空しさからの転換、解放

人生が空しくなる時が、まったくないという人は幸せかもしれません。

しかし、たいてい一度は誰でも、程度の差こそあれ、そう感じたことはあるでしょう。

仕事であったり、恋愛であったり、家族のことであったり、人間関係であったり、お金のことであったり・・・人はいろいろなシーンで問題が起き、それにショックを受けたり、落ち込んだりして、そのような思いに駆られることは普通にあると言えます。

けれども、一方で、その同じ悩みの分野でも、反対に喜び、充実、ハッピーな出来事もあるわけです。

そして、その時、「人生ってすばらしい!」「生きてて良かった!」「神様ありがとう。。。(涙)」という具合に、歓喜・感謝の気持ちがあふれます。

トータル的に見れば、まさに悲喜こもごも、その味わいの落差・バラエティさからすれば、やはり人生はワンダーだと言えるかもしれません。

それでも、心理的、あるいはもっと奥深くと言いますか、何か原因のわからないようなことで、何をしても心が塞いで、感動しないという人もいます。

言わば、空しさという状態がずっと続いているような感じです。そうなると「生きていても仕方ない・・・」というように思い、「死にたい」という気持ちに囚われてしまいます。

これはとても苦しいものと思います。

また自分はまだいいとしても、この世界の起きている事象をつぶさに観察していると、矛盾だらけの世界のように見え、皆の救いになる世界はどこにあるのかと疑いたくもなってきます。

そこから絶望的な気持ちになって、これもまた「死」への意識につながってくることもあります。

ここまで来ると、神や仏さえ信じられなくなり、すべてに疑問を抱くようにもなります。

ここで、そうした人にひとつ提案があります。

まず、すべてに疑いを持つこと自体を肯定してみることです。そして、疑いの中で、ただひとつだけ信じるのです。何を信じるのかは、「疑う自分の態度」を、です。

自分を信じるのではりません。安易に自分を信じ過ぎるのも、他人を信じ過ぎるのも実は危険です。

ですから自分も疑っていいのですが、ただ、自分が疑いをもっているというその態度を信じることはしてみましょう。

そして、ここから神なるもの、この世界(宇宙)なるもの全体に目を向け、自分の疑いを証明するかのように探求していきます。

簡単に「空しいから」とか、「どうしようもないから」とかで終わりにするのではなく、なぜこうも矛盾に満ちているのか、なぜこうも絶望してしまう世界にいるのか、なぜ空しいと感じる世界に自分はいるのかということを研究し、探求するのです。

死ぬのはあきらめであり、逃げです。これでは「自分が空しさをもった」という気持ちや疑念の解決にはなりません。もし死んでも同じような世界が待っていれば、永遠のループに閉じこめられることになります。

あなたが空しさを感じ、疑念を抱いたこの世界は、その通りなのかもしれないのです。つまりは、疑惑があるということです。

探求したところで、自分一代で解明できるわけでもないかもしれません。探求、それすら空しいと思う人もいるでしょう。

それでも、あなたには、不思議とも言えるチャンスが与えられていると言えます。

世間からはアウトロー的な、また変わり者的な目で見られたり、外見は普通でも精神的におかしな人であると、自身が自覚することもあるでしょうが、自分が空しいと感じる世界に対して、その理由を解き明かそうと努力する時、ひとつの生きる希望が出るわけです。

言い換えれば、空しさに屈するのではなく、空しさを味わっているからこそ、空しさへのレジタンスと解放への道に進む選択ができるということです。

見ようによっては、限りなく「中二病」(笑)に近い感じではありますが、そこに、「ある扉の鍵」が存在していると言えます。

妄想や病気とは違うのは、自分自身の状態を自覚と客観ができており、一応、普通に、この世界(現実)に仮であっても、なじませるよう振る舞えることにあります。

言ってみれば、在家的な悟りへの探求に近いものです。

人生に空しさをずっと感じている人は、空しさの理由を追及していく方向(心・内面だけではなく、世界やその構造そのものに向けること)に変えれば、エネルギーが湧き、生きることに対して、別の意味で希望、いや使命感のようなものが出てきます。

追求と言っても、よくあるような心理的要因・トラウマ(自分の心の原因)を探って、浄化していくというものとは違います。それも空しさからの解放に必要な場合はありますが、ここでいう追求・探求は少し次元の異なるものなのです。

実はマルセイユタロットがその探求の絵図・象徴としては、とてもマッチしているものであると言うことができます。

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