「13」の愛
今日カードから浮かんだのは、「13」の愛というものでした。
マルセイユタロットには、「13(番)」という、名前のない数だけのカードがあります。
名前のないことには諸説あり、本当はあるが隠されている、その名前を呼ぶとすさまじいエネルギーが巻き起こるため、コントロールできるものしか明かされない、そもそも本当に名前はないのだという説など、いろいろです。
それはともかくも、見た目、鎌を持つ骨と皮の人物が描かれ、西洋風な死神的な絵柄であり、怖いという印象が最初は強いかと思います。
ほかのタロット種では、この数「13」を持つカードは、文字通り「死」とか「死神」として名前をつけられている場合もあるほどです。(ただし絵柄は違いますが)
ということは、名前というより、13という数に大きな意味があることが示唆されます。
13と言えば、これも一般的には不吉な数のように思われていますが、12を超えた数(12はひとつの完成された・固定化された世界を示し、それにひとつ加わった数)として、大きな力を象徴させる数となります。
ですから、いい意味でいうと、創造の数となるのです。ただ、悪い意味(あくまでとらえ方の違いでしかないのですが)でいうと、破壊ということになります。
そんなところから、怖い数として誤解されているところがあります。
さて、最初のテーマ(愛)に戻ります。
そういった「13」のカードですが、果たして、「愛」ということと、どう関係するのかという点では不思議もしれません。
それどころか、愛とは全く無関係で、先述したように、死や恐怖というようなものと結びつけられがちです。
しかし、「13」に愛を見ることで、実はタロットで物事の本質を見るという意味合いも含まれてくるのです。
以前に、片思いも「愛」のひとつの形・表現であるという記事を書きました。
愛は広義の意味で見るか、狭義の意味でとらえるかによって変わってきますが、本質として、そのエネルギーのようなもの、形のないコア・象徴(行動や形式そのものではなく、その奧にある元型的な意味のあるもの)として見た場合、すべては同じ、愛はひとつということに行き着きます。
恋人同士に見せる愛の形も、母親が子供に見せる愛情も、先生が生徒に、上司が部下に、自分が友達に、または友人や仲間が自分に、人がペットや動物に、育てる植物・作物に、作業を便利にさせてくれるモノに、経験させてくれる自然や環境に、命を継続させてくれる食べ物に、生き物に、それらを生み出す人や自然、宇宙、神なるものすべてに、私たちは愛を見ることができます。
つまり、形や行動、表現、現実的現象の奧に込められた元型的エネルギー、大元から変容したエネルギーを感じてみると、原初に行き着くということなのです。
原初というのは、神のようなひとつの大きなものと言ってもいいでしょう。抽象概念の最大化のところです。
ただ、私たち人間や現実の暮らしレベルになってきますと、元型的エネルギー、つまり神なるもののエネルギーが表される場合、人の想念とか個人的な願望・欲求・価値観などによってねじ曲げられ、変化させられ、弱められたり、裏返されたり、別の色が加えられたりして、見た目がまったく変わってしまう場合があるのです。
言い換えれば現象(現実次元)としては、本質とはかけ離れたように見える(感じる)ということです。
逆にいうと(抽象化・統合化していくと)、元に戻す、純粋にする、原初に還るような視点で物事を見ることになり、それは愛だった(本質が愛だった)ということに気がつくわけです。
その純化作用、原初還元作業に効果的なのが、タロットのような象徴ツールを使うということなのです。
象徴は抽象と具体とを往復することが可能だからです。
そして「13」は、鎌でもってそぎ落とし、骨や皮、言わば本質に行き着こうと作業している姿でもあるのです。
愛に気づいていない人が、今の現象に振り回され、苦しめられています。その状況も、「13」は絵柄で表しています。
先の見えないような中で、もがき苦しみ、自分の経験していることに愛や救いなどないように感じている、これは言ってみれば「13」のカードを問題状態と見た状況です。
しかし、起こっている現象をそぎ落とし、究極まで本質を見ていく時、そこには愛が現れてくるのです。
自分にも人にも愛があったことを掘り起こし、発見することができます。
その証拠はここでは言いませんが、13の絵柄の中にきちんと描写されていますし、タロットの大アルカナを並べた特別な絵図によって、その位置関係からも、愛というテーマは見えてくるよう設計されています。
あなたが苦しみ、傷つくのも、それはあなた自身に愛があるからなのです。
それに気づくために、また苦しみから愛の本質を抽出するために起こっているということも、「13」を通して悟ることができるでしょう。
そこから見れば、「13」はなんと愛にあふれたカードだと感じることができます。
これはもちろん、「13」だけに限らず、すべてのカードに言えることなのです。
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