自分の中にある「太陽」と「二人」

ほかのタロットでもそうですが、マルセイユタロットでも、「太陽」から「審判」「世界」という一種の流れのようにも見えるこの三枚のカードは、比較的よいカードとみなされています。

実際に、カードの絵柄を見ても、明るい感じが三枚とも伝ってくる気がします。

マルセイユタロットの秘伝では、この三枚の段階になりますと、霊的な完成ともいえる状況になっていますので、見た目以上に高次のエネルギー状態と言えるかもしれません。

そして、この三枚の中でも、最初にあたる「太陽」のカードについて、今日は注目してみたいと思います。

マルセイユタロットにおける「太陽」は、その絵柄からしても、とてもエネルギーを感じるカードです。私自身、うつ病からの回復時には、「太陽」のカードを見ることで、パワーをもらえた実感もありました。(状況によっては強すぎることもあるので、回復時のほうがいいかと思います)

この「太陽」のカードに描かれている、まさに太陽自体が、実は象徴であり、私たちの見ている実際の太陽とは異なることは、カードの解説をされなくても、たいていの人は感じるのではないかと思います。

普段絵画をよく見ている人は、太陽を描いた絵の中に、このマルセイユタロットのような光芒の形とよく似たものを記憶している人もいらっしゃるかもしれません。また太陽に顔があることも重要です。

占星術でもそうですが、タロットにおいても、天体を、今の私たち現代人が思うような、ただの物質的観点から見ると、本質がわからなくなります。

「太陽」カードの太陽も、太陽であって太陽ではなく、古代の人が象徴的に観じた、太陽の奧にある根源、神性(の太陽的表現)を見ていたのです。いわば、太陽を通して現れる神(全体・完全性)の霊魂のようなものです。

これが象徴的に見るということのひとつの特徴であり、タロットをやっている人でも、また占星術をやっている人でも、いまだ象徴の意味を理解せず、物資的・機能的な見方(モノとして見ている、見た目を中心の判断にしている、何か特別なことを与えたり、支配したりできるものとして見ていること)に偏っている人がいます。

もっと象徴的に見る必要があります。

こうした「太陽」の魂、霊が、私たちの中にも宿っています。

しかし、通常の生活の中で、それを見失っている状態なのです。

いわば、いつも昼間に現実の太陽を見ていながら、自分の中にある太陽を認識できず、暗闇の中で過ごしているようなものです。

太陽は月と星とも当然関連しますが、暗闇にあっては、現実的に私たちは月や星がよく見え、明るい昼間にあっては、太陽がよく見えます。

けれども、内的には暗闇の中では「太陽」はよく光り、明るさの中では「月」や「星」を意識することがあるのです。

これも象徴的な例えであり、わかりやすく言えば、暗闇は苦悩や試練とも言え、そうした状況にあった時こそ、自分の中の内的な「太陽」が輝き出すわけです。

それから、「太陽」のカードの絵柄のもうひとつの特徴としては、二人の人物が手を取り合っていることです。

これも象徴的に考えると、いろいろな読み方(すなわち、次元別の読み方)がありますが、私が今回、特に強調したいのは、この二人は結局自分であるということであり、自分自身を受け入れること、自分自身と仲良くなるということが示唆されていると見ます。

そして、自分を自分の中でさらけ出す覚悟も必要です。

と言っても、他人に自分をさらけ出しましょうと言っているのではありません。

そうできれば楽かもしれませんが、なかなか普通は難しいものです。

ここで発想の転換を図り、あくまで自分の中の世界で、自分に嘘をついたり、自分を隠したりしないように持っていきましょうと述べているのです。

スピリチュアルな話でいうと、おそらく、私たちは、死ぬと肉体という鎧や覆いがなくなりますので、隠し事が、現実次元で生きていた時よりも、できなくなるはずです。

心が素になると言いますか、嘘や隠し事が効かない次元に移ると推測されます。(これは「正義」のカードとも関係します)

となりますと、もちろん他人との関係についても考えることができますが、その前に自分自身との関係で見ますと、自分に嘘をついてきたこと、自分を騙してきたことについては、死ぬと露わになるわけです。

言い換えれば、真実の自分(本当の気持ちの自分)と、偽りの自分(肉体・現実次元で体裁をつくってきた自分)が対決すると言えます。

これは相当大変なことになると想像できます。自分がふたつに分かれて争うような感じでしょう。

まあ、それでも、真実の自分はまさに「真実」を知っていますので、どうして偽りの自分にならざるをえなかったのかも理解していることだとは思います。ただ、それを受け入れ、整理・融合していく時間は、偽りの人生が多ければ多いほど、しばらくかかるかもしれません。

ですから、前もって、今生きている現実の次元において、あらかじめ、二人の自分の融和を図っておくとよいわけです。

少なくとも、本当の気持ちの自分と、まやかしをしなくてはならなかった自分との対話を、自己の中で試みておくことだと思います。

そうする中で、「仕方なかったんだ」ということもあるかもれませんし、やはり、「嘘をついていたこと・隠していたことは悪かった」となるかもしれませんし、それは対話次第です。

タロットリーディングにおいても、「太陽」のカードが出る時、他人とのコミュニケーションや繋がりが意識されることもありますが、もうひとつ、自分の中の二人との対話・融和がテーマとして起こっていると読む場合があります。

誤解なきように言っておきますが、何も真実の自分を必ず表現しなくてはならないということではありません。

この現実次元では、様々なしがらみ、状況が予想され、ありのまま・素のままで押し通せるほど、純粋無垢なものではないからです。

だからこそ、偽りとも言える自分が生み出されます。

ただそれでも、真の自分と偽り・仮の自分とが、まったく対話することなく、偽りの自分が真の自分を無視仕切っている状態になっていれば、その人は「太陽」を隠すことになり、葛藤が深くなります。

従って、自分の中の「太陽」を隠している状態の人には、それを意識させられるように事件・試練が起こるのです。

あなたの中の「太陽」は、いつも輝き、燃えており、あなたにパワーを送り続けています。その「太陽」にいつか気づくことがあることを祈っています。

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