小アルカナの活用と現実

マルセイユタロットの小アルカナ(特に数カード)は記号的な絵柄であるため、とても読みにくいとか、そもそもどう扱えばよいのかわからないとか、言われることがあります。

よって、どうしても絵柄のついている大アルカナ、及び人物の絵で構成される宮廷(コート)カードが使われる割合が増えます。

しかし、使わなければまた何事も上達しないのと同様、放置すればするほど小アルカナとの関係は築かれず、ますますわからなくなります。

とはいえ、理論や基礎を何も得ないまま、ただ使用すればいいというものではありません。

習うより慣れろとは言いますが、そもそもそれが何なのか、そしてどう使うのかという基本を理解しておかないと、回数だけこなしても混迷が深まるばかりです。

これはリーディングにおいても言え、とにかく人数見れば技術が上がっていくと思いこんでいる人もいますが、それは度胸がついたり、パターン的に読めたりするだけであって、必ずしも技術が上達したとは言い難いところがあります。(まあ、それでも広い意味では上達と言えば上達ですが)

ということで、私の講座で小アルカナパートにおいては、その基本構造を理解してもらうことに重点を置いており、最近では、さらに改善を加えて、おそらくほかのところではやっていない方法(考え方も含め)も採り入れています。

さて、小アルカナの数カード4つのパートと10枚ずつの構成、つまり40枚でできています。

これはきちんとした理由があり、これを知ることそのものが、そもそも小アルカナの数カードを使いこなす第一歩となります。

タロットは基本、絵柄の象徴なので、数のシンボル・数秘とは別体系のところがありますが、こと、数カードに関しては、数がメインであるだけに(マルセイユタロットは特にシンプルなデザインなので尚更です)、数そのものの象徴と色濃くリンクします。

ただ数秘による数のとらえ方は、実は結構具体的なものが多く、それは人によってまちまちになるということでもあります。

ですから、どこかで数秘を学ぶと、そこで教えられた数の意味をタロットにも当てはめようとしますので、矛盾や無理が生じることになるのです。

いえ、おそらくどこにおいても、教えられたことに大きな間違いはないはずなのですが、つい、人は具体や自分に関することに興味を抱き、それを覚えてしまう傾向にあるのが問題となるのです

例えば「1」は全体や始まりと覚えるよりも、「1」と縁のある人は活発で新しいもの好き、ちょっと変人気質もある(これはあくまで例ですので、うかつに信じないように)と言ったほうが印象に残るという感じで、本質よりも具体や個別の意味が残りやすいのです。

さらにデータを集めようとする人もいますので、データ(事例)によって、数の意味をまた確信している人もいます。しかしそれがデータなので、結構具体的・個別的なものとなっていることがあるわけです。

象徴というものは、データを集めて出すというものではなく(帰納的なものではない)、もともとある本質が象徴によって表されているということなので、むしろ演繹的(大前提や普遍的命題から類推したり、導き出したりすること)なのです。

話がそれましたが、要するに数秘術で覚える数の意味の根本は共通でも、覚えた流派やデータを集めるタイプの人によっては、一人一人意味合いが違ってきてしまうので、それをそのまま数カードの解釈に適用すると問題であるということです。

根本や抽象的なものでまずはとらえないと、数秘の数とタロットの数カードの数の意味とがリンクできません。

しかしながら、数に鍵があるのは、数カードにおいては間違いなく、実は一見無機質な数カードの絵柄とその構図に読み解くヒントが隠されているのです。

中でも、玉(コイン)のカードは、現実という意味ではもっとも重要と言えるカードです。

大アルカナばかりを利用する人には、なかなか理解ができないものであり、逆にいうと、タロットを人生に活用する場合、小アルカナ数カード、特に玉のカードをうまく使っていかないと、現実生活の問題は解決しにくいものになると言えます。

まあしかし、あえて大アルカナ中心の活用と生活をすることで、いい意味でも悪い意味でも現実から遊離させることもでき、実は私は結構その方法をあえて選択しているところがあります。(これには自身の探求の意味があるからです)

タロットリーダーを仕事としてやりたいという人は、小アルカナの活用はかかせません。なぜならば、仕事にするからには、タロットは現実や生活とは切っても切れない関係になるからです。

タロットをもって仕事をすることは、現実と精神の調和へのチャレンジです。

精神ばかりに傾くタロット好き人は多く、逆に言えば、タロットを好む人は現実を忘れがちなところもあります。

そのため、ひとつには小アルカナの世界があるのです。

大アルカナで言うと、まさに「手品師」です。魔術師ではなく、マルセイユタロットの言うところの「手品師」は、手品を現実の職業とする仕事人です。(魔術師的要素も隠されてはいますが)

「手品師」はコインとおぼしきものを手にしています。いかに手品師にとって現実パートが大切であるか、その手にしたコインが物語っています、

小アルカナ数カードでは、玉(コイン)のカードに相当します。それらが10段階あるわけです。
シンプルに考えても、ひとつから10個に増えていること(増やすこと)が想像できます。

大アルカナだけの活用もありですが、現実を充実させたい場合は、小アルカナも使っていったほうがよいでしょう。

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