小アルカナの読み方のコツで。

マルセイユタロットを使ってリーディングする人は、あまり小アルカナを使わない人が多いようです。

その理由で、まず考えられるのは、日本のマルセイユタロット界では、2000年以降、通称「カモワン・タロット」、カモワン版マルセイユタロットが広まったからではないかと推測しています。

私もカモワン流から入った者ですので、それはよくわかります。

「カモワン・タロット」は、その名前の通り、フィリップ・カモワン氏が復刻したマルセイユタロットなのですが、映画監督・芸術家・サイコセラピストなど、多芸多才で知られるアレハンド・ロホドロフスキー氏との共同製作によってできたもので、むしろ、ホドロフスキー氏の名で、ホドロフスキー・タロットと呼ばれることもあります。

とはいえ、日本では、カモワン・タロットとして普及し、その中心がカモワンメソッドと呼ばれる展開とリーディング方法であり、伝えられた当時から、大アルカナをメインとして使うやり方でした。今はわかりませんが、初期は、カモワン氏自身も、小アルカナについては重視していない(ほぼ使わないものである)ことを述べていたようです。

もうひとつの理由は、小アルカナの数カードが、マルセイタロットの場合、例えば日本で広く使われているタロット、ウェイト版(通称ライダー版)タロットと比べ、絵になっていない、記号みたいでイメージしにくいというのがあり、言わば、絵柄のない記号カードのようになっていて、タロットらしくない(トランプに近い)感じがあるからだと思われます。つまりは読みにくい、質問に当てはめにくいので使いづらいということです。

ということで、現状、日本でのマルセイユタロットリーダーの多くは、ほとんど大アルカナ使用中心になっているわけです。

しかし、タロットは78枚で一組(デッキ、セット)になっているものです。特に、マルセイユタロットは一枚一枚の絵の象徴も、また全体としての構造も、ロジックな根拠があることがわかっています。(例えば、ホドロフスキー氏の「タロットの宇宙」など読めば、そのすごさの一端はわかるでしょう。)

ということは、78枚でなければならないきちんとした理由があり、もちろん、小アルカナははずせないものであるはずなのです。

必要なパート(部分)であるのなら、当然、リーディングにもそれに応じた理由で、(小アルカナとして)使うことができると考えるのが普通になってきます。

私は、このこと(マルセイユタロットで小アルカナの必要な理由)を研究の末にいくつか見出していますが、リーディング方法となると、まだまた研究・開発の余地はたくさんあると思っています。

ここで(マルセイユタロット・小アルカナの)リーディング方法の全部をご紹介するのは紙面(ネットですが)上でも難しく、また講座とブログは異なりますので無理ですが、すごく当たり前で、基本的なことを少し、書いてみましょう。

小アルカナの基本構造・基本コンセプトは4組であり、これは四大元素を象徴しています。小アルカナのリーディングの鍵は、この4組を理解することにあります。

これに人物のイメージを重ね合わせるのが、宮廷(コート)カードの読み方になりますし、数(の意味)をかけ合わせると、数カード(数札)の読み方になります。

ただ、この4組のイメージと考え方が、案外、難しいのです。数や人物のイメージの前に、まずは、ここをしっかり押さえておく必要があります。

厳密に言えば、四大元素と4組は同じようでいて、実は異なります。いや、本質的・象徴的には同じであるからこそ、4(つ)なのですが、カードに表されている4組はモノになっています。すなわち、剣・杯・杖・玉(一般的にはソード・カップ・ワンド・コイン)です。

一方、四大元素は、風・水・火・地(土)です。これは自然のものと言いますか、より本質(根源)を示します。

風とか、水だとかは、自然物としてイメージではわかりますし、実際に水などは水道や、ボトルに入った水とか、雨とか、海・湖沼とかで見ることができますが、ひとつのモノとして固まっているわけではありません。風が一番いい例です。そもそも風は目に具体的には見えません。(四大元素は、自然の中で私たちが見ている風・水・火・地とはまた別とも言えるのですが、ここではわかりやすく、自然のものをあげています)

ところが、タロットカードの小アルカナ4組となれば、モノになるわけで、とても具体的になります。ですから、四大元素の自然的な本質性(それは抽象的でもあります)よりも、もっと具体的でイメージしやすいモノになっているのです。この違いが、誤解を生じやすくします。

つまり、四大元素のイメージや意味と、モノである4組から出る具体的なイメージ・意味には、違いが出て当たり前であり、同時に、本質・抽象概念としては同じであるわけです。

何が言いたいのか言えば、リーディングにおいては、考え過ぎると小アルカナは余計わからくなる(読めなくなる)ということです。

風・水・火・地と4組とのイメージを何とか合わせようとか、大元があれだから、こういう意味になるのでは・・・と思考を巡らし過ぎると、ますますわからなくなってくるのです。

