マルセイユタロットの構成と次元

マルセイユタロットを絵柄(デザイン)の特徴でわけると、2つのもの(グループ)に大別されます。

ひとつは主として人物や動物、天体など、まさに絵として見ることができるものと、もうひとつは、まるで記号や模様のようになっているデザインのものです。

タロット(ひと組の中)の種類わけの言葉でいえば、大アルカナと宮廷(コート)カードは同じと考えてよく、それに比べて小アルカナの数カード(スート)は、記号的なデザインとなっています。

ただし、数カードでも、マルセイユタロットの場合、1の数を持つエースは絵柄的な感じが強いです。

タロットをゲームとして使う場合、絵柄(絵として見ることのできる)カードである大アルカナと宮廷カード、そして数カードの1であるエースは得点力が強くなっていることが多いようです。

タロットはトランプとの関係も深く、どちらが先に成立したのかは諸説ありますが、どう見ても、マルセイユタロットとトランプはデザイン・構成からして関連があると想像できるものです。

このトランプの場合でも、皆さんがゲームで経験したと思いますが、絵のあるカードは、だいたいのゲームにおいて強かったはずです。

つまりは切り札なわけで、その切り札という意味こそ、そもそも「トランプ」という言葉なわけです。

さて、このようなことをなぜ述べているのかと言いますと、マルセイユタロットの構成・デザインから考えてみて、タロットは78枚がひと組とは言え、大きくわけてふたつ、さらにわけて3つの構成でカードの意味を考察したり、使ったりすることは理に適っているのではないかと指摘したいからです。

2つや3つとなりますと、二元や三元で物事をとらえる仕組みとも共通してきます。

そのため、私がマルセイユタロットを教える時は、抽象世界と具体的世界、言い換えれば、心や精神も含む全体(を表せる)世界と、はっきりと目で見たり、リアルと感じたり、具体的数値で表せたりする現実的世界とをカードグループでわけています。

特にリーディングの時は顕著です。

リーディングは、当然、自分も含めて人々の現実的悩みや葛藤・迷いの問いかけに答えて(応えて)いくものです。

従って、現実との関係を無視できません。しかしながら、人は同時に、空想や想像、イメージ、心や感情でも生きている存在です。

数値で示されるお金であっても、そのお金を使うか使わないかは心や思考が決めています。

また自分でも普段は自覚していないことが、現実の行動や表現として表れています。

つまり、具体的な世界に現れている目に見えていることも、心や精神などの一見あやふやで不確か、目で見ることのできない領域によって規定されていることも考えられるわけです。

ですから、そういった精神や心の世界を投影したり、表せたりできるシンボル・象徴的世界のパートと、具体的数値的世界のパートとの組合せが効果的と言えるのです。

しかしながら、数値的(具体的)世界を示す数カードは、マルセイユタロットは逆に具体的ではなく、抽象的な記号表現になっていることが、現実的読みと適用を難しくしていることもあります。

前にも書きましたが、現実・具体的表現の世界は個別世界でもあるので、それこそ無数の「数」を必要とされるのです。つまりはカードはモノの数だけ求められるわけです。

とはいえ、モノの数だけカードを作るとすれば、それこそ無限に近い枚数になってしまいます。

結局、その無数に近いモノを表すためには、原理的に集約してそぎ落とし、具体的絵柄(絵画的なもの)ではなく、逆に無数の想像が可能な抽象的・記号的(原理的)デザインにしたのだと考察できます。

ということは、もともと記号的なものを想像(イマジネーション)させることは、カードの機能としては想定されていたとも考えられ、そのイメージと想像の呼び水(イメージを呼び起こさせるもの)として、絵柄カード、つまり大アルカナ(一部宮廷カードも)があるのだと思うことができます。

さて、ここで問題なのが宮廷カードの位置づけです。

抽象(絵柄)と具体(数)の二元世界でわける場合、宮廷カードは前者に入ります。

ところが、宮廷カードは数カードと同じ、小アルカナのグループに属しています。

これをどう考えればよいのでしょうか?

そこで三部の次元を適用することになります。

ここでいう三部の次元とは、二元の間、中間を取るということになります。

抽象と具体の架け橋、どちらでも考えることが可能なものの、どちらかに完全に規定されるものではないという意味です。

これは大アルカナでは愚者的な位置になりますが、宮廷カードが人物ばかりで表現されているのは、ある意味、「愚者」のパターンを数値化に近い具体に落とし込んだものと考えることも可能です。

通常、宮廷カードは具体的(現実的)人物(人間)像のパターンとして読みますが、この考えを適用すると、必ずしも人間読みだけとは限らないことになります。

ただし、大アルカナの絵柄にも登場する人物像との違いを明確にするため、やはり次元を現実的フィールドに落としていく必要はあるでしょう。

宮廷カードは4×4の構成となっています。数カードは4×10です。

これには四大元素を象徴させる4組が基本となっているのでこうなっているわけですが、宮廷カードを三部次元の中間と位置づけると、宮廷カードの4と、数カードの10が結びつくことがわかってきます。

この意味ではトランプを研究(比較)することが、実は重要になってきます。

トランプを使うことは、タロットを理解したり、マルセイユタロットリーディングの、特に小アルカナリーディングに役立ったりすると想像されます。

このことは、現在発行している受講者用メルマガ(次号以降)で解説したいと思います。

さて、マルセイユタロットはこのように絵のカードと記号のカードでデザインされているので明確ですが、ほかのタロット種のカードでは、全部に絵がついていることもあります。

すると、それは二部や三部でわけて考えるより、全部を同質や同次元で読むことも可能になったり、そのほうが良かったりする場合も出てきます。

もちろん、絵があるからといっても、小アルカナパートにはその絵に、大アルカナとは異なって、意識的に別の作画(ストーリーになっていることもあり)にしているのが多いです。違いがあるということは、そこから次元を別にした使い方も当然できます。

絵がついているので、むしろ次元を別にしたとしても、読みはしやすいかもしれません。

ただ、同じような絵柄にすべてが近くなるほど、次元を区別した読み方ができにくくなり、次元が下のほうに引っ張られ(数が多いと具体化しますので)、78枚が現実的次元という具体に固定され、ひとつひとつの意味を記号のように覚えてしまうおそれもあります。

78枚が同じような絵柄の時は、小アルカナの4組など、しっかり原理を理解しておく必要はあるかもしれません。

一方、マルセイユタロットの場合は、もともと違いが明確なので、原理は意識的にも無意識的にも入ってきやすいというのはあるでしょう。しかし、数カードをイメージして読むことは難しくなっています。

だからこそ、マルセイユタロットは全体構成を理解したうえで、大アルカナと小アルカナ、絵柄のカードと記号のカードをセットで見て、統合的に読まなくてはならない(扱わなければならない)のです。

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