タロットカードの人物像
タロットは、人物が描かれていることの多いカードです。もちろん人物以外の絵柄もあります。
特にマルセイユタロットの場合は、小アルカナと呼ばれるパートの、数カード(数札・スート)の絵柄は、記号模様みたいになっていて、人物などまったくイメージできません。ただし、逆に、小アルカナでも、宮廷カード(コートカード)のほうは、人物ばかりの絵柄になっています。
そして、大アルカナのパートでは、ほとんどが人物と言ってもいいくらいの絵です。
しかし、その大アルカナの中でも、人物とは見えないカードがあります。まるでマシーンや物体のように見えるのです。
マルセイユタロットでの大アルカナにおいて、具体的に、そのようなカードはどれかを指摘しますと、10「運命の輪」、16「神の家」、18「月」というところでしょうか。
まあ、このうち、「月」のカードは、文字通り、天体の月(本当は私たちの知る物理的な天体の月とはいえないところもあるのですが)がメインであり、ほかに犬やザリガニのようなものがいて、動物も目立つということでは、物体的ではありません。
それ以外の二枚、「運命の輪」と「神の家」は、どちらにも動物のようなものや、人間に見えるものが描かれているので生物感はありますが、物体・マシーンのほうが目立ちます。
ここから、この二枚には、生き物的なものよりも、機械的な何かが象徴されていると考えることもできるのですが、今日のテーマはそれではありません。
むしろ逆で、人物(像)の話になります。
宮廷カードも人物なのですが、今回は大アルカナに絞ります。
大アルカナには、先述したように、人物に見えないカードもあるものの、ほとんどが人物(像)に見えます。(人間とは限らないものでも、一応、人物的な存在とします)
心理的には、これらのカードに描かれる人物は、一種のパータン(型)であり、人類に共通する人間像とも言えます。世界中の物語に現れたり、実際の人々を典型的な性格や特徴などに強調したりした人物でもあります。
従って、大アルカナを人物として把握していくと、世の中の人間のパターンがわかってきます。同時に、ここが重要ですが、これらの類型パータンは、実は、一人の人間の中にも存在するキャラクター、性格、パーソナリティ、特質とも想定することができるのです。
これも心理的(あるいはスピリチュアル的)な話になりますが、面白いことに、入れ子構想やホロン構造のように、一人の中にいる複数のキャラクターたちが、外の世界にも同じようなパータンの人たちとして存在し、内と外とが同じ構造、もしくは投影しあっていると見ることができます。
例えばカードの「隠者」は、あなたの中のアドバイザーとか智慧者、孤高を望む人物像かもしれませんが、外の実際の世界においては、あなたのメンターや先生として現れているかもしれないのです。
逆を言えば、その人に自分の智慧ある存在のような人物を投影している、当てはめているとも言えますし、そのまた反対に、外の実際の人物によって、あなたの中のそれに似た存在・キャラクターが息づき始める、見出されるということになるのです。
ほかのカードの例でも考えてみましょう。
「節制」は天使の姿が描かれていることで、救済者であり、セラピストのような人でもあります。
もし、あなたがセラピー受けて、そのセラピストの技術や人物に感銘し、自分もこの人のようなセラピストになりたいと思ったとすれば、その人によって、あなた中にいた同じような人物(性格)が発動したと言えるのです。
つまり、あなたの中の「節制」が見出されたのです。
もしかすると、あなたが受けたセラピストの人は、もともとあなたの中にいた「節制」の天使であり、あなたがそれに目覚めるために、待っていた外側の「節制」の天使とも言い換えることができます。
この場合、例えば、「節制」は14の数を持ち、その前の数のタロットは「名前のない13」です。この「13」と「節制」は、マルセイユタロット的には、セットやペアを形成し、救いと、その前の困難、試練と救済を示唆します。
ということは、あなたがもしセラピーを受けなくてはならない何か悩みや問題を抱えていたとすれば、それは「13」の状態であると言え、そのためにセラピスト(14「節制」)に治療を受けに行ったわけですが、この仕組みには、先述したように、自分の中のキャラクター・人物と、外の実際のキャラクター・人物とがいて、外の人物が中の人物の覚醒に関わっていたとすると、あなたの悩みや問題は、そのために実は起こっていたと考えることもできるわけです。
見た目は問題とその治療ですが、背景には、内と外の共鳴による、内なる人物の覚醒があるわけです。(セラピスト側には、「13」のほうの覚醒が促されることもあります)
カードの人物像とその性格を知っておけば、こうした仕組みにも気づくことかあります。
また、タロットリーディングにおきましても、展開の中の重要なカードと思えるものに、まさしく、その人物像が強調されることがあります。
もし問題の解決とか癒し、変革に関わるのならば、その重要なカードの人物像は、あなたが目指したり、行動したり、その性格になったりすべき人物(キャラクター)と言えます。
あなたは自分の性格はこうだとか、こういうタイプだと思っているものがあるでしょう。それは誰しも大人であれば、今までの経験から、何となく自分を想定しているところはあるものです。
しかし、タロット的には、あなたの性格はそれだけではないのです。少なくとも、大アルカナの数、22の性格(キャラ)があるとも考えられます。一応、ノーマルモードのあなたとして現れるのが、自分がそうだと思い込んでいる、あるいは、成育的・経験的に培われた性格です。
あなたが問題状態にある時は、ノーマルモードだけでは対処できないことがあるのです。また、今までのバージョンのあなたでは追いつけない、無理がある、古くなっているということもあります。
従って、そうした時は、別モードのあなたが必要となるのです。それを示すのが、問題に際して現れる(アドバイスとして引く)カードの人物と言えます。
宮廷カードの場合は、それがもっと現実的(外の世界の人物)であることが多いのですが、大アルカナの場合は、外の人であることもあれば、自分自身の内的な別の性格を意味することもあります。
そのカードになり切った時、あなたに現れるイメージは何か、この人物ならばどう考え、どう行動するのか、それを想像することです、
いや、実は、想像するというより、会話するというほうが近いかもしれません。タロットのそのカードの人物と話をしてみるのです。擬人化する感じで、タロットの人物とコミュニケーションすれば、きっとあなたにアドバイスが届くでしょう。
サイキックなタロットリーダーやタロット占い師の場合、実際にカードを読むというより、カードの人物(精霊となります)と話をしたり、カードの人物同士がまるで生きているかのように会議している内容を聞いて、クライアントに伝える人もいます。
世界はモノで満ち溢れていますが、すべて生命を持つと考えれば、カードだけではなく、あらゆるものと会話が可能になるかもしれません。
一番最初の話で、大アルカナの中で、マシーンや物体のようなカードがあると述べたのには、これと関係するところがあります。
ともあれ、カードの描かれてい人物像、キャラクターをあなた自身の中に発見してみてください。
それには、やはりタロットカードを知る必要はあるでしょうが、直感の優れている人は、カードの絵柄を見ただけで、人物を推し量ることができます。それもまた、(マルセイユ)タロットのよいところです。
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