数の関連性で読むリーディング例
マルセイユタロットには、数がふられているものがありますが、その数はローマ数字で表されています。
数字は、ただその数・ナンバーを示す記号的なものだけではなく、象徴としての意味も含まれるところが重要です。
数を象徴として見るというのは、簡単に言えば、例えば、私たちが“ラッキーセブン”と言って、「7」に特別な感じを持たせているのと似ています。
つまりは、番号とか数量のための意味だけではなく、何かしらのシンボルになっているということです。
ということは、マルセイユタロットのローマ数字は、「絵」として考えることもできるわけです。
そこで、絵として見た場合、同じ形のものを含む数は、共通のシンボルを含むという考え方ができます。
例を挙げれば、「5」という数は、ローマ数字では「V」になりますが、「15」においても、「V」が入っているため、「5」としての共通の意味合いが出るということになります。
もっとも、この場合は、算用数字の「5」という文字が「15」でも見えるので、ローマ数字でなくても同じことは言えます。
しかし、例えば「19」だとしても、ローマ数字では「V」が入ってきますので、一見、算用数字では関係なさそうな数同士でも、ローマ数字の文字を象徴として見ると、何か関連性があるものと、とらえることが可能になります。
そういう意味で観察しますと、マルセイユタロットの「運命の輪」と「審判」は普通の(算用)数字で言いますと「10」つながりで、ローマ数字では「X」の文字つながりと言えます。
通常、マルセイユタロットの審判の意味は、中央人物が箱(棺)のようなものから立ち上がっていて、大きな天使がラッパを鳴らしているその絵柄からして、復活とか再生、気づき、覚醒などが言われます。
天使のラッパによって目覚めたのか、覚醒したことにより、ファンファーレのように、新たな誕生の祝いを天使がラッパで鳴らしているのか、それは両方解釈できるかもしれません。
いずれにしろ、何らかの目覚めがあると見られます。
ここに、先ほどの数の関連で、「運命の輪」と照らし合わせてみます。
絵柄的には、ほとんど共通点は見られません。
ただ、注意深く見ると、マルセイユタロットの版にもよりますが、色などにシンクロ性が見て取れることもありますし、「運命の輪」も、「審判」も、三匹の動物・三人の人物という似たところはあります。
ここは絵柄そのもののよりも、そこから見い出せる意味合いとしてのシンボルの共通性を見ていくほうが、数つながりではわかりやすいです。
「運命の輪」は、詳しくは言いませんが、「時間やタイミング」の象徴性が強くあり、そこから見ていくと、「審判」にも「時間やタイミングに関わる何らかの象徴性があると考えられます。
逆に、「審判」の「覚醒」的な意味合いが、「運命の輪」においてもあるのではないかと推測することも可能です。
それが、先述したように、「10」という数のつながりがあるので、その数の意味も関連させて、両者を結び付けると、その違いと共通性が浮かび上がるわけです。
例えば、「10」には完結するという数の意味があります。何かの終わりと、また新たな始まりを示唆すると言ってもよいでしょう。
ということは、時間やタイミングにおいて、「運命の輪」も「審判」も、そうした終わりと始まりの象徴性があると読むこともできますし、同時に、そのニュアンス、レベルなどが、双方では異なるのではないかと想像することも可能です。
果たして、「運命の輪」のタイミング、「審判」のタイミングの違いは何なのか? そういうことを、「10」の完結性において考えるのです。
あるいは、覚醒における、「審判」と「運命の輪」の違い、そのタイミングの次元やニュアンスの違い・・・こうしたことも考察すると、数つながりによるカードの読み方にも幅が出ることでしょう。
すると、実践リーディングにおいて、「運命の輪」が出るのと、「審判」が出るのとでは、時間やタイミング、覚醒の意味合いにおいて、違いを考慮しながら、適切にリーディングできるのです。
それは具体的な例示になると、スピードや処理効率、情報を得るレベルの違いについて言及することができ、小アルカナも駆使して、お互いに(リーダーとクライアントが)話し合うことで、かなり密で、その人(クライアント)にとって実際的な意味が出てきます。
いわば、一枚のカード(の意味)は、ほかの関連あるカードによって、さらに個性的・目的化される(よりはっきり意味がわかる)わけです。
ですから、常に、カードは単体だけではなく、全体やユニットとしての構成を見て省察しておく必要があるのです。
マルセイユタロットは、このように絵柄だけではなく、数も含めて、膨大な知識と情報の関連性よって成り立っており、それを読み解くことで、私たちの問題の解決、浄化、覚醒に活かすことができます。
ただ、実践においては、あまり知識や細かいことにこだわり過ぎると、せっかくカードの象徴としての情報がありながら、まさに木を見て森を見ずのようになってしまい、出たカードによる、全体としての意味合いや本質が、なかなか把握できないジレンマに陥ってしまうこともあります。
こうしたことにならないように、カードを頑張って読もうとせず、カードからの声を聴くかのようにカードに自分を委ねてみる、または、自分の直感を大切にするということも、タロットリーディングには大切な姿勢になります。
そして直感や霊感みたいなものに頼り過ぎても、それはしょせん人間レベルのものですから、日時や場、体調によってブレがあります。言ってみれば、アンテナの受信状況に、混信が多い日と、クリアーな日とがあるようなものです。
その混乱をフォローしたり、判定基準が不安定にならないようにしたりするため、象徴の知識的なものを学び、その関連性を発見していく意味があるのです。
人には自分の得意な読み方(読みのタイプ)があるのが普通ですが、それに偏り過ぎず、バランスを図っていくことも、タロットを使う時には考慮しておくことと言えます。
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