カウンセリングか、タロットリーディングか。

私の扱うマルセイユタロット(の活用)は、ずばりと、当たりはずれや吉凶を占うようなものではなく、どちらかといえば、カウンセリング的によく話を聴き、相談に乗りながら、タロットからの示唆を伝えるようなものになります。

黙って座ればピタリと当たるというものではないのです。従って、相手方の情報も必要ですし、ただカードを読むだけとは違う、コミュニケーションとしてのやり取りが重要な要素を占めることがあります。

まあ、タロットの市場として「占い」があるのも確かですし、占い現場というものが、現実的にはいまだタロット(リーディング)を活かす場所になっているのも事実ですから、占いの現場では、当てなくてはならないことや、まさに占い的な質問や方法を実践していかないと、仕事にならない部分もあるでしょう。

私も、かつて、占いの館的なところに出ていた時は、お客様が何も情報を言わずに、「何が質問したいかを当てるのも占い師でしょ?」と言われたこともあります。(笑)

占いの現場は、本当にいろいろな人が来ますし、同業者同士の醜い争いも場所によってはありますので、“人間”というものを知るにはよい場所ではありますが、中には耐えられない人もいるかもしれません。それでも市井の人々の悩みに向き合い、答えようとするまじめな占い師の方々はすばらしいと思います。

さて、話を戻しますが、私たちは、先述したように、タロットを用いた相談ということでは、カウンセリング的な手法を用いることがあります。むしろ、そういうのを使うのは、当然のことと言ったほうがいいかもしれません。

ただ、だからこそ、少し区別も必要だと思うのです。

これは私の生徒さんにも考えてもらっているところてすが、自分はタロットリーダーとしてカウンセリング的な技術を取り入れるのか、逆に、カウンセラーがメインで、カウンセリングテクニック・道具の一環として、タロットを使用するのかという区分け(をすること)です。

私自身は前者(タロットリーダーが主で、カウンセリングテクニックは、タロットリーディングをスムースに進めるための一技法としている)という位置づけをしています。

しかし、中には、もともとカウンセラーをしていて、そこにタロットなどを取り入れるという人もいるでしょう。

あるいは、カウンセラーという名称や中身ではなくても、たくさんの技術を用いて、人の問題や悩みの相談に当たるという人ならば、タロットというものは、その補助道具のひとつということになります。

タロットリーダーがメインであるならば、あくまでタロットカードの象徴性や示唆が中心となり、クライアントの話を受け入れ、心情に配慮するということはあっても、タロットから伝えられることを言うのが目的となりますので、時には厳しいこと、クライアントが聞きたくないようなことも述べることがあります。

けれども、カウンセラーという立場が中心であると、カードは一部の参考に留め、あくまでクライアントの心の負担の軽減、治療に重きを置き、その過程では、タロットに出ていることをそのまま伝えるということはしない(段階を踏んだり、趣向を変えたりする)場合もあるでしょう。

このあたりは、自分がタロットリーダーなのか、カウンセラーなのかで、似ているようで違うところがあります。

それでも、人は論理だけでは生きていませんので、人の相談を行う以上、心や感情に配慮していくのは当然となり、その結果、タロットリーダーがメインと言えど、カウンセリングやコミュニケーション技術を使うことがあるわけです。

ところで、「公認心理師」という心理職の公的資格の試験が、去年から実施されています。

これまでも、民間の臨床心理士の資格などありましたが、いよいよ、公的な資格として心理部門に出てきたということです。

すると、カウンセリングという定義や名称も、このような公的な心理関係の資格をもった人が使うことに限られることになるかもしれません。

安易にタロットを使ってカウンセリングをしています、などと言えない(今の使い方も注意する必要があると思いますが)時代は来るでしょう。

人の心を扱うのは、何の勉強も実践もしていない素人では危険を及ぼすこともあります。

しかし、その反面、私自身も神経症やうつ病など、心の病で経験しましたが、理論を学んだ専門職の人であっても、例えば大学院を出て社会経験がほとんどない頭でっかちの人のカウンセラーでは、問題が軽減したり、癒されたりするどころか、かえってその時間は苦痛だったこともあります。

案外、アカデミックな心理関係の人より、民間の自称資格のカウンセラー、占い師さんに癒され、快方に向かうこともあります。

それに、民間の治療的カウンセリングは、一般的になかなか高額で、回数がいるのが普通です。

カウンセリング効果が不確かであるように思えることも少なくなく、一般の人がそう簡単に受けられない現状もあります。

とはいえ、これからはもっと心理職の人の制度や資格の整理も行われ、タロットをしている自分がいうのもなんですが、「タロットで(心理)カウンセリング」など簡単に言えないようになるほうがよいと思います。つまりはきちんとした住み分けが重要だと言っているのです。

そして、多くの人の心がもっと楽に、解放に向かうように、まともな心理の相談が受けられやすくなり、同時に、いろいろなレベルの相談フィールドもあっていいと思います。

これから、他人に向けてタロットリーディングを行おうとする人、タロットを使って相談をして行こうとする人も、自分が何を行っているのか、何をしたいのか、自分の立ち位置を探り、人を惑わしたり、怪しいものと思われたりしないように、活動していくことが求められるでしょう。

「占い」というものも、身近な相談場所として、残っていくとは思いますが、経済原理にさらされているからとはいえ、アテモノ的なもの、ただ吉凶的なものを占うだけのものから、もっと高いレベルへと、目的意識を変えたものへとシフトしていく時代になってくるように思います。

結局、最後には、タロットも他人に使うというより、自分に活用するようなことに変化していくのかもしれません。

私自身は、すでに何年の前から、そうした(自己や社会、霊的な成長としての)もの(目的)を中心にして、タロットの活用を考えています。

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