「神の家」の自然的・強制的選択

マルセイユタロットの「神の家」のカード。

このカードは、他のタロットでは、一般的に「塔」と呼ばれ、中にはその塔自体崩れ去ろうとしている絵柄になっているものもあり、そのために、あまりよいイメージのカードとは言い難くなっています。

しかし、マルセイユタロットの「神の家」は、確かに「塔」は描かれているものの、その様は堅固であり、稲妻のような光を受けてはいても、どこも崩れていないという絵柄になっています。

従って、「塔」と呼ばれるカードのイメージや意味とは異なってくるようになるのは、むしろ当然と言えます。

その秘密は、「神の家」という名前自体にもありますが、ここではこのカードの解説というより、人生における「選択」ということをテーマに、「神の家」の象徴性を紹介したいと思います。

ところで、「神の家」は、16という数を持ちますが、一桁の数としては同じ「」を持つ大アルカナと言えば、「恋人」カードになります。

マルセイユタロットには、ある種の数のつながりもあり、そういう面で言えば、「神の家」と「恋人」は、「6」の数つながりでもあります。

その他にも、注意深く観察すると、この二枚には意図的なリンクが貼られているのが、マルセイユタロットにおいてはわかります。

それはさておき、この「6」のつながりというと、数秘的には調和や融合的な意味もある数ですが、そのためには、自身においては重大な選択の局面を迎えるというテーマにもなってきます。

融合のためには対立も経験することもありますし、いわば、異種のエネルギーの交流、介入、統合などのプロセスが、「6」という象徴においてなされるのだと解釈できます。

「恋人」カードのそれ(対立からの融合)が、人間的な選択が中心となり(しかし上空から天使の影響もあります)、「神の家」のそれは、その名の通り、神の意志による選択というイメージで見るとよいでしょう。

人間、天使、神というのはもちろん「象徴」です。

この3つの象徴性を読み解くことが、二枚においての「選択」の意味、ひいては「神の家」に現れる強烈な選択とは何なのかを理解することにつながります。

少しだけ言えば、「神の家」は先述したように、「神の意志による選択」であるので、人間(特にエゴの部分)レベルで考えていてはわからないものであるということです。

これは、例えば人生で言えば、非常に衝撃的な、突然ともいえるインパクトをもって現れる事件、事柄、経験かもしれず、それは確かに人としての自分には大変でおおごとではあるものの、神目線、高次や全体性から見ると必然であり、むしろ祝福すべき魂の選択、方向性とも言え、やはり人生の一大転機となるもの、ある段階での悟りや大きな気づき、受け入れとなって現れるもの(そのように思えるもの)と考えられます。

ここには、「恋人」カードのような、自分で選ぶ意志やスペースというものがほとんどなく、むしろ強制的、突発的、人間の心情やエゴ的なことからすると、理不尽で抵抗したくなるものかもしれません。

しかしながら、それは自分で築きけ上げてきた(神性的な)何かの延長でもあるのです。

すでに現実・常識レベルでの価値判断を超えて、自らの魂、霊的な成長を促すと決意した者にとっては、この「神の家」の事件、選択は、かえって望むところであり、予想できる(わかっていたこと、受け入れができる)ことでもありましょう。

その準備のためには、もうひとつの強烈なカードとも言える「13」の象徴性や選択が先に訪れる、あるいは決意させられることもあるかもしれません。

「神の家」を、たとえ占い的に使用する(読む)としても、おそらく「神の家」が特別な位置に登場する時、それは人生の大きな岐路やポイントであることを示し、今までの常識的自分、他人や外向きに取り繕っていた自分、欲望的なエゴの自分に支配されていた自分から変わっていく時だと見ることができます。(タロットは複数の層にまだかる「象徴」ですから、必ずしもそうであるとは限りませんが)

それを受け入れるかどうかも、あなたにとってはなかなかに試練でしょう。

実際、私自身のことをふりかえってみても、タロットを学習していた当時のリーディングで、公務員を辞めるかどうか、今後の生き方をどうすればよいかのテーマをもって展開した時、この「神の家」が登場したことを印象的に覚えています。(記録としても残っています)

人間目線で見れば、「神の家」はほかのカードの「塔」のように、よくない意味や事件として感じるかもしれませんが、「神の家」というそのものの視点に立てば、まさに本当の意味で自立していく選択をする(経済的な自立とか、現実世界での大人になるとか、一人前になるという意味・ニュアンスとは異なります)、祝福や栄光のカードととらえることが可能なのです。

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