だから、四大元素の理解は必要ではあるのですが、単純に4組のモノとしてのイメージから出る意味や感じを出すほうが読みやすくなります。

大アルカナでは、キーワード的に、一枚一枚、ガードから出る意味や言葉を覚えていくと、実は、かえって読みにくくなってしまうことがあります。

それは大アルカナの絵が具体的でありつつも、表している世界は多様で重層的(言い換えれば具体性と抽象性の両方を含むもの)であるからです。簡単に言えば、見える世界も見えない世界も、現実も精神も、すべて象徴するみたいなものです。

ですから、最初から言葉(意味)を決めつけ過ぎると、その豊かな象徴性が制限され、固定化した読みに囚われやすくなります。結局、絵を見ても、覚えた言葉が邪魔をし、絵のイメージから出るほかの意味と混乱を来し、固まるようなことになります。

一方、小アルカナ、特に数カードはその逆とも言え、マルセイユタロットでは記号的な模様になっていますので、絵のイメージはどうしても限られます。もそもそイメージせよ、というのが無理です。

だからむしろ、記号的な意味(キーワード的なもの)をあてはめて覚えたほうが早いのです。イメージを使うとすれば、先述のモノとしての4組であり、剣・杯・杖・玉のイメージと(そこから派生する)典型的な意味を覚えて、リーディングをしていくとよいのです。

なお、マルセイユタロットの数カードでも、4組のイメージがしやすいように、1の数(エース)は、大アルカナや宮廷カードのように絵になっているのも、まるでこう使ってくれ、といわんばかりの配慮になっています。

あと重要なのは、4組は、単純に4つに分けたものではないということです。最初は分けたほうがわかりやすいのは確かですが、その分け方にコツがあると言いますか、分かれる考え方が、普通の常識とは違うのです。

私たちは、通常、分けるということを思った場合、その数の分だけ、区分けするというイメージがあります。

例えば、饅頭が8個あり、それを4つに分けてくださいと言えば、2個ずつ分けるでしょう。もしここで、10個の饅頭があり、それを4つに分けてくださいと言えば、割り切れないから無理です、となります。

ただ、饅頭の種類で10個を4つに分けるとすれば可能かもしれません。つまり、この場合は、種類で分けており、数ではないのです。

饅頭の種類で分けることにより、4つに何とか分けられましたが、種類ではなく、大きさとか、中に入っているものとか、色とか、製別とか、いろいろ分ける方法はあります。

仮に、まったく同じ饅頭ばかりでも、自分が決めた方法で、何とか分けることができるかもしれません。

話を戻しますが、小アルカナの4組とは、上記の、数で分けるのではない饅頭のように、質や種類、4つのルールで「分けられるもの」であり、「分けたもの」ではないのです。

哲学的には、分けているのはこちら側で、あちら側が分かれているわけではないというの本質です。(ここは難しいので、リーディングのコツとは別だと思ってください)

要するに、こちら側の分けるルールの統一が必要だということです。

4組は四大元素から来る意味や性質がありますが、それは基本ではありつつも、4組に、共通したステージやレベルを設定しておかないと、具体的に何を読んでいいのかわからくなります。逆に言うと、多くのレベルやステージが、4組としてあるのです。言い換えれば、4組が何重にも入れ子構造・フラクタルになっているのです。(4つの中にさらに別の4つがあり・・・みたいな連綿と続く構造)

例えば、こういうことです。

お金の問題がテーマだとしましょう。

お金と言えばコインであり、4組の玉で象徴されます。

しかし、お金を稼ぐための仕事は?と、さらに具体化していくと、玉の中の剣(コインでありつつ、ソード)、玉の中の杯(コインでありつつ、カップ)、玉の中の杖(コインでありつつ、ワンド)、玉の中の玉(コインの中のコイン)という感じで、4組構造から重層的にアプローチすることができます。

この場合、玉という設定とともに、(お金を稼ぐ)仕事というステージをさらに設定することで、具体化し、読みやすくなるわけです。

この設定をしているのはこちら側だというのが、さきほど述べた、「分けているのはこちら」というのに関係します。

 

ちょっと講座的になりましたが、私の講座では、このように、考察性と活用性との両面で、タロットを解説しています。

やり方を教えるのはもちろんですが、それだけではなく、なぜこのように使えるのか、使うのかという理由づけと、その理由を見ていくと、自然に深いものに接するようになってきて、タロットのすごさを知ると同時に、自身のスピリチュアィにもふれていくことになるのです。最終的には、タロットを通して、あなたの神性・霊性を発見し、向上させていくことが目的です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Top