あやふやで不透明なカードたち。

マルセイユタロットの大アルカナ22枚は、あらゆるもののモデルや元型として見ることが可能です。(小アルカナと呼ばれるパートも、それはそれで重要な象徴です)

これらの22枚のカードは、いろいろなコンセプトで分類していくことができますが、その分類法、それそのものがまた、この世界や宇宙、エネルギー(質的なもの)を観察する要素となります。

さて、私たち人間は、一般的に、物事や心の状態を「はっきり」させたほうが「すっきり」する傾向を持ちます。(しゃれでありませんが・・・笑)

逆に言えば、中途半端な状態、物事が白黒はっきりしていない時は、モヤモヤしたり、不安になったり、心配になったり、イライラしたりするわけです。

そのことをふまえ、改めて、最初に述べた「大アルカナ22枚」を見ていくと、カードには、「はっきり・すっきりの」状態を示す(そのような雰囲気の絵柄の)カードと、反対に何とも言えない、不透明、どちらとも取れるような状態のカードがあります。

代表的なものでは、前者が「正義」とか「13」とか「戦車」とか「皇帝」のようなカードであり、後者は「恋人」「運命の輪」「月」などで示されるでしょう。

まあ、これにも個人差がありますので、自分にとっては、はっきりしていると感じていても、人にとっては不鮮明であったり、あやふやだと感じるカードもあります。そしてまた、その個人差というものが、自身のカードへの投影として、自らを知る鍵ともなります。

ただ、個人的なもの(感じ方の差)はあっても、やはり普遍的とも言える、ほぼ誰が見ても同じように感じる絵柄の象徴性があるわけで、それによる区分けであると、この場合は考えていただいたほうがよいです。

それで、はっきり・すっきりと感じるカードたちは、まあ「はっきり」ですからよいとしまして、逆のはっきりしないほうのカードたちについて注目します。

全体22枚のうちで、そのカードたちが数の位置(順)としても、どこに置かれるようになるかを見ることで、大きな気づきや重大な事柄が見えてくるでしょう。そのことは、詳しくは講座で説明しています。

ここで言いたいのは、はっきりしないカードたちが、大アルカナの絵柄として存在していることは、一種の型・モデルとして考察すると、このはっきりしない状態も私たちの生活や成長の中で必ず起こってくること(言わば必然性の状態)だと推測できます。

 

当たり前と言えば当たり前なのですが、私たちはいつもいつも透明性・明白性をもって生きている(過ごしている)わけではありません。

当然、知的(知識的)にわからない・知らないこともありますし、感情的にモヤモヤしたり、葛藤したりすることもあれば、何かわからない衝動や、どうしてもそこに向かいたくなる情熱・パッションに身を任せてしまったりすることもあります。

そしてだいたいは、損得や好き嫌いだけでは決められないこと、さらにはこれまで身につけてきた知識・常識・経験で推し量れない(選択できない、迷う)ことが、ある段階では、誰しもに起こって来ます

いわば、目に見えない、はっきりとしない状態や状況に翻弄されたり、常識とは異なる、直感のようなものが動かされたりする(動かす必要のある)感覚を得ることがあるわけです。

それは自分にとっては危機とも言えますし、変容(言い方を換えれば新しい自分に生まれ変わること)に向かっているとも言えます。

自分にとっての古い殻を脱ぎ捨てようとした時、今までの古い殻は、ちょうどなじんた古着・衣服のように心地よくもあり、またなかなか脱げず、まとわりつくような気持ち悪さも醸します。

夜明け前が一番暗いといわれるように、先行きがわからず不透明な時は、まさに手探りで、闇を彷徨う苦しさ・息苦しさ・閉塞感があります。

しかし、大アルカナ全体の構成から見れば、それは成長や拡大、自他の救済の道の過程(プロセス)であり、必然をもって生じてくるものなのです。

あやふやではっきりしないカードたちには、必ず、次の段階や、新しいもの、異質な存在や別次元の働きかけが絵柄としても示唆されています。

カードの象徴で、そのことを知識的にも感情的にも把握することができ、それがために、はっきりしない状態への恩恵と啓示を受け取ることができます。

逆に言えば、はっきりしたものへの厳しさ・畏れも見ることができるのです。

また、それらのカードと、ほかのカードたちを比較検討することによって、不透明な時期の苦しみからの脱出、救済の示唆・順序・道筋を象徴的に得ることも可能です。

あなたにとって、混迷や不透明な時期は、自らに眠る可能性と新しい自分(実はすでにもともと存在していた部分でもあります)の開花の準備として現れており、苦しみは確かにあれど、次には、そこで練られた純粋なもの、高度なものが収穫として、あなた自身にもたらされてくるのです。

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