タロットリーデイングは投影か。
タロットリーディングをやっていくようになりますと、ある疑問が出てきます。
それは、
●自分の思考や意識を、カードに投影してリーディングしているのか?
●タロットそのものメッセージを読んでいるのか?
というふたつの疑問・葛藤です。
この質問や疑問が出るだけでも、よくリーディングについて考察しているなと思うのですが、一方で、この質問を出す人は、考え過ぎになっているところもあります。
私はこの質問に対しての答えは、ひとつではないと思っています。
結論から言えば、だいたいは前者のほう、自分の思考や意識をカードに投影させて読んでいるほうが多いと思っています。
そしてそれが悪いわけでもないと考えていますし、むしろ、それがひとつの心理的・現実的意味でのタロットリーディングの形だとも思っています。
そもそも、まったくの客観的な読み方なるものが存在するかといえば、主体が人である以上、それはありえない(ことに近い)でしょう。
誰もが、自分の経験や知識、歴史、ストーリー、価値観を持ち、それは誰一人として同じ人はいません。言ってみれば、みんな違うのです。
ですから、読み方・見方がそれぞれに違って来るのは当たり前で、自分の傾向が出るのも当然なのです。
それを自己意識の投影として考えれば、ほぼ皆がそれをしていることになります。
それでは、初めに結論ありき、自分の考え方・見方ありきでタロットを読んでいるのかと言えば、一面ではそうであると言えますし、またある面ではそうとも限らないということになります。
ここではその説明はちょっとややこしい話になるので省略し、要するに、その区別はつきにくいということなので、目的から入ればすっきりすることを指摘しておきたいと思います。
目的から入るというのは、タロットリーディングを行うことの目的です。
例えば、あなたが人の悩み事の相談をしたい、セラピーをしたいという目的でタロットを使い、タロットリーディングするということであるならば、目的はクライアント・相談に来た人の悩み事が解決したり、癒しが行われたり、気持ちが整理されてすっきりしたりすることになります。
そうすると、タロットリーディングが、意識の投影なのか、タロットそのものからのメッセージを受け取っているのかという区別はあまり意味をなさなくなります。
結局、相手の問題がクリアーになればOKなので、それはどちらでもいいのです。
この考えでは、タロットをツールとして活用し、目的を達成することに使うので、その過程における意味合いはあまり重要ではないことになります。
しかし、その癒されたり、問題が解決したりするメカニズムや理由についてはっきりさせたいという思いの場合は、それは大事なテーマとなります。
ところで、心理的な問題と症状ということでは、目的論と原因論の考え方があります。
目的論では、心理的な問題(症状)は、あるトラウマとか事件が原因となって生じているのではなく、それ(症状)を起こすことで、何かから逃れたり、忘れたりできるというように、とにかくある「目的」のために、症状を起こしている(症状を選択している)という考えになるものです。
一方で、原因論は、何かの原因があって、その症状が引き起こされているので、その原因を突き止め、解消することで治療できるという考え方になります。
こう書くと、両者は対極を成していて、まるで違うものに思えます。
しかし、症状で悩まされているクライアントや患者にとっては、短期的には、そのどちらが正しいかということなど、どうでもよいことで、とにかく治りたいわけです。
治る、症状が治まるという観点からでは、目的論も原因論もどちらでもOKとなります。
ですが、なぜその患者でうまく行ったのか、治ったのか、この患者ではダメだったのかなど、個々のケースや症状で、治療法や効果を検証したり、症状の発生と解消のメカニズムを知るためには、目的論とか原因論とかの区別にも意味が出てきます。
また「そもそも論」のようなことで、人の心理とか、苦悩とは何か?など、哲学的に考察していくのにも、その区別が、議論の種になったり、論理の発展に寄与したりすることになるでしょう。
この記事の最初で書いた、タロットリーディングにおける疑問も、このようなものだと考えられます。
それをふまえた上で、あえて客観性と言いますか、タロットリーディングが自己の投影的な主観性に傾き過ぎたものにならないようにするためには、ひとつには、法則やルールをきちんと当てはめるというやり方があります。
例えば「逆向きが出ると悪い」とか、「問題がある」とか、人為的に設定したルールを決めて、その世界観を強固にして、タロットを展開するということです。
そして、読むほうも、そのルールを比較的厳密に適用することになります。
それから、ほかの方法としては、同じタロット種類と展開方法を採用している、ほかのタロットリーダーにも読んでもらって、自分の色メガネとの違いを知るということで、少しは客観性、つまりタロットそのもののメッセージという「考え(あくまで“考え”です)」に近づづくことができます。
一方で、西洋魔法的テクニックになってきますと、タロットの精霊とのコンタクトという、一種のパラレルワールドとのコミュニケーションになりますので、そうなると、今まで述べたことと別の意味で、タロットそのもののメッセージということが濃くなります。
コメントを残す