特別な人との関係の理由 その1
人間の悩みは、マルセイユタロットの小アルカナのパートに実は象徴されています。
小アルカナに貫かれている基本構成・コンセプトとも言えるものに、4組というのがあります。これは、トランプでいうところの、スペード、ハート、クラブ、ダイヤにも象徴されるものです。
この四つの組で表されるものが、人間の悩みがちなこと、問題として考えられるのです。
今は四つのそれぞれを、どれがどれとは言いませんが(今日の本題でもないので)、例えば、お金や経済の問題、生き甲斐の問題、人間関係・恋愛の問題など、人の悩みごとではよくあるテーマを、4組の象徴として見ることができるというわけです。
これは、小アルカナで表される次元が、私たちの生身の生活次元、現実のフィールドを象徴しているからで、むしろ当たり前なのです。
また、発想としては逆になり、人間の悩みがタロットで象徴されるのではなく、タロットで表現される構造が、人間の仕組みにもあるからと言ったほうがいいかもしれません。このあたりはとても面白い話になるのですが、これも本日の本題ではないので、またの機会、あるいはタロット講座でお話したいと思います。
それで、今日の話は、この、人間の悩みでよくある種類のものの中のひとつ、人間関係・恋愛関係のことになります。端的に恋愛に絞ってもよいかもしれません。
まあ、言ってしまえば、「特に濃密になる人との関係」ということです。そういうのは恋愛での関係が多いので、恋愛に絞ってもいいかもしれないと言ったまでです。
ところで、マルセイユタロットの「恋人」カードの絵に、矢を持ったキューピッドが描かれているように、恋愛相手とか、自分にとって特別になる人というのは、人間が意識して関係できるものではありません。(中には、意識して関係をつけていく人もいるでしょうが)
気がつけば、いつの間にか、自分の心を占めていたとか、好きになっていたとか(相手から告白されたり、相手の行動によって意識するようになったりすることもあります)、そんな感じですよね。(ほかに、一目ぼれというのもあるかもしれませんが、これは「恋人」というより、「神の家」のような出来事で、これも意識して自分が惚れるというのではなく、突然惚れたみたいなことですよね)
ただ何もせず、妄想ばかりを巡らしていても、実際に、人と交流することはできません。
今はネット時代で、リアルの関係はいきなりは少なくなったかもですが、それでも、人は意識だけで交流する時代にはなっていません。まだまたちゃんと形・肉体・物質次元としての私たちが存在し、物理的に出会わないとならないところがあります。
そのことも、さすが「恋人」カードであり、キューピッドの下側にいる三人の人間たちが、実際に触れられるような近い距離感を描写することで表しています。つまり、現実に(行動・環境的に)人が出合わないと、始まらないわけです。
そんなこんなで、私たちは人と出会い、交流・交際していきますが、世界中には、これだけ多くの人がいるのに、出会う人は限られており、さらに中でも、親友になったり、恋人になったり、結婚したりする相手は、まさに特別な限定者です。
「恋人」カードによれば、人間側の出会いの機会を増やせば、もしかすると、縁結びをしてくる上空のキューピッドの矢は、誰かに当たりやすくなるのかもしれません。←ここ、引きこもっている人には、結構重要です。天は自ら助くる者を助くです。(笑)
しかし、逆説的ですが、出会いの機会を増やしても、矢が当たるとは、また限らないのかもしれません。
ロマンティックなことが好きな人ならば、キューピッドの矢は、あらかじめ刺さる人が決まっているのだという考え方もできるからです。
にしても、です。現実の人間は、さきほども言ったように、出会わないと交際が進みませんから、最初からまるで運命の赤い糸のように、矢の相手が決まっていたとしても、何もしなければ、運命の人なのに、一生出会わないこともありそうです。なんだか、それでは、身も蓋もない話になりますが。(笑)
いやいや、キューピットは天使でもあるのだから(厳密には違うのですが、ここでは同じとしておきましょう)、天使によって、出会えるよう、図らってくれるのでは・・・とロマンチストの方はおっしゃるかもしれません。
ま、出会い頭にぶつかるとか、別のイベントで会った人が、偶然にも同じ所属やクラスになったとか、気になっていた人が隣の部屋に引っ越してきたとか・・・そんな古典的マンガみたいな話(笑)はないでしょうが、世の中には、意外に、不思議な偶然・縁というのがあるのも確かです。天(もしかしたら悪魔も)がいるのかもしれません。
ともかく、自分の努力にしろ、偶然の出会いにしろ、誰かと知り合い、その人物は、何故かあなたにとって、特別な関係(位置)の人になったとします。ただし、必ずしも、相手のほうも、あなたと同等に思ってくれるかは別です。ここが人間・恋愛関係のもっとも難しいところで、悩む主要因にもなります。
そこで、占いでも、「相手は自分のことをどう思っているのか?」と聞く内容が多いわけです。(ちなみにカードでは、これがわかることが多いのですが、人の心は絶対ではありませんから、完全に読めるわけでもないのは当然ですし、カードとのコンタクトの方法、読み手の解釈によっては間違うこともしばしばあります)
そして、関係はよい状態に移行することもあれば、破綻してしまったり、そもそも最初から、自分の思うようなことにならない(片思い)ケースもあったりします。
この最中、人は悩みます。たとえ、よい関係であったとしても、これがずっと続くだろうかとか、相手に別の好きな人がいるのではないかとか、些細な行き違いなどで相手を疑ってしまうようなこととか、最悪は、相思相愛でも、相手が不慮の事故・病気などで亡くなってしまうようなことさえあります。
こうなると、人間関係とはいかに残酷なものであるのかと思う人もいらっしゃるでしょうし、逆に、ラブラブで、今関係性は最高だというペアの人は、人間関係のすばらしさを満喫していることでしょう。
歓喜と絶望、濃密な人間関係・恋愛関係であればあるほど、そのギャップも激しいものが内包されています。
また、思いが通じ合えない人、一方的に自分のほうだけが思いが強く、相手は多くの中の一人としか自分を扱わなかったり、ひどい時は、嫌われたりしていることもあります。これのほうが失恋よりつらく、残酷と言えるかもしれません。
かと言って、ストーカーになる人は、相手に恐怖と不安、怒りを与えますので、思われているほうも被害者的な怖さ、不幸感があり、これもまた残酷といえば残酷な話です。
このストーカーとストーキングされる側との関係は誤解があるといけないので、今から言う話とは別だと考えておいてください。
その他の、恋愛などの濃密な人間関係において、特に別れてしまったり、なかなか自分の思うようにカップル的になれなかったり、または、恋愛という感情ほどではないけれど、どうにも気になってしょうがない人がいたりすることに対して、人は理由を探そうとします。
なぜあの人と出会い、このような思いになったのか、何か意味があるのか・・・というように。
特に大きな問題もなく、交際し、そして自然な別れで終わったものは、それほど出会いの理由は考えないかもしれません。
何か、自分ではどうしてもわからない感じの、忘れようにも忘れられないとか、偶然にしては出来過ぎているとか、特別に思う人との関係の場合は、理由を考えないと、自分の納得がいかないわけです。
私はこの理由に、タロットリーディングでもそうですが、いくつかの見方を呈示しています。
ひとつは、心理的な見方、もうひとつは霊的な見方です。
長くなりそうなので、次の記事に続きを書きたいと思います。
特に恋愛ネタは、思い出すと、つらい人も多いと思いますので・・・間をおいて、分けて書いて行ったほうがよいと思ったこともあるからです。
それでは、しばしお待ちください。
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