「月」のカード 感情に関係して。

マルセイユタロットの「」のカードは、解釈やその意味についても、一筋縄ではいかないところがあります。

その不思議な絵柄と、はっきりしない感じから、わかりづらさが余計際立ってくるのですが、実は、そのわかりづらさ、はっきりしないことこそが、このカードの真髄と言ってもいいでしょう。

端的に言えば、このカードは人間の「感情」に深く関係しています。もちろん、それだけではない、大きな秘密も隠されていると想像できるのですが、それはまた別の機会や講座でふれたいと思います。

今日はこの「月」のカードの示唆から得た、人の「感情」をテーマにします。

このカードが課題として出る時、対象の人にとって、何らかの感情に関する問題(見つめるべきこと)があると考えられます。

そして、その問題とは、まず、感情をはき出していないこと、つまり抑圧されたものがあること、それは裏を返せば、味わえない感情か、経験したくない感情(とそれを起こした事件・背景・設定)があるということでもあります。

さらに逆のこととして、感情に溺れている、感情を経験し過ぎようとしているという危惧も考えられます。

要するに、自己の体験における感情のバランスということが鍵なのです。

よく言われるように、人間は感情の生き物だと表現されます。それだけ感情は人を動かし、また悩ませ、人を人たらしめている「何か」なのです。

スピリチュアル的な人の中では、人間がこの世に生きている理由、生まれた理由のひとつとして、感情を味わうため、感情を十分に経験するためという説もあるくらいです。

人は無感情に、機械のように生きていくことは難しく、それでは人生、味気なく、まったく面白くないものです。ですから、感情は、人生や生活を彩り、まさに色づけし、リアルにしているものと言うことができます。

従って、現実に生きる私たち人間にとって、感情があること、感情を味わうことは、結果がどうであれ、人の宿命というか、そういうシステムになっているのだと思えます。

さらに言えば、感情といかにつきあうかということも、人の人生にとって大事な要因になるわけです。

ただ感情は、ある意味、自動的に湧き起こるものですから、それをコントロールしようとするには無理があります。

感じないようにする、感情を入れないようにするということは、むしろ逆効果で、感情を一種のエネルギーとして見ると、拡散・爆発しようとするエネルギーを無理矢理封じ込めようとするようなもので、抑圧と強引なコントロールは歪さが出て、エネルギーは暴発を求めて、体内や心の内に行き渡り、どこかに溜め込まれ、やがて体か心を蝕みます。

しかし、一方で、感情にただ身を任せ、なすすべもなく飲み込まれ、感情のままに行動を起こすと、それはそれで危険です。それでは、感情から来る条件反射的な、奴隷みたいな人間になってしまいます。

「人生、楽しけりゃいい」「欲望のままに生きる」「気(感情)の向くまま、好きなようにただ生きる」「感情を殺して、静かに過ぎ去ってくれればいい」というような態度では、本当の自分の目ざめからは、ほど遠い生き方となるでしょう。

ところで感情のコントロールはできなくても、感情の発生する機会(つまり、心のとらえ方、受け止め方)、感情が発生したあとの対処、言わば、自分の行動に対してはコントロールはできるのです。

「月」のカードは、私たちの生きる元には(エネルギーの中には)、「感情」というものがあり、それに着目せよ、バランスを取れと言っているように感じます。

抑圧されたものがある人は、その解放のために、過去に経験し、感情が呼び起こされるような同じ機会を創出しますし、その刺激が強い場合は、非常に感情に混乱を来します。(下手に抑圧されたものを解放しすぎると、洪水になり、危険ということです)

ですが、少しずつでも、その感情を解放・浄化するために、機会に挑戦していくことは、自動に起こることでも、意図的に行うことでも、体験できます。

重要なのは、その自覚です。オートマチックに働く自己浄化作用に気づくことなのです。

一方で、感情に溺れ、感情体験に引き寄せられる時期とか傾向というのもあります。

この場合、別の感情の抑圧とセットになっていることが多いのですが、もっと深く見ていくと、人生経験(感情を味わう体験)が足りないという風に、自分の何かが思っており、そのために、頭や常識では理解できないことを自分がやってしまったり、とんでもない行動をしてしまったりすることがあります。

簡単に言えば、味わい尽くしていない感情をもっと味わいたい、ほかの部分で抑圧されてきた感情を、別の体験で補いたい、解放したいみたいなものです。

これも個々における感情のバランス作用と言ってもいいのかもしれませんし、魂の傾向(今生で味わいたい感情がある)として、何か自分に刻印しているものがあるのかもしれません。

霊的には、「月」のカードが、マルセイユタロット的には高度な位置にあるため、感情のテーマ、感情体験というのは、非常に重要なことであると見られ、霊的成長のためにも、なくてはならないものだと考えられます。

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