ネガティブシンキングの修正
私は基本的にはバランス思考(志向でもあります)を重視しますが、そのバランスも、いろいろな見方をすれば、一時的にはバランスをあえて傾かせることもアリかと思っています。
そういう一例として、ポジティブシンキングへの傾きというのがあります。
このところ、たくさんの人が指摘しているように、ポジティブ過ぎるのは、確かにバランス的には問題です。
人間の感情や思考は、いつも明るく前向きにあるわけではなく、時には落ち込んだり、暗くなったり、まさにネガティブシンキングに傾くことは誰にでもあるからです。
それを無理にポジティブにしようとするのは、重力に逆らうようなもので、かえって多大なエネルギーを浪費し、疲れたり、ますます自己嫌悪に陥ったりします。
しかしながら、一方で、人には癖というものがあります。
これは生まれながらという素養もあるにはありますが、たいていは育成環境、今まで過ごしてきた経験によってついてしまったものと言えます。
それは身体的なものとして体の癖にもなりますし、感情や心、思い方の癖、思考癖のようなものも形成されるのです。
脳内的には、同じ神経回路を通る固定ルートのようなもので決まっている状態かもしれません。
そのような癖として考えると、ポジティブシンキングの傾向になる人より、ネガティブシンキングに傾く人のほうが問題が多いのではないかと想像できます。
もともとポジティブな人は、前述したように、人として落ち込んだり、へこんだりすることはあるかもしれませんが、あまり無理に思い直すということはないように思います。
まあ、言ってみれば、何事も楽観視できるので、事態を必要以上に重たく考えずに済みます。
重たく考えないということは、そのままその人から見た世界観(事象・物事のとらえ方)となり、「世界は重たくない、明るいもの、楽しいもの」として形成されていきます。
ですから心理的・スピリチュアル的に見れば、現実は自分の投影した世界となって、実際に人生や生活は重たくないものになっていくものと考えられます。
ということで、ネガティブ思考癖の人のほうが、現実の幸せ観(一般的な幸せ基準)から見れば、その癖を修正していくほうが望ましいと言えます。
しかし癖というのは、意識しないとなかなか変えることが難しいものです。
特に体癖と違い、目に見えない心の中の思考癖ともなると、自分ではわかりづらいものです。
それでも、やはり修正の第一歩は、自分で意識する時間を増やすということになるでしょう。
この場合でも、マルセイユタロットは役に立ちます。
マルセイユタロットは心の元型として、人の感情や思いのパターンを絵柄で象徴しています。
人の共通パターンとしての象徴があるので、言わば、思い(方)をチェックするのにはうってつけなのです。
見えない思考や感情の部分を、絵柄として見える形で映し出す機能がありますので、そういう意味でタロットは見えない部分を把握するのには有効なのです。
カードにはもともと楽観的なことを象徴しているものもありますが、逆に、どうしても一般的にはネガティブにしか思えないものもあります。
例えば、一般的なタロットカードの名前で言えば「死神」とか「悪魔」とか「塔」と呼ばれるカードなどは、その典型でしょう。
ただし、マルセイユ版では、それぞれ、「死神」は「13(番)」、塔は「神の家」となりますので、かなり違ってはきます。(そもそも、本来はいい・悪いの意味で区別してカードは見ません)
しかしそれでも「悪魔」のカードなどは、私たちのイメージにすり込まれたまさに「悪魔的」なイメージから、最初は普通にポジティブに考えることは難しいでしょう。
だからこそ、とてもネガティブな人がポジティブシンキングに変えるよい訓練にもなるのです。
タロットがなくても、先にも述べたように意識的になって、自分のネガティブ思考癖に気がついたら、その都度修正していくようにすればいいと思います。
ここで未来のことを思ってみましょう。今の現状に左右されるかもしれませんが、未来を予想した時の、あなたの「思い方」はどのようなものだったでしょうか?
先行きのことを予想して対処するのは、人間の想像力による知性とも言えますが、それも行き過ぎると取り越し苦労となり、まだ起こってもないことに心配したり、解決策や別のよいことが起こる可能性を排除したりという、ポジティブな「想像力」のほうが欠如してしまう人がいます。
不安(な状態)があるから、悪いほうに考えるのは仕方ないこともあるのですが、実は不安があってもなくても、癖によって、そのように思いがちな自分になっていることもあるのです。
まったく同じ状況であっても、思考癖により、ある人は楽観になり、ある人は悲観にもなります。
ネガティブ癖の人は、幸せなことが続いても、「いやいや、これはあとから悪いことが起こるに違いない」とか、「こんなに楽しいことが続くはずがない」とか、やはり癖によって、どんな時でもネガティブなシンキングを忘れない(笑)ようになってしまうのです。
その律儀さたるや、自分でもびっくりするくらいだと思います。
ネガティブシンキングの人は、その癖によって、一種のネガティブループの状態に陥っていますので、その根本の癖を修正する意識と同時に、ループから抜け出すきっかけとしての、環境チェンジ、思考の堂々巡りをストップする外側から働きかけ、自らの切り替えの作業・行動が重要です。
その点では、思考癖も一種の体癖ととらえることが可能で、体(環境)を変えたり、運動したりすることで、思考も変化すると考えられます。
つまりは、癖はいろいろな方向から修正することが可能なのです。
また体癖と同じく、癖はすぐに元に戻ろうとする傾向がある(その癖の大元を修正することも重要なのですが)ので、何度も修正を繰り返していくことが、もうひとつのポイントとなるでしょう。
コメントを残す