マルセイユタロットの動物形象

マルセイユタロットの大アルカナ小アルカナの宮廷(コート)カードには、動物形象のものが描かれています。

それには、犬や狼に見えるもの、鳥類で鷲や鷹のようなもの(フェニックス含む)、蛇のような長物、ライオン(獅子)、馬的なもの、猿のようなもの、ザリガニ・蟹のようなもの、そして何者ともわからない複合獣のようなものなどがいます。

動物はすぐにそれとわかるものもありますが、よく見ないと(アルカナとして口伝で伝えられているものの説明を受けないと)、なかなか見た目ではわからないものもあります。

※蛇類は特に難しいでしょう。しかし、ある種のルールがわかれば発見することができます。蛇が難しいのは、それだけグノーシスが隠され、暗示されているためだと個人的には思っています。

ほかにも動物・獣ではありませんが、羽のついた天使は、獣とともに描かれていることもあり、特に「世界」のカードでは、いわゆる四聖獣として、四つの生き物の中に天使も出ています。

これらには、それぞれ象徴的な意味がもちろんあります。

タロットリーディングにおいても、それぞれの動物・生き物がどれだけ(重なって)出ているのか、あるいは散らばっているのかなどによって、またそのなどによっても読み方は変わってきますし、タロットが示す意味をつかむための根拠にもなります。

動物・生き物象徴の読み方としては、まず読み手(タロットリーダー)やクライアントが、そのカードに描かれている動物形象を見て、素直にどう思ったか、どのように感じたかを取り上げます。

ただ、これはもっとも低次な読み方であり(ながら、時には高次のインスピレーションにもなります)、だいたいはタロットを知らないクライアントの方は、どう感じるかと言われても、正直何も思わないというのが普通かもしれません。

マルセイユタロットの場合、特段、犬などの見慣れた動物も、かわいく描かれていたり、芸術性をもって描写されたりしているわけではないので、動物好きな人でも、特に何も感じないということはあるでしょう。

しかし、次の読み方として、絵そのものよりも、その絵の意味合いにふれていくというものに移行しますと変わってきます。

例えば、犬が好きでペットとして飼っているという人は、犬の絵を見て、自分のペットのことだとか、もし犬と一緒に描かれている人物があれば、それは自分ではないかと感じることができます。

とすれば、わざわざ多くの中からそのカードが出たのは、何かしら自分を象徴しているものと見ること(自分として強調されていると見ること)が可能になります。

そして、次の段階では、再び動物の絵柄に着目することで、その動物が自分におけるペットの意味だけではなく、もしかすると自分の対人関係(例えば人との付き合い方や距離感)を表しているのだと気づくこともあるかもしれません。

愚者」というカードにはが描かれていますが、この犬はよく見ると、後(足)の部分は(わざと)省略されたかのようになっていますし、前足が「愚者」の人物にかかっていますが、そのかかり方、あるいは犬の表情などに注目してみると、この犬が見る者の一種の投影装置のようになっていることがわかります。

つまりは、見る人によって、犬のイメージ(様子や感情)が変わってくるのです。

そして、ここからが真髄になってきますが、動物形象のそれぞれを象徴学として学び、知識を得ますと、時代を超えた普遍的な(宇宙的もいえる)象徴性を想起することができ、心理や霊的な背景と相まって、タロットの示唆することの奥深さが見えてきます。

それゆえに、タロットは勉強する必要があるのてす。直感だけで読むものは、タロットリーディングのほんの一部に過ぎません。

さらには、動物形象がほかの動物と関連し、その象徴性の本質が把握できますと、世界中にある動物的な比喩・象徴について理解することもでき、連綿と見えない次元で生き続けているとも言える動物霊(サイキックの世界で言われる、いわゆる低次の憑依的な動物霊とは別です)のようなものが自分に語りかけてくるのがわかります。

私も、マルセイユタロットの獅子について思いを馳せている時、これは龍と同じ象徴性があることを感じました。

また、馬とも関係しますが、聖獣としての一角獣・ユニコーンも獅子とつながっていると思います。(マルセイユタロットにおいて、ユニコーンは非常に重要な意味があります)

獅子は日本の神社で言えば、狛犬として見ることもでき、狛犬のような「あ・うん」の姿は、マルセイユタロットの獅子(ライオン)にも描かれています。

獅子を龍として見ますと、特に「」のカードの意味は、とても面白くなると思います。

ところで、フランス国立クリュニー中世美術館所蔵の、有名な「貴婦人と一角獣」というタペストリーがあります。(日本で展示されたこともあります)

これは六枚にも及ぶ、かなり大きなタペストリーで、その名の通り、貴婦人と一角獣・ユニコーンが描かれており、ほかにも獅子などの動物も複数登場し、さらに植物も豊富です。

一般的にはそれぞれのタペストリーが、五感ともうひとつの感覚を表していると言われますが、作られた時代や地方、書かれている文言の謎からして、マルセイユタロットと非常に近いものを感じ、本当の意図(象徴)は別にあると個人的には考えています。

このタペストリーでは、獅子と一角獣がむしろ対になって、貴婦人を中心に対立概念、相補、統合すべきもののように見せています。

この関係性が、非常にタロット的でもありますし、先述したように、マルセイユタロット自体に獅子(ライオン)、そして一角獣(ユニコーン)も描かれていることはすでに述べた通りで、それらの動物には、タロットでも必ず女性、もしくは女性的な人物が描かれているのです。

ともあれ、マルセイユタロットにおける動物形象を見ていくのは、とても興味深いことで、伝説や物語にも彩られ、それらの象徴性に感応していく時、聖なる使いとして、私たち(それぞれ個人)を導く存在にもなってきます。

なぜ古代の人が、その動物を神の化身としたり、使いとしたり、眷属のようにとらえていたりしたのかもわかってくるでしょう。

あなたにも、縁のある霊的な動物存在がきっといますし、それは自分の力の源泉でもあるのです。

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