「運命の輪」に見る時間感覚

マルセイユタロットを見ていますと、たわしたちの現実感覚、現実次元を認識させるための大きな装置のひとつが、「時間」であると感じられます。

マルセイユタロットにおいては、特に大アルカナのカードで、すべての事象を説明することができるのですが、やはり、大アルカナにおいても、ある特定の事象とのつながりが深いカードというものも出てきます。

「時間」をテーマにすれば、最も「時間」に象徴的なのは「運命の輪」だと考えられますが、同時に、すべてのカードが「時間」というものの一側面を表していると見ることが可能です。(こういう見方が、マルセイユタロット的な特徴でもあります)

「運命の輪」で見た場合、このカードはその名の通り、大きな回転する輪と、その輪に付随するような形で、二匹と一匹の奇妙な動物たちが描かれています。

この動物の配置と形態には重大な秘密が隠されていますが、ここでは、時間を主題にしたある見方を提示しておきます。

この三匹は、時間的に見ると、「過去」「現在」「未来」という括り(概念とでもいうべきもの)を象徴していると考えることができます。

私たちが「時間」を「時間」として実感するには、時の差、時が動いている、進んでいるという感覚が必要です。

現在の今この瞬間を中心にして、過ぎ去ったものが「過去」、これから訪れるものが「未来」とし、そうすることで、時計(計測)的な“差”を実感することで、時間が流れている、経過していると思うわけです。

逆に言えば、この3つの括りがないと、私たちは時間の進みを感じ取ることができないとも言えます。

通常、私たちはこのように時間が進む感覚をもって生活していますが、時折、時間がなくなるような感覚、あるいは時計の進みが一定ではないような感じを受けることがあります。

それは、何かに熱中している(もしくは囚われている)時で、また、とても嬉しいことや非常にショックなことが起こった時など、通常の意識状態にはない時に起こりがちです。

いわゆる変性意識といってもいい状態で、時間が停止したり、変化したりする感覚を味わうのです。

まさに、意識と心の状態が、時間の感覚を変化させると言えますし、反対に、意識と心の状態が時間を司っているとも考えることができます。

時間は、個人の精神で流れる時間と、万人に共通な、天体の回転を基準にした時計的・計測的時間があると言われています。いわゆるカイロス・クロノス時間と呼ばれる違いです。(ほかにも種類があるのですが、ここではふれません)

私たちが過去・現在・未来と、一定の時間の流れで進んでいると感じている空間が現実で日常ですが、その時系列がバラバラになったり、時間の進みが時計的な進みとはまるで違ったような感覚を得たり、時が止まったかのような感じを受けたりしている間は、現実を超えたところ(特別な意識による別の空間)に移行していると考えることができます。

そして、その別の空間にこそ、現実を超えるヒントがあると想像できるのです。むしろ、そうした空間から私たちは現実へ降りてきているとも言えますし、意識が空間を作り出している(意識状態によって空間認識が変わる)と想定することもできます。

現在を中立として見た時、過去と未来は二元に分かれた分離意識とも言えます。

マルセイユタロットに描かれていることですが、私たちが総合的に進化し、成長するためには、個人としても分離した二元的性質を統合していくプロセスが求められます。

時間の統合(通常時間感覚からの脱出)というテーマでは、過去と未来を現在に集約させ、統合していく作業とも言えます。

それは精神においては、基本的に物理的時間を超えて、過去や未来に意識を(イメージとして)飛ばすことが自由にできますので、統合するチャンスがあると言えます。

しかし、過去に心残りのような未消化でネガティブなデータがあったり、未来に大きな不安を抱えていたりすれば、意識・心は分裂し、統合が困難になり、より時間を意識した世界に閉じこめられると同時に、自分が強く意識する過去か未来に囚われてしまい、今この時に全力で生きられないエネルギー状態(今が空虚な状態)となるおそれがあります。

そういう意味でも、過去や未来へ傾き過ぎた思いを中立に、今に戻していくことが重要です。

過去ワークや未来への思いの手放しなどが有効なのも、こうしたことが考えられるからです。

それは結局、囚われからの解放になり、今をもっと自由に生きることにつながるのです。

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