶然と言えますが、一度マルセイユタロットに惚れて(苦笑)これを扱う仕事をしていこうと決意したものの、諸般の事情でマルセイユタロットから離れなければならないことも幾度かありました。
しかしその度にマルセイユタロットに戻ってくる、いや戻されるような出来事があったのです。
まあ、自分の表面的な思いが、実は深い意識まで浸透していて、それに引きずられているために、何をやっても強い意識(表と裏にあるもの)の関心のある事柄に向かって、環境や行動を自らが整えてしまうということも考えられます。
どちらにしても、それだけ自分の表裏の意識に強い影響と刻印もたらすものであるということは間違いないわけです。
と考えれば、やはりそこに働く縁と言いますか、自分とのそのものへの特別な関係が存在すると言えなくもありません。
いずれにしろ、離れようとしても離れられないものや人には、特別な縁があると想像できます。
ただ縁と言っても、よい縁もあれば、くされ縁もありますが。(笑)
しかしながら、離れてわかる、やめてみて本当のことがわかるという現象は、自分を知る意味でも、自らの人生を充実させるためにも、無視できないところがあります。
自分にとってそれが本当に重要で大切なものかどうか、あるいはいい悪いにかかわらず、特別な強い縁が働いているかどうか知りたければ、一度そのことから離れてみる、継続を止めてみる、別のことをやってみるなど試すとよいわけです。
中途半端にジビジビと続いている関係・状態のものこそ、思い切って別の方向にシフト(舵を切る、離れてみることを)してみましょう。
マルセイユタロットでいえば、「13」のカードなどがイメージできます。
そうして離れたことにより終わってしまうもの(復活がないもの)は、それまでだったと思うことができますし、それでもまた縁が生じるようなことがあれば、何か赤い糸のようなもので結ばれているのかもしれません。
離れるとよいことは、離れる、終わるという行為で、必ずなにがしかの変容が促されることです。
復活がないのなら、次の別のものに向かうことができますし、そのサイクル(終わって新しいものが始まる、新しいものと出会うサイクル)も加速されます。
モノを思い切って捨てれば、その分スペースができ、新しいモノを入れることができるように、全体の変化は早く(速く)なります。捨てていなければ、現状維持が長引くわけですから。
それからもうひとつ、離れたり、捨てたりすることで大切なのは、自分が絶対必要だと思っていた思考・感情のパターンを破壊することができるという点です。
「もし、それがなくて、どうしても手に入らない時、あなたはどうしますか?」と問われない限り、それがないことへの思いにはなかなか至りません。
しかし、実際にモノや人がなくなって、その時は苦しく大変なことであっても、いわば固定観念が破られることになり、新しい道が開けたり、新世界に移行できたりするチャンスでもあるわけです。
危機やピンチがチャンスを生み出すのと同様です。
普段考えもしないことに、実は大きな可能性が隠されていることがあります。
執着に近い感じで、あるモノや人にこだわりをもっている時、本当にそれがあなたに必要なのか、あるいは自分にとって真の価値があるものなのか、今一度、「捨てる、離れる、やめる」ということを想像したり、実行したりして、考え直すとよいでしょう。
ブラッシュアップという言葉がありますが、何かを光らせたり、純度を上げるためには、不純物と混じっている状態を研磨する必要があります。
磨くということは、磨いてそぎ落とす(捨てる)ことも含まれるわけで、象徴的ですが、金を作るための錬金術的な過程でも、言えることです。
それがいわゆる「試練」として現実の事柄で起こります。
好きだけど離れなければならない時、それはあなたにとっての「金」を取り出す作業に入っている場合もあるのです。
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