拒否権を発動する。

タロットをやっていますと、癒しやセラピー関係にふれることが多くなります。

そうした方面でよく言われるのが、受け入れる、受容するということです。

人を受け入れましょう、自分を受け入れましょうというお話ですね。

しかし、癒しや本当の調和のためには、反対のエネルギー・表現も必要になることがあります。

ずばり言うと、受け入れない心、拒否する力とでも言いましょうか。

優しい人ほど、人・周囲に気を遣い、この力を発動することが少ないです。

心理的には「優しい」というより、本当は自分が傷つきたくない、トラブルになりたくない、本気でぶつかり合うことがいやだ・・・みたいなことが隠されていることもあるのですが、それはそれとして、それでも、世の中、特に日本では、周りに気遣いすぎる優しい人は多いと思います。

このせっかくの優しさも、自分に向けず、他人にばかり使っていたら、やはりアンバランスになります。

普通の人は、優しさを出す限界値・許容量があり、それはすなわち、人(懐の)の大きさ・自他の境界線のなさ具合によると考えられます。

言い方を換えれば、自分も人も気にならない度に応じて、優しさが出せる量も増えるという感じでしょうか。

逆に言えば、自分も人も気になるほど、優しさのエネルギーを出す限界値は低くなります。いや、正確には、優しさを出しても自分が何ともない限界値が低くなると言ったほうがいいでしょう。

優しさは出せても、自分や人が気になり過ぎると、それだけ疲弊してしまうことになり、結局、優しさを見せた分だけ、気疲れしてしまうという、変な話になってしまうのです。

それは「真の優しさ」ではないからと言ってしまえばそれまでですが、人はいきなり、大きな愛を持つのは難しいものです。

条件付だったり、自分に気遣うための人への優しさというものから始まることだったりしても、決して悪いとは言い切れないのです。

大きな愛(に至る)のためには、まずは「ひもつき愛」(笑)から始まることもありだということです。

それはともかく、このように、どうしても優しさの限界値がありますから、それを超えて無理し過ぎると、心か体、あるいは両方にダメージが出ます。

つまるところ、出し過ぎた(気遣いすぎた)エネルギー不足を補填するため(現状を守るため)、強制的にシャットダウンされたようになるわけです。

マルセイユタロットでは、「吊るし」と13の並びもイメージされます。

さて、そうなる前に、やはり自分から拒否する、受け入れないという態度も必要なのです。

ここで考えてほしいのは、私たちには拒否権があるということです。換言すれば、それは「選択する自由の権利」です。

ここで言う拒否権とは、法律的なことではありません。人として当たり前にある尊厳のようなものです。

誰も、いいように扱われる奴隷ではなく、等しく価値ある尊い生命であり、人間です。

自分という存在、自由に生きる価値ある権利を脅かされそうになった時、それを守るために、嫌なことを拒否する権利も当然あるはずです。

もろちん、現実的には、いろいろな事情で、拒否できないシーンもあるでしょう。

でもよくよく考えてみますと、意外に、それを拒否したところで、本当にあなた(自分)は困るのか?、存在を脅かされるのか?ということなのです。

むしろ、安易に、強制的に、惰性的に、仕方ないからと言って受け入れてしまうことに、あなたという存在を自分で貶めて、脅かそうとしていないかを改めて考えてみるとよいです。

誰のために生きているのか、何のために生きているのかという根本的なことです。

完璧に誰にも迷惑をかけないで生きられる人など、この世にはいないでしょう。

それぞれ違う個性をもった人たちがいるのがこの世界です。

価値観が異なるから、衝突することも、時には誰かを傷つけたり、逆に自分が傷つけられたりすることもあります。

争いを生まないように、相手からの要求を飲んでしまうことに、心から楽しんでいる人、楽しめる人はOKです。それは、内的に葛藤や争いがないからです。

しかし、自分の感情や思考において、葛藤を持ちつつ、相手の言いなりになったり、要求を受け入れたりすることは、結局、大きな争いのエネルギーを自分から起こしていることになります。

拒否権を発動して、心のバランスを保つことで、平和に貢献したり、調和が生まれたりすることもあるのです。

タロットリーディングで、この拒否権行使が求められる場合、「正義」のカードがよく出ます。

自分を下げ、相手に譲ることで、自分の正当な権利を自ら脅かしてきた人は、職場などで契約の問題や仕事量の理不尽な押しつけ、クレーマー等の問題として浮上してきます。

自分が正しいと思う主張をすることで、今まで不均衡だった対人関係バランスを修正するよう促されていると言えます。

トラブルを避けるために受け入れてしまうというのではなく、時には拒否する力、自分の意見が言える勇気を持ちましょう。

宇宙から見れば、不均衡を起こしているのは、あなたの態度であり、自分の正当な権利から逃げていることにもなります。

マルセイユタロットで、「正義」と「」のカードを一緒に象徴として持てば、そのエネルギーを取り入れることができます。

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