対外(人)的に行うタロットリーディング
これは前にも何度か書いたことがありますが、タロットリーディングは、対外的・対人的でありながら、つまるところ、自分のため、内的な作業でもあるのです。
私の講義を受講してくれる人にも言っていることなのですが、タロットリーディングはいつまでも、自分だけの範囲でやっていては上達しないのはもちろん、大きな観点で、自分のためにもなりにくいのです。
前回の記事で記したように、リーディングだけではなく、いわゆる全体性の象徴の意味でタロットを活用する方法は、自分の範囲(だけ)で使っていても、それは自分のためになります。
しかし、ことリーディングの場合は別なのです。
その理由のまずひとつは、人の意識の元型は共通であり、個別的な(クライアントの)問題であっても、タロットで象徴化して取り組むことで、自分(タロットリーダー)の問題や内側ともつながっいることがわかり、結局のところ、自己の浄化や問題の解消にも関係してくるからです。
そして、何よりも、対人的に取り組むことで、ある意味、現実的・社会的とはいえないタロットの世界と作業が、必然的に外に開かれることになるということです。
言い換えれば、人と関わることになるので、どうしても社会(性)も意識せざるを得なくなるわけです。
具体的に挙げれば、人とのコミュニケーションや関係性、もし営業としてタロットリーディングを行う場合なら、社会の動向・集客的要素・お金や経済・エンターティメント・社会的道義や責任・法律・契約・運営等・・・いろいろと考えないといけないところが出てきます。
タロットに関心を持つような人は、なにがしか自分に変わったところがあることを自覚していることが多いです。ま、私もそうですが・・・(笑)
それは実は、マルセイユタロットの根幹に流れている思想からすると極めて重要なことなのですが、一方で、現実逃避になっていたり、社会性について軽視したりしている人もいます。
あるいはそれ(現実性や社会性の自身の問題)を自覚していて、自信がなかったり、不安や恐れを抱いていたりする人もいます。
タロットが何とかしてくれると思うのかもしれませんが、何とかする糸口は与えてくれるものの、何とかするのは、どれであっても、いつであっても、それは「自分自身」です。
人は外のモノや他人によって助けられるのではないのです。
助けられる手前までは他人がサポートできますが、どんな人も、「救われた」という思いが自分の中に生じない限り、救われていないのです。
ということは、結局、自分(の思い)が自らを救うのです。
話が少しそれましたが、タロットをする人の中には、自分の中に対外的・社会的に行動する自分に不安や恐れ、問題を抱えていらっしゃる場合があり、そのために、いつまでもタロットリーディングを自分だけの世界で完結(閉鎖)していることがあります。
営業で行うのか、ボランティア的やるのか、お金をいただくか、いただかないかにしろ、タロットリーディングは、いずれ自分のために、対外的に(他人に対して)行う必要があります。
自分の世界(問題)、他人の世界(問題)、両者を見ることによって、統合の世界に導かれます。片方だけだと、まさに片側でしかの考察になってしまうのです。
それは独りよがりになる、見方が偏るといった単純な話だけではなく、霊的な向上の意味でも、両者(自分側の視点・他人側の視点、見る者・見られる者)の境界線が非常に重要だからです。
私の伝えているマルセイユタロットリーディングでは、基本、クライアント自らタロットカードを引いてもらいます。すると、タロットリーダーは自分だけでリーディングを行う時とは異なり、逆側の視点で見ることになります。
つまり、展開としてカードの正逆を採用した場合、クライアントにとっての正立は、タロットリーダー側からは逆向きに見えることになり、反対に、クライアント側のリバースカードは、リーダー側では正立に見えます。
文字通り、逆さまの視点であり、まるで大アルカナ「吊るし」の構造をそのまま経験するのです。
この視点の交換だけでも、実は変容と統合作用をもたらせます。
ということで、タロットリーディングをしながら、タロットを使って自己成長を志したい場合は、自分だけではなく、人に対してやってみることです。
それはエアー(イメージだけ)でタロットリーディングするだけではなく、ライブ(生・リアルタイム)でも人に対して行うことも意味します。
人に対して、そしてライブでリーディングを行うことは、「タロットの解釈ができる、正しく読める」ということよりも(基本技術ができていることは前提ですが)、「相手が満足するか、癒すことができるか、新しい視点をもたらすことができるか、解放できるか」などが重要になってきます。つまり、そこに模範解答はないのです。
エアーで、自分だけでやっていると、思い込みと知識的解釈ばかりが先に立ち、正答や「リーダーが思う一番」というものを求め、そこに相手への配慮や思い、感情のない、空虚なリーディングが出来上がります。
対外的なリーディングを行うのに自信がない、不安だという人は、いきなりではなく、親しい友人から、家族から、そして教える先生や教わっている仲間たちが提供したり、作ったりしているリーディング練習会などで、人とふれあいながらやってみるのも手でしょう。
営業的にやってみたい人は、イベントなど、手軽なところからチャレンジするのもよいです。
タロットリーディングは、人のためでもありますが、自分のためにも必ずなるものなのです。
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