「1」の数を例にしたカード解釈
数とタロットは無関係ではありません。
しかし、数秘術をされている方で、タロットを学習すると、どうしても、数をメインとしてしまう傾向があります。
数をメインとしますと、マルセイユタロットの場合、まだ小アルカナの数カードならばいいのですが、大アルカナでは、比較的具体的な絵柄がありますから、絵柄から思い浮かぶ象徴と、数そのものの象徴との食い違い、違和感が出てきて、迷ってしまったり、意味がわからなくなったりします。
タロットが詳しくわかってくるようになりますと、アルカナの数とそのシステムも、数秘的なもので言われている数の意味との関連性は見えてきますが、まだ浅いうちだと、混乱のほうが大きいでしょう。
そのため、おススメしているのは、数秘術を習った方でも、いったんその知識はおいておき、タロットはタロット、数秘は数秘として、別々で見ておく(学習していく)やり方です。
そのほうが、最終的にはふたつを統合しやすいのではないかと思います。
そんな中でも、最初から、タロットにおいても、あまり解釈の違わない「数」があります。典型的なのは、おそらく「1」でしょう。
これは、数秘というより、普通に、現代の皆さんが思う「1」のイメージが、そのまま意味になっていることが多いと思います。
すなわち、始りとか、最初とか、新しさとか、フレッシュさ、シンプルさみたいな印象です。
深くは、完全性、統合性などあるのですが、それは図形を考えないといけませんので、とりあえずは、一般的なイメージと意味で、「1」を見ていくことにして、その「1」の数を持つ、大アルカナ(マルセイユタロット)をあげて見ましょう。
すると、まずは1の「手品師」(一般名称では奇術師とか魔術師と呼ばれるカード)、そして11の「力」、最後は21の「世界」です。
つまりは、10番ごとに違う、1の位を持つ三枚ということですね。
10というのは、数カードの単位・セット・一組にもなっており、ここからも、ひとまとりの象徴性の数に「1」と「10」がなっていることが伺えます。
大アルカナは、10を基本システムとしているわけではないと想像されますが(3や7のシステムのほうが強い)、10を単位とできないわけではありません。
ともかく、新しさを象徴する「1」を持つ大アルカナが三枚あり、それぞれにやはり、「新しさ」の特徴の段階があるのだと推測されます。さきほど、述べた「10」の単位ごとにリニューアルしたり、レベルがアップしたりしているのだと考えられるわけです。
1の「手品師」はまさに初めの中の初めと言え、初心(者)と例えることができます。それゆえ、若い姿で、テーブルの上にもいろいろな(手品)道具が散らばっています。よくありますよね、道具から入る、形から入るみたいな人が。(笑)
なお、マルセイユタロットの種類によっては、この「手品師」の足元に、“若葉マーク”のようなものが生えているように見えることもあります。不思議?ですよね。
「さあ、やるぞ」と道具をそろえてみたものの、初心者はそれらをどう使うのか、整理して学ばないといけません。「手品師」も、心なしか、視線がテーブルの道具類にはなく、何か指導書とか頼るへき誰かを見てるようにも感じます。
次の11の「力」は、ライオンを従えた女性の姿です。女性にも若々しさがあり、やはり新しい感じがします。
「手品師」の男性から女性に変わったことで、柔軟さや包容力も出た印象があります。もしかすると、「手品師」だった時がライオンに象徴されているのかもしれません。つまりは、「手品師」の経験を受け入れ、コントロールしているようにも見え、新しさといっても、また別の次元や段階に来たことが見て取れます。
「手品師」時代の経験は完全に自分のものにして、未来に向かってより力を発揮していく姿が想像されます。
そして、最後は21の「世界」です。
ここまで来ると、新しさというより、完成した感じが強く、「1」のカードは登場する動物が次第に多くなりますが、「世界」ではそれが際立ち、「力」にいたライオンだけではなく、さらに三つの生き物、合計四つの生物に囲まれ、中の人も、一見女性のように見えつつも、男性にも見え、いわば、中性、両性を持つ者ではないかと考えることができます。
終着点、完成されたようにも見える「世界」ですが、異次元レベルで、次の段階の新しいことに向かうことになると言えます。まさに「新世界」です。それは中央人物のダンス姿や動きからも、何かこれから始まるのではないかという見方ができるからです。(その他の理由も、もちろんあります)
「手品師」が道具だけを扱っていたのに対し、「力」から「世界」にかけては、それが生物というものに変化していることも重要ですし、「世界」に至っては、再び、「手品師」のような道具も中央の人物は手にしています。
単純に絵柄だけを追って行っても、「手品師」から「力」「世界」へと、拡大・成長・複雑・高度化しているのがわかります。
ここではわざと、優しく書いていますが、本当は、今書いてきたことは、非常に深く高度な象徴性と意味が隠されており、それがわかると、マルセイユタロットが周到に用意されたシンボリズム、体系にあることが明瞭になります。
要するに、マルセイユタロットは、明らかに意図をもって、複雑に計算された描写のもとに成立しているということであり、ただの印象とか直感、あるいは芸術的な意味をもって描いているのではなく(芸術の影響はあるとは思いますが)、私たち、カードを見る者に、ある種の企画と意図を発見するよう促している仕掛けがあるわけです。
さて、再び、「1」を持つ三枚のカードに戻ります。
リーディングにおいても、このような段階やレベルの違いを、同じ「1」を持つカードに見ておくことで、どのカードが出たかによって、カードを引いた人物、またはリーディングを受けているクライアントに、どういう「新しさ」の質が求められているかというのがわかります。
「手品師」が出るのと、「力」で出る場合、「世界」が登場した時とでは、それぞれ違いがあるうえに、同時にこれらのカードで出た時や、もし正逆の位置を採っていた場合なども、さらに意味合いが変わってくることになります。
しかし、基本として、数のシンボルをとらえた時は、「1」という数が浮かび上がり、段階やレベル、質は違っても、やはり何らかの新しさが求められていること、または、そのためのテーマがあることは確かなのです。
あなたなりの、新しさをもって、今年に活かしてください。
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