ホドロフスキー氏の映画とトークイベント

いよいよ、アレハンドロ・ホドロフスキー氏監督の新作映画「エンドレス・ポエトリー」が公開されます。(すでに公開されているところもあります)

ホドロフスキー氏はカルト映画の巨匠であり、自ら演じる役者であり、さらには詩人、劇作家、心理治療家、漫画原作者など、様々な顔を持つ、奇才・鬼才といわれる巨人ですが、タロット研究家であること、タロットリーダーであること、タロットによるセラピスト、哲学的、スピリチュアル的な真理の求道者でもあります。

何より、私たちマルセイユタロットを愛好する者の間では、フランス、マルセイユタロットメーカーの子孫であるフィリップ・カモワン氏とともに、本来の姿に近い(と両者が主張する)マルセイトタロットを復元した人としても知られています。(そのタロットがホドロフスキー・カモワン版マルセイユタロットで、日本ではどちらかというと「カモワンタロット」という名前で呼ばれることが多いです)

すでに88歳という高齢ながら、いまだ精力的に創作意欲をもって活動を続け、ついに新しい映画も作られ、日本での公開となりました。

この映画は前作、「リアリティのダンス」の続編であり、いわば、ホドロフスキー氏の自伝的映画です。

前作が幼少期を描いていて、むしろ父親が主人公だったのに対し、今回は青年期のホドロフスキー氏自身が主人公となるようです。そして、前回も今回もそうですが、ホドロフスキー氏の息子さんたちを重要な役に起用することで、言ってみれば、氏自身の(詩的・フィクション的な)ファミリーヒストリーによる自分への癒しでもあるわけです。

それは、同時に、映画を観ている私たち自身も、様々に親や家族、周囲の人たちから影響を受けて育ってきたことへの整理と浄化であり、映画の象徴性によって、私たちに内在する物語(問題)をすばらしいものへと昇華しようとしているのです。

セラピストであるホドロフスキー氏が送る、自分自身と観客への再生に向かうサイコマジック(心理的儀式治療)とも言えます。

ホドロフスキー氏の映画は「カルト映画」と呼ばれるように、過去の有名な三部作のものを筆頭に、普通の人にはわかりにくい、しかも独特で強烈なインパクトを与える作風と内容でした。

しかし、年齢とともに苛烈な表現は少なくなり、前作の「リアリティのダンス」になると、一般の方でも普通に見ることのできる表現くらいに治まってきているように感じました。それでも、なかなかに強烈なところはあり、今回もそういうところはあるでしょう。

けれども、それらも、象徴性を知ると、理解できるようになっています。

ホドロフスキー氏の映画を理解する手助けになるのが、ほかならぬ、ホドロフスキー氏自身が生涯の探求ツールとして敬意を払っている「マルセイユタロット」(で示される象徴)です。

今回、渋谷のアップリンクという映画館で「エンドレス・ポエトリー」が上映されるにあたり、11/21(火)、夜の部にて、映画とマルセイユタロットの関係性を解説する(マルセイユタロットの象徴性を映画において確かめ解説する)トークイベントが開催されます。

トークを担当されるのは、京都のカフェ・オパールを経営されながら、カフェ2階でマルセイユタロットでのリーディングを行っている小川トモコさんです。

小川さんはご主人とともに映画や多方面のカルチャーに精通されていて、トモコさんはホドロフスキー氏自身と映画のファンでもあり、マルセイユタロットとホドロフスキー映画について語るのには最適な人であると言えます。前回の作品でも、同様の企画があり、内容もすばらしく、非常に好評を博していました。

ホドロフスキー氏は映画人の間では有名ですから、日本でも、氏の映画を批評したり、理解したりしている方は少なくないでしょう。

一方で、日本は世界の中でも、おそらくタロットを愛好する人はかなり多いほうではないかと思います。

しかしながら、映画を主とする方々にはホドロフスキー氏とタロットとの関係、ホドロフスキー氏が探求するタロットの道とは何なのかということ、タロットの象徴性を知る人は少ないでしょう。

反対に、タロット好きな人でも、ホドロフスキー氏自身の存在、彼の芸術表現、映画作品というものを知らない人も結構いらっしゃいます。さらには、タロットをやっていても、マルセイユタロットについてはあまりわからないという人もおられます。

ということで、ホドロフスキー氏の映画への関心が中心の方と、タロットへの関心が中心の方とのギャップを埋め、その間の架け橋となることができるのが、今回のトークイベントだとも言えます。

なぜにホドロフスキー氏が芸術家や文化人、映画通の間で評価され、多大な関心と刺激をもって受け入れられているのか、一方で、なぜにホドロフスキー氏はこれほどまでにタロットにエネルギーを注ぎ、探求し、活用し、映画においても象徴として表現されているのか、そもそもホドロフスキー氏の言う(考える)タロットとは何なのか? 一般人の思う(占いの道具的な)タロットの印象とはどう違うのか?

こういったことが、少しでも、お互いにわかることになるのが、今回の映画とトークのイベントになるのではないかと思います。

関心のある方は、是非、21日、アップリンク渋谷でのイベントに足を運んでみてください。なお、アップリンクはミニシアター系ですので、席数は少なく、早めに確保されたほうが無難です。

私も、当日会場で、いち観客として、楽しませてもらうつもりです。

